放射線療法と化学療法の併用は膀胱癌の再発を減少させる

キャンサーコンサルタンツ

New England Journal of Medicine誌に掲載された研究結果によると、筋層浸潤性膀胱癌患者において、化学療法と放射線療法の併用は、放射線療法単独に比較して再発リスクをほぼ50%減らした[1]。

米国では1年に、おおよそ男性50,000人、女性では17,000人が膀胱癌と診断されている。T2-T4aの膀胱癌患者の場合、非転移性の癌ではあるが、筋層への浸潤が認められている。最近の研究によって、種々の治療手段を併用する治療を含め、これらの癌に最適な治療法が提唱されている。

イギリスの45施設の癌センターにおいて、T2-T4aの膀胱癌患者360人を対象に、ランダム化第3相臨床試験を行った。患者を放射線療法単独群あるいは化学療法と放射線療法併用群に、無作為に割り付けた。化学療法はフルオロウラシルとマイトマイシンCの併用とした。

結果として、局所的な無病生存率は化学療法/放射線療法併用群が放射線療法単独群に比べて有意に高かった。2年間の無再発率は化学療法/放射線療法併用群は67%であり、対して放射線療法単独群は54%であった。

化学療法/放射線療法併用群患者においては、放射線療法単独群に比べ、浸潤癌の発現が約50%少なかった。

5年間の生存率は、化学療法/放射線療法併用群は48%であったが、対する放射線療法単独群は35%であった。グレード3または4の有害事象は、若干化学療法/放射線療法併用群に多くみられたが、有意差は見られなかった。

69.9カ月(中央値)の追跡調査の結果、標準的放射線療法に化学療法を追加することにより、局所的な再発リスクが33%、浸潤的な再発が50%減少することが示唆された。

参考文献:
[1] James ND, Hussain SA, Hall E, et al. Radiotherapy with or without chemotherapy in muscle-invasive bladder cancer. NEJM. 2012; 366:1477-1488.


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翻訳担当者 古屋千恵

監修 関屋 昇(薬学)

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