唾液中タンパク質により口腔癌の発見が可能に

キャンサーコンサルタンツ
2008年10月

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究者らによると、口腔癌かどうか判断するのに唾液中タンパク質は有効である。この結果は最近Clinical Cancer Research誌で発表された。

口腔癌の早期発見は重要である。病期が進行した段階で発見されるのと比べて、早期発見では治療成績が改善し手術による変形を減らすからである。そのため、口腔癌の早期発見に非侵襲性で正確なスクリーニングの手法が検討されている。

前述の研究者らは最近臨床試験を行い、口腔癌かどうか判断するのに唾液サンプル中のいくつかのタンパク質の有効性を検討した。この試験には口腔扁平上皮癌(OSCC)患者64人と健康な患者64人が参加し全員が唾液サンプルを提供した。その結果、口腔癌の存在と関連すると思われる5種類のタンパク質が同定された。

・口腔癌の9割がこのタンパク質マーカーによって同定された。

・口腔癌でない患者の大多数(83%)は本試験で癌に対して陰性の結果だった。

研究者らは、これらの新たな標的タンパクの発見が口腔癌の非侵襲的診断では臨床上簡易手段の1つになりうると結論し、口腔癌にかかるリスクが高い患者のスクリーニングを最終目標としてこの手法を検討する今後の試験が必要であると述べている。

コメント:
これは口腔癌のハイリスク患者に対し将来のスクリーニング検査の1つになりうる、刺激的な観察結果である。

参考資料:
Hu S, Arellano M, Boontheung P, et al. Salivary Proteomics for Oral Cancer Biomarker Discovery. Clinical Cancer Research. 2008; 14: 6246-6252.


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翻訳担当者 M.F

監修 林 正樹(血液・腫瘍科)

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