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ついに解明 ストレスがDNA損傷を引き起こす理由/デューク大学

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ついに解明 ストレスがDNA損傷を引き起こす理由/デューク大学

デューク医療ニュース(Duke Medicine News and Communications)

何年もの間、研究者らは慢性的ストレスが染色体損傷と関連するという論文を発表してきた。

今回デューク大学医療センターの研究者らは、DNA損傷の観点からストレス反応を説明できるメカニズムを発見した。

「慢性的ストレスに顕著な特徴であるアドレナリンの上昇が、検出可能なDNA損傷を最終的に引き起こすことになる特定のメカニズムを初めて提示したのがこの論文であるとわれわれは考えています」と、統括著者のRobert J. Lefkowitz医師は述べた。同氏はデューク大学医学部生化学部のJames B. Duke教授であり、同大学医療センターのハワード・ヒューズ医学研究所(HHMI)の研究者でもある。

この論文は8月21日付のNature誌電子版に発表された。

この研究では、βアドレナリン受容体と呼ばれる受容体に作用するアドレナリン様化合物をマウスに投与した。βアドレナリン受容体とは、Lefkowitz博士が長年研究を重ねてきたものである。研究者らはこの慢性ストレスモデルがある生物学的経路を誘発し、最終的にDNA損傷を蓄積させることを見出した。

「白髪などといった単に美容的なことから、悪性腫瘍のような死亡につながるおそれのある疾患に至るまで、どのように慢性ストレスがさまざまなヒトの健康状態や疾患をもたらしているかについて、ここから妥当な説明が得られるかもしれません」とLefkowitz博士は述べた。

p53は腫瘍抑制タンパク質であり、ゲノム異常を予防する「ゲノムの守護者」とみなされている。

「この研究から慢性ストレスがp53値の低下を長期化させることがわかりました」と、Lefkowitz研究室の博士研究員であるMakoto Hara医学博士(PhD)は述べた。「これこそが、この慢性ストレスを与えたマウスで認められた染色体異常の理由であると、われわれは仮説を立てました」。

Lefkowitz博士はこれまでにβアドレナリン受容体などのGタンパク質共役受容体(GPCR)の存在を発見、単離し、特性解析を行っている。このような受容体は細胞をとりかこむ膜の表面に存在しており、心疾患治療薬のβ遮断薬や抗ヒスタミン剤、潰瘍治療薬など、今日市販されている薬剤のおよそ半数が標的としているものである。

現在、博士は同研究室で発見されたGPCRに由来するβアレスチン経路として知られるもう一つの経路について研究を継続している。

当初の理論は、βアレスチンタンパク質がGタンパク質経路を遮断もしくは脱感作させるというものであったが、このようなβアレスチンタンパク質自体がある種の生化学的活性にも関与していることを示す証拠が蓄積されている。

現在の研究では、アドレナリン様化合物がGタンパク質とβアレスチン経路双方を通じてDNA損傷を引き起こすように作用するという分子メカニズムが明らかになった。

Nature誌に掲載された論文では、マウスにアドレナリン様化合物を4週間投与するとp53の変性が起こり、その後p53は徐々に低値となる。

また、この研究では、βアレスチン1が欠損したマウスではDNA損傷が予防されることも示された。βアレスチン1欠損により、胸腺及び精巣における細胞内のp53値が安定化する。胸腺は急性もしくは慢性のストレスに強く反応する臓器である。精巣では、父親にかかったストレスが子のゲノムに影響を与える可能性がある。

Lefkowitz研究室が今後計画している研究には、今回のように実験的にアドレナリンを投与するのではなく、実際にマウスをストレス下に置く(拘束する)ことでアドレナリン産生またはストレス反応を起こさせ、DNA損傷の蓄積が起こるかを調べる研究などがある。

その他の著者は以下の各位である。Jeffrey J. Kovacs、Erin J. Whalen、Sudarshan Rajagopal、Ryan T. Strachan、Seungkirl Ahn、Barbara Williams、Christopher M. Lam、Kunhong Xiao、Sudha K. Shenoy(以上、デューク大学医学部)、Aaron J. Towers、Simon G. Gregory(以上、デューク大学医学部ヒト遺伝学センター)、Wayne Grant、Derek R. Duckett(以上、トランスレーショナルリサーチ研究所、スクリプス研究所[フロリダ州ジュピター])。

この研究はハワード・ヒューズ医学研究所の助成金を受けた。

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窪田美穂 訳
橋本 仁(獣医学)監修
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原文

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