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ゲフィチニブはEGFR遺伝子変異を有する進行肺癌の無増悪生存期間を改善する

  • 2010年8月12日

    ゲフィチニブはEGFR遺伝子変異を有する進行肺癌の無増悪生存期間を改善する Gefitinib Improves Progression-free Survival for Metastatic Lung Cancers with EGFR Mutations

     (Posted: 08/12/2010) -日本で行われた第3相試験の結果によると、ゲフィチニブ(イレッサ)の投与を受けた新たに診断された転移性非小細胞肺癌(NSCLC)患者は、カルボプラチン+パクリタキセルを投与された患者患者比べ、奏効率および無増悪生存期間が長かった。

    NCIキャンサーブレティン2010年6月29日号参照 

    新たに(転移を有する)進行非小細胞肺癌(NSCLC)と診断され、ゲフィチニブ(イレッサ)を投与された患者は、カルボプラチンパクリタキセルを投与された患者に比べ、有意に奏効率が高く、無増悪生存期間も長かった(73.7%対30.7%、10.8カ月対5.4カ月)ことが、日本で行われた第3相試験の結果で示された。この結果は、6月24日付New England Journal of Medicine誌に発表された。

    この臨床試験に登録された全患者は、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)であるゲフィチニブに対して感受性がある上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異を有していた。登録患者は耐性EGFR 遺伝子変異であるT790Mはなく、化学療法の前治療歴もなかった。

    宮城県立がんセンターの前門戸任医師を筆頭とした研究者たちは、この研究によって感受性EGFR 変異を有するNSCLC 患者に対する一次治療としての、EGFR チロシンキナーゼ阻害剤の臨床上の有効性が確立されたと考えている。「ゲフィチニブが二次治療や三次治療として投与される場合、患者は治療を受ける機会を逸することになるかもしれない。なぜなら、一次治療の期間中または治療後に疾患が急速に進行するためである」。

    この臨床試験は、予定されていた200人登録時点での中間解析で、疾患増悪または死亡がゲフィチニブ群で70%減少したことが明らかにされたのち、2009 年に早期中止された。最終的に日本国内の43 施設から230人の患者が登録され、解析の対象となった。1 年の時点で、ゲフィチニブ群の42.1%が無増悪だったのに対し化学療法群は3.2%、2 年後には化学療法群全員の疾患が増悪していたのに対し、ゲフィチニブ群は8.4%が依然、無増悪であった。女性の無増悪生存期間は、男性よりも有意に長かった。

    一次治療を終了後または化学療法実施中に疾患が増悪した患者は、他群の治療を受けることが可能であり、112 人のうち106 人がゲフィチニブの投与を受けた。これらの患者の59%にゲフィチニブを用いた二次治療が奏効した。研究者らは、両群間の全生存率の差が統計的に有意でなかったのは、このクロスオーバーが影響した可能性があると著している。

    米国でのゲフィチニブは、2005年の臨床試験で、患者を選択しない場合にはほとんど利益をもたらさないことが示されて以来新規には使用されておらず、現在の米国ではこの薬剤は非常に限定的な適応となっているが、一方エルロチニブ(タルセバ)は二次治療におけるEGFR TKI薬として承認されている。ゲフィチニブとエルロチニブの作用機序は類似しており、感受性EGFR遺伝子変異を有する患者は、エルロチニブ治療に対しても非常に反応がよい。

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    横山 加奈子訳

    久保田 馨(呼吸器内科/国立がん研究センター中央病院)監修

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