FDAが外陰癌及び膣癌予防にガーダシルの拡大使用を承認する

原文 FOR IMMEDIATE RELEASE:2008年9月12日 Media Inquiries:Karen Riley, 301-827-6242 Consumer Inquiries: 888-INFO-FDA

FDAが外陰癌及び膣癌予防にガーダシルの拡大使用を承認する

  米国食品医薬品局(FDA)は、ヒトパピローマウィルス(HPV)16型及び18型に起因する外陰癌及び膣癌の予防を目的として、ガーダシルワクチンを9歳から26歳までの女性を対象として承認することを今日発表した。これら2種類のHPVウィルスの型は子宮頸癌の発病原因の70%を占めており、また、割合は不明であるが外陰癌及び膣癌の一部の原因となることも知られている。「今や、このワクチンが子宮頸癌の予防のみならず、同ウィルスによって引き起こされる外陰癌及び膣癌から保護することに役立つ可能性を示す強力な証拠がある。」とFDA生物学的製剤評価研究センター長であるジェシー.L.グッドマン医師は述べた。 「外陰癌及び膣癌はまれだが、それらの予防に役立つ機会があれば、それはHPVに対するワクチン接種から得られる重要な付加的利益の一つとなり得る」 と同氏は続けた。 FDAは2006年にHPV16型および18型による子宮頸癌、HPV 6型、11型、16型および18型による外陰部の前癌病変, およびHPV 6型、11型による生殖器疣贅を予防することを目的として、9歳から26歳までの女性を対象に初のガーダシル使用を承認している。 HPVには100以上の関連ウィルスがあり、30以上の型が性的接触を通じて感染するおそれがある。 米国疾病管理予防センター(CDC)によると、HPVは米国において最も一般的な性感染症であり、毎年620万人のアメリカ人が生殖器HPVに感染している。 ほとんどの女性では、自らの身体が有する免疫システムによってHPVは排除され重大な健康上の問題に発展することは防がれている。しかし、HPVの型のなかには子宮頸部、膣、外陰部およびその他の部位において異常細胞の成長を引き起こすものがあり、それらの細胞は数年後に癌化することがある。 外陰癌及び膣癌の予防について、ガーダシルを製造したメルク社は1万5千人以上の臨床試験参加者を原研究からさらに約2年間フォローアップした。約半数の参加者らが原研究の一部としてガーダシルを投与され、残り半数は対照群として、ガーダシルを投与されなかった。 上記研究の開始時にHPV16型および18型が陰性だった女性において、ガーダシルはこれらの型に関連する外陰部および膣の前癌病変(癌の前兆と考えられている)を予防するのに極めて有効だった。ワクチンを投与されなかった対照群においては、10人が外陰部の前癌病変を発症し、9名が膣の前癌病変を発症した。これらは全てHPV16型および18型に起因する。ガーダシルを投与された群ではHPV16型または18型によるいずれの前癌病変も発症した者はいなかった。 ワクチン接種以前に既にワクチンの対象となる型のHPVに感染していたことが分かった女性に対する利益については、エビデンスが一切なかった。従って、ガーダシルによる利益の可能性を充分に得るためには、ワクチンに含まれているHPVの株種に感染する前にワクチン接種を受けることが重要である。 現在、FDAが承認している年齢である26歳を超えた対象者に本剤を使用することを裏付けるに十分な情報はないとの記載をガーダシルの添付文書は、改訂されている。また、ガーダシルよってワクチンに含まれていない型のHPVによる疾病からは保護されないことを示す情報が新しく追加された。 どのワクチンも100パーセント有効ではなく、接種時に既に感染しているおそれのあるHPVから女性を保護しない。従って、全ての女性はワクチン接種後であっても定期的にパップスメア検査を受ける必要がある。定期的なスクリーニングテストは、前癌病変を発見することで癌に発展する前に治療することが可能となるので極めて重要である。 FDAが2006年にガーダシルを承認して以来報告された有害事象の大多数は重大なものではなかった。最も一般的に報告される有害事象には、意識喪失(失神)、接種箇所の痛み、頭痛、吐き気および熱が含まれていた。失神は特に10代の対象者へ予防接種した後によく見られた。失神後に倒れることによって、場合によっては頭部挫傷など重大な負傷を引き起こすおそれがある。このような負傷はワクチン接種後、接種された者を15分間席に座ったままにするなどの簡単な処置で防ぐことが可能である。いずれのワクチンであっても接種後に発生するおそれのある重篤なアレルギー反応に注意するため、このような観察期間を設けることを推奨する。 最初の承認の一部として、メルク社は総合健康管理された機関において4万4千人の参加者を対象に安全な調査研究を行った。この研究では全ての承認されたガーダシルの使用について短期的および長期的な安全性を評価している。 その他の全てのワクチン同様に、FDAおよびCDCはガーダシルの安全性について厳しく監視を続けている。ガーダシルに関する最新の安全性情報は7月22日に発表されており、www.fda.gov/cber/safety/gardasil071408.htmのサイトにて閲覧できる。 ガーダシルの製品商品情報については、www.fda.gov/cber/products/gardasil.htmのサイトで閲覧可能である。 メルク社は米国ニュージャージー州ホワイトハウス・ステーションに拠点を置く。

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佐々木了子 訳 林 正樹(血液・腫瘍内科)監修 

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