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ラソフォキシフェン、乳癌リスクを低下させる新選択肢となるか

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ラソフォキシフェン、乳癌リスクを低下させる新選択肢となるか

Lasofoxifene Is Potential New Option for Breast Cancer Risk Reduction(Posted: 12/07/2010)

 – タモキシフェンおよびラロキシフェンと同系統である試験薬は、一部の女性において、乳がんリスクの低下に両薬剤と同程度もしくはそれ以上の有効性を持つ可能性がある。また、ラソフォキシフェンと呼ばれるこの試験薬は、タモキシフェンおよびラロキシフェンと同様に骨および心臓の健康に重大な利益をもたらすが、両薬剤にまれに生じる重篤な副作用はないようである。同臨床試験の結果は、11月4日付けのJournal of the National Cancer Institute誌電子版に発表された。

NCIキャンサーブレティン2010年11月16日掲載記事より(最新号日本語版はこちら

タモキシフェンおよびラロキシフェンと同系統である試験薬が、両薬剤と同じかそれ以上に一部の女性において乳癌リスクの低下に有効である、という大規模な臨床試験の結果が発表された。この試験薬はラソフォキシフェンとよばれ、タモキシフェンおよびラロキシフェンと同様に骨および心臓の健康に重大な利益をもたらすとみられている。また、タモキシフェンおよびラロキシフェンにおいてまれにおこる重篤な副作用がないとみられている。同臨床試験の結果は、11月4日付けのJournal of the National Cancer Institute誌電子版に発表された。

発表されたのは、PEARL試験とよばれるランダム化臨床試験における知見で、同試験には骨粗しょう症をもつ閉経後女性8500人以上が参加し、プラセボまたは投与量の異なるラソフォキシフェン(0.25mgまたは0.5mg)のいずれかを毎日5年間摂取するように割り付けられた。3年間の追跡期間に基づく初期結果によると、プラセボを投与された女性と比べ、0.5mgのラソフォキシフェンを投与された女性において、エストロゲン受容体(ER)陽性の乳癌のリスクが減少した。

5年間の追跡期間に基づいて今回発表された結果によると、プラセボを投与された女性と比べ、0.5mgのラソフォキシフェンを投与された女性において、乳癌全体のリスクが79%、ER陽性浸潤性乳癌のリスクが83%低下した。

フレッドハッチンソンがん研究センターのDr. Andrea LaCroix氏らによる報告によると、0.25mgのラソフォキシフェンを投与された患者においてもリスクの低下は見られたが、統計上有意な減少では無かった。また、0.5mgのラソフォキシフェンを摂取した女性において、脊椎および非脊椎骨折、心血管イベント、脳卒中において統計上有意な減少がみられた。著しい副作用は、血栓がおこるリスクの上昇のみであった。

また、同臨床試験に参加している乳癌患者49人全てとプラセボ投与を受けている156人を含め、コホート内症例対照研究が実施された。臨床試験参加当時にエストラジオールホルモン値の高かった女性が、ラソフォキシフェンからより大きながん予防効果を得ていたとみられる。しかし、これは全乳癌発生率においてのみ統計的に有意であり、ER陽性乳癌においては有意でない。

「ラソフォキシフェンの長期的な有効性については、利益、不利益両方の転帰についてのより完全な情報が必要だ」と Geisinger医療センターのDr. Victor Vogel氏は付随論説で述べた。タモキシフェンとラロキシフェンによる乳癌リスク減少効果を確定づけたSTAR試験に参加した患者に比べ、今回の臨床試験に参加した女性の平均年齢が有意に低かったにも関わらず、乳癌全体のリスクも低かった(参加患者のゲイルモデルによる計算に基づく)。

それにも関わらず、Vogel氏は、PERAL試験において「劇的な」リスク低下がみられたことを前提として、今回の知見は「有望である」と述べる。ラソフォキシフェンはまだ試験薬の段階である。同試験薬を製造するファイザーは、5月、骨粗しょう症の治療薬として販売するためのFDA申請を撤回した。スポークスマンによると、同社は他社への売却を含めたいくつかのオプションを検討しているという。

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内田 彩香 訳

原 文堅(乳腺科/四国がんセンター) 監修

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