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病院によって異なる甲状腺癌の治療法/ミシガン大学

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病院によって異なる甲状腺癌の治療法/ミシガン大学

どういう甲状腺癌患者に放射性ヨード治療が有効かについて理解を深める必要性を示唆する試験

2011年8月16日
ミシガン州アンアーバー — 甲状腺癌患者では、どの病院で治療を受けるかが、放射性ヨード治療を受けるか否かを大きく左右する。本知見は、ミシガン大学総合がんセンターによる新たな試験の結果から明らかになった。

腫瘍の大きさおよび重症度も治療法に影響を及ぼしていた一方で、説明できない病院特性という要因が、放射性ヨードの使用に多大な影響を及ぼしていたことが分かった。

「どの病院で受診するかで、放射性ヨードの使用状況に差がみられます。腫瘍がどういう状態であるかというだけではなく、治療を受ける場所が問題となっているのです」と本試験の主著者であるMegan Haymart医師(ミシガン大学医学部内科学準教授)は述べた。

こうした本試験の結果が、8月17日付JAMA誌に掲載された。

甲状腺癌は、近年、米国で最も多くみられる癌の上位10位に入っており、今後10年で、より小さく早期の癌が発見されていくにしたがって、さらに一般的になっていくとも予測される。

甲状腺摘出手術後の放射性ヨードの使用は、非常に再発しやすい進行期または高危険度の甲状腺癌に対しては、有効な治療法として知られている。しかし、癌が小さく、低危険度の患者では放射性ヨード治療を行わなくても、予後は極めて良好であることが多い。そのため、こうした患者に不必要な治療をし、副作用のリスクにさらしてしまうことに疑問を持ち、放射性ヨード治療をためらう医師もいる。

「放射性ヨード治療は、ある種の患者にとっては治療上非常に重要な役割を担っていますが、他方ではリスクがベネフィットを上回る可能性があります。最良の治療方針が何であるかを理解するために、低危険度の患者群を対象とした試験がもっと実施されなくてはなりません」とHaymart氏は述べる。

今回の試験では、1990年から2008年にかけて、甲状腺癌と診断され、米国癌情報データベースに報告された189,219人の患者データが調査された。同データベースは米国における全甲状腺癌患者の約85%が登録されている。

この結果、放射性ヨード治療が、全般的により頻繁に行われるようになっていることが判明した(1990年に同治療を受けている患者割合が40%であったのに対し、2008年には56%)。腫瘍の大きさと重症度は、放射性ヨードの使用状況に確実に影響を与え、治療法選択に対する影響は約21%であった。また、その病院が多くの甲状腺癌患者を診ているかといった要因も影響していた。しかし、放射性ヨード治療選択に対する影響のうち29%は、説明できない病院特性に起因していた。

「高危険度の患者間(ガイドラインに、放射性ヨード治療を受けるべきであると明記されているような患者)でさえ、治療法にばらつきがみられます。これは、医師が放射性ヨードの適応について、曖昧であることを示唆しています。適応に関してより優れたガイドラインを策定するために、低危険度の患者群を対象として、放射性ヨードの効果を調べるランダム化臨床試験が必要なのです」とHaymartは述べた。

放射性ヨード治療には、二次癌発生の恐れや、唾液腺など甲状腺の周囲にある組織を傷つけるリスク等、長期にわたる副作用を生じる可能性がある。その上、治療の際には安全性対策として、患者を1週間ほど幼い子どもと接触させないようにし、治療後は最長で1年間、妊娠を避けなくてはならない。

 

甲状腺癌統計:米国がん協会によると、今年は44,670人の米国人が甲状腺癌と診断され、1,690人がこの病気で死亡すると予測されている。

 

その他著者:Mousumi Banerjee, Ph.D.; Ronald J. Koenig, M.D., Ph.D.; John D. Birkmeyer, M.D.; Jennifer J. Griggs, M.D., M.P.H., from U-M; and Andrew K. Stewart, M.A., from the American College of Surgeons

 

資金提供:米国国立衛生研究所

 

開示:制限なし

 

参照:Journal of the American Medical Association, Vol. 306, No. 7, Aug. 17, 2011. “Use of Radioactive Iodine for Thyroid Cancer”

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濱田 希 訳
野長瀬祥兼(工学/医学) 監修
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原文

 

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