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進行期消化管間質腫瘍(GIST)治療における有望な新標的療法

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進行期消化管間質腫瘍(GIST)治療における有望な新標的療法

NCI(米国国立がん研究所)ブログ~がん研究の動向~

進行期消化管間質腫瘍(GIST)に対する新たな分子標的薬の2つの初期臨床試験において、有望な予備結果 が示された。

 

 この2種の治療法は、ほとんどのGISTの増殖に関与する異常な分子シグナル伝達経路を遮断するようデザインされている。第I相試験はまだ実施中であるが、初期の結果では、過去に数種の治療を試した患者において、腫瘍の縮小または安定化(サイズが不変)など有効である可能性が示唆された。

 

この所見は暫定的ではあるが、NCIがん研究センターのLee Helman医学博士は「これらの薬剤は標準的な治療法に対して腫瘍が反応しなくなったGIST患者への治療として大変有望です」と述べた。

 

試験結果は今月初旬、ミュンヘンのEORTC-NCI-AACR Molecular Targets and Cancer Therapeutics Conference Exitにて発表された。

 

GISTは消化管組織から生じる肉腫の一種で、手術で摘出できることもあるが、腫瘍によっては外科的摘出が不可能になるほど増大するか、外科的摘出の最中に損傷するおそれのある臓器に近接して発生する。

 

オレゴン健康科学大学 Knight がん研究所の治験医師Michael Heinrich氏は、試験データのプレゼンテーションで、外科的摘出が不可能なGISTについて長年「肉腫に対する従来の化学療法では効果がないため医学的に治療不能であるとみなされてきた」と述べた。

 

しかし、同氏は、試験にてほとんどのGISTを引き起こす遺伝子変異がチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)という種類の薬剤の標的となることが示された2000年頃に、「GIST治療の革命」が始まったと説明した。現在GIST治療において承認を受けているチロシンキナーゼ阻害剤は、イマチニブ(グリベック)、スニチニブ(スーテント)、レゴラフェニブ(スチバーガ)などがある。

 

これらの薬剤はGIST治療における重要な進歩を示しているが、チロシンキナーゼ阻害剤への抵抗性はいずれ生じる。しかし研究者たちは現在、この抵抗性がどのようにGIST患者に生じるかを十分理解している。Heinrich氏によると、腫瘍細胞は、KIT遺伝子およびPDGFRα遺伝子における特定の変異によって、イマチニブのようなチロシンキナーゼ阻害剤が創り出す「増殖スイッチのオフ」(不活性化)を回避できるようになり、チロシンキナーゼ阻害剤投与下でもGISTを増殖させる分子シグナル伝達経路を再活性化させるとみられている。

 

本会議の目玉となった2種の薬剤(BLU-285およびDCC-2618)は、腫瘍細胞を増殖させるKIT遺伝子およびPDGFRα遺伝子の変異を阻害することで抵抗性の分子的メカニズムに対処するようデザインされている。

 

Blueprint Medicines社が開発したBLU-285の試験では、以前に少なくとも他の 2種類のチロシンキナーゼ阻害剤を投与された、あるいはチロシンキナーゼ阻害剤抵抗性と関連する遺伝子変異を有すると診断された患者を登録している。現在まで評価された32人のうち7人は、そのうち多くが以前3種以上の治療レジメンを受けていたが部分奏効に至り、別の10人では腫瘍の増大が停止した。

 

Deciphera Pharmaceuticals社が開発したDCC-2618の試験に登録している患者は、すでに平均4種以上のチロシンキナーゼ阻害剤を投与されていた。ほとんどがGIST患者であるが、3人はGISTと同じ薬剤抵抗性変異を有する希少腫瘍タイプに罹患している。

 

PET スキャンにて、薬剤が速やかに腫瘍の代謝を減速させることが示され、患者2人が治療によって長期の部分奏効を示している。この2人のうち1人はGIST患者で、もう1人は治療に対して極端な抵抗性を示す高悪性度の脳腫瘍である神経膠芽腫患者である。

 

両試験において、画像スキャンにて腫瘍反応を確認する前に、治療開始時より血液内の腫瘍由来DNA が速やかに消失した。

 

両試験の患者に発現した薬剤の副作用は比較的わずかであった。BLU-285試験では今のところ薬剤関連副作用のために治療を中止した患者はおらず、DCC-2618試験では治療を中止したのは1人のみである。両試験とも薬剤の最大耐量はまだ特定されていない。

 

これまでの結果を元にすると、両薬剤は、GIST患者において、抵抗性が生じる前の早期治療として期待できるとHelman氏は言う。

 

「幸運にも都合の良い標的があって抵抗性のメカニズムを理解でき、実際に抵抗性を生じさせる変異を標的とする薬剤があります。まさに目を見張るような結果をお示しできるでしょう。標的を攻撃する薬剤があれば、それが作用するのです」。(Dr. Helman氏)

原文掲載日

翻訳柏崎末久

監修小宮武文 (腫瘍内科/カンザス大学医療センター) 

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