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試験で示された慢性骨髄性白血病(CML)のさらなる治療選択肢

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試験で示された慢性骨髄性白血病(CML)のさらなる治療選択肢

Trials Point to More Treatment Options for Chronic Myeloid Leukemia

(Posted: 07/08/2010) – Two studies published online June 5, 2010, in the New England Journal of Medicine誌2010年6月5日電子版に掲載された2つの試験によると、慢性骨髄性白血病(CML)患者において第2世代のキナーゼ阻害剤は、少なくとも短期ではイマチニブより優れる。

NCIキャンサーブレティン2010年6月15日号参照

2つの第3相臨床試験の短期間における中間結果によると、慢性骨髄性白血病(CML)患者が新たな初回治療を選択できるようになる可能性がある。ただ、標準的一次治療であるイマチニブ(グリベック)と比較して、これらの薬剤が長期生存を改善するかどうかはまだ明らかではない。この情報は、新たにCMLと診断される患者が最適な治療を決定する際に重要になるだろうと述べる研究者もいる。この2つの試験データは、シカゴで開催されたASCO年次総会で先週発表され、6月5日にNew England Journal of Medicine(NEJM)誌電子版に掲載された。

これらの試験はダサチニブ[dasatinib](スプリセル[Sprycel])とニロチニブ[nirotinib](タシグナ[Tasigna])をそれぞれイマチニブと比較した。これらの薬剤はイマチニブと同様、CMLを増悪させる分子であるBCR遺伝子とABL遺伝子の融合遺伝子を標的とする第二世代の薬剤である。この融合遺伝子は、CMLの特徴である白血球の過剰産生を促進する。両試験において、新しい治療薬のどちらかを投与された患者は、細胞遺伝学的完全寛解、つまり、BCR-ABL融合遺伝子を持つ染色体(フィラデルフィア染色体と呼ばれる)を含む細胞が完全に消失した割合が、イマチニブを投与された患者よりも高かった。また、ほとんど全ての癌細胞の消失を意味する分子遺伝学的大寛解(major molecular response)の割合も高かった。

519人の患者を登録したダサチニブとイマチニブを比較するDASISION試験では、12カ月経過観察した時点での細胞遺伝学的完全寛解率は、ダサチニブ投与患者で77%、イマチニブ投与患者で66%であった。分子遺伝学的大寛解率はそれぞれ46%、28%であった。

846人が登録したニロチニブを投与するENESTnd試験では、2種類の投与量のニロチニブとイマチニブを比較した。どちらかのニロチニブもしくはイマチニブを投与された患者の細胞遺伝学的完全寛解と分子遺伝学的大寛解の割合は、DASISION試験で確認された割合と同程度であった。両試験において、有害事象は非常に軽度であり、対処可能であった。

両方の薬剤とも、イマチニブに耐性化した、もしくは抵抗性のCMLへの治療投与がFDAによってすでに承認されているが、イマチニブよりも強力である。さらに、これらの薬剤に対しては、薬剤に抵抗性を持たせるBCR-ABL遺伝子の変異がイマチニブよりも少ないようであると、Dr.Charles Sawyers氏は説明した。同氏の研究は、史上初めて、最も成功した癌分子標的治療の1つであるイマチニブの開発につながった。

「この2つの試験における効果と有害事象に関するデータは、ダサチニブもしくはニロチニブがイマチニブよりも一次治療として優れていることを強く裏づけるものである」とSawyers氏はNEJM誌の付随論説で記している。しかし、イマチニブはあと数年でジェネリック薬として利用可能となり、「費用対効果に対する高まる要求」もあるので、CMLに対する一次治療の選択肢として残るかもしれないと同氏は指摘した。

2月にFDAは、ノバルティス社によって製造されるニロチニブをCMLに対する一次治療とするかどうかの優先審査を認定した。ダサチニブを製造するブリストルマイヤーズスクイブ社は、この薬剤をCMLに対する一次治療薬とする承認を得るため「DASISION試験のデータを世界中の健康機関に今年提出する準備中」であるとニュースリリースで発表している。

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 野長瀬 祥兼 訳

林 正樹(血液・腫瘍内科医/敬愛会中頭病院)

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