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口腔がんに術前の免疫療法薬二ボルマブ/イピリムマブが有望

口腔がんでは、免疫チェックポイント阻害薬療法をほかの治療の前に行うと、免疫反応が誘発されて腫瘍が縮小し、患者に長期的な利益がもたらされる可能性があることが新たな臨床試験から示唆された。この知見は、2月27日~29日にスコッツデール(アリゾナ州)で開催の2020 Multidisciplinary Head and Neck Cancers Symposiumで、ダナファーバー/ブリガム&ウィメンズがんセンターの研究者により発表される。

このランダム化比較試験では、術前にニボルマブ(販売名:オプジーボ)を単独またはイピリムマブ(販売名:ヤーボイ)との併用で2回投与した結果、多くの患者に完全または部分的な腫瘍の縮小が認められ、その後の標準治療の実施に遅延が生じた患者はいなかった。これらの有望な結果から、特に難治性で症状の厳しいがん患者に対する予後改善が予想される。

「約3週間の治療で、腫瘍の有意な縮小がみられた。数人の患者では完全な病理学的奏効が認められ、ほかの患者では残存する腫瘍はごくわずかであった。(ニボルマブの)単独投与および2剤併用投与のいずれにおいても腫瘍はあきらかに縮小し、相対的に早期の追跡ではあるが、参加患者の半数以上に再発の徴候はない」と、ダナファーバー/ブリガム&ウィメンズがんセンターの上級医師であり、ハーバード大学医学部放射線腫瘍学部門の准教授でもある筆頭著者のJonathan D. Schoenfeld医師(MD、MPhil、MPH)は話している。「免疫療法薬を数回投与するだけでも、手術やその他の治療後のがんの再発を持続的に防ぐ免疫反応が誘発されることには希望がある」。

この試験には、舌、歯肉、または口腔のその他の部位に新規にがんの診断を受けた30人の成人患者が組み入れられた。対象のがんはすべて病期T2以上であり、患者の半数超にリンパ節への転移があった。PD-1阻害剤のニボルマブを、3週間の期間中に、単独あるいはCTLA-4阻害剤のイピリムマブの1回投与と併用して2回投与した後、患者に、このがんの初回の標準治療である手術実施への遅延が生じることはなかった。

免疫療法薬投与後、多くの患者(52%)に原発巣の臨床学的縮小が認められ、4人の患者(単独投与群1人、併用投与群3人)に90%を超える病理学的奏効が認められた。これらの探索結果は有望である一方、この単独または併用療法が持続的な奏効を示して患者の生存を改善するかどうかを判断するには、現行の標準治療との直接的な比較が必要であると、Schoenfeld医師は指摘している。研究者らは、また、免疫療法薬がほかの患者に比べて一部の患者により高い効果をもたらした理由を解明し、治療効果をさらに高める可能性のある別の免疫標的分子を特定することも望んでいる。

30人の患者のうち21人に治療におそらく関連ありと考えられる副作用が認められ、グレード3~4の副作用は併用投与群では5人(33%)、単独投与群では2人(14%)に認められた。研究チームはこれらの結果に勇気づけられていると、Schoenfeld医師は話している。比較の一例として、切除可能な高リスク悪性黒色腫を対象とした試験では、同一の併用投与で半数を超える参加患者に重篤な副作用が認められた。

免疫療法薬は一般的に、ほかの治療で結果が得られなかった、あるいは患者にがんの転移が認められた後に使用されるが、新規に診断された治癒可能ながん患者を対象とする術前の免疫療法薬の試験は増えており、この試験もそのひとつに加えられる。「術前という実施条件は、患者の免疫システムが前治療による影響を受けていないため興味深い。患者の腫瘍が実際にそこに存在して免疫反応の標的として機能するため、患者の免疫システムによる腫瘍の認識と攻撃がより容易になる可能性がある」と、Schoenfeld医師は説明する。

「口腔がんは、再発率と死亡率の高い難治性として知られるがんのひとつで、標準治療による副作用は、治療の対象箇所が発話、嚥下、呼吸に不可欠な部位であるため特に大きな課題となる傾向がある」と、医師は続けている。
「われわれは、免疫チェックポイント阻害薬を先に実施することで治癒可能な患者をより多く治療でき、今後、ほかの治療で求められる治療強度を減弱できる可能性があることに喜んでいる」。

Schoenfeld医師は、本日、同シンポジウムのプレナリーセッションで「口腔がん患者のニボルマブ+/-イピリムマブ術前療法(英文)」(要約1)を発表する。この試験は、Bristol-Myers Squibb社から資金提供を受けている。

翻訳林 賀子

監修山崎知子(頭頸部・甲状腺・歯科/宮城県立がんセンター 頭頸部内科)

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