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HLA半合致移植によりドナーの枠が拡大/ジョンズホプキンズ大学

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HLA半合致移植によりドナーの枠が拡大/ジョンズホプキンズ大学

HLA半合致移植によりドナーの枠が拡大
2011年7月6日
HLA半合致骨髄と臍帯血を用いた移植がHLA適合移植と同等の成績を示した2つの臨床試験の結果により、骨髄移植を必要とする白血病患者やリンパ腫患者に適合するドナーを見つけることは、著しく容易になる可能性がある。この結果は、効果的な免疫抑制剤や移植後の特殊な化学療法に負うところが大きい。この試験に参加したジョンズホプキンス大学の研究者によれば、この知見は移植を必要とするほぼすべての患者がドナーを見つけることが可能となることを示しているという。

また、380人の患者に対して半合致骨髄移植または臍帯血移植を行う4年間のランダム化試験について、2011年の後半または2012年の上旬の開始にむけて現在計画中である。この試験には、ジョンズホプキンスを含めた大規模の医療施設が多数参加するものと見込まれている。
患者自身の組織型と適合している親族がいない患者が直面する問題に取り組む試験であり、この試験成績は朗報である、とジョンズホプキンスの研究者たちは述べる。患者や医師は米国のレジストリーを通じてドナーを検索するが、患者の半分ないしそれ以上は、レジストリーにおいて適合ドナーを見つけることができない。さらに、検索すること自体に数週間から数ヶ月かかる。
「その間、病状が進行してしまいます」と骨髄移植の専門家であるFuchs医師は指摘する。「また、マイノリティー(少数民族)は、レジストリーへのドナー登録数自体が少ないため、特に適合ドナーを見つけるのは困難です。」
「適合するドナーがレジストリーから見つかるのを待った状態で死亡してゆくのです」ジョンズホプキンス・キンメルがんセンター腫瘍科の准教授も務めるFuchs医師は続けて述べる。
また、ジョンズホプキンス骨髄移植ディレクターであるJones医師は、半適合移植について次のように述べる。

臨床試験では、27の医療施設で血液・骨髄移植臨床試験ネットワークの試験医師が、HLA半合致骨髄移植、臍帯血移植の2種類の移植のいずれかを行い、2011年7月14日発行のBlood誌で結果を発表した。進行期、または再発に関して高リスクの白血病またはリンパ腫患者50数人が、いずれかの第2相試験に組み入れられた。参加施設のうち6施設は、両方の種類の移植を行った。ジョンズホプキンスでは半適合移植の試験のみを実施した。

臍帯血移植は、出産後に臍帯および胎盤より得られた臍帯血を移植するものであるが、臍帯血1ユニットの細胞含有数が低いため、一般的に小児患者に対して行われる。一方、成人患者の場合は2ユニットが必要となる。

骨髄は、ドナーの寛骨から針を用いて採取する。患者の組織型と半合致する骨髄は、肉親、子供および兄弟の多くから得られる。

この2試験の成績では、1年生存率は臍帯血移植で54%であったのに対し、半合致骨髄移植では62%であった。1年無病進行生存率については、臍帯血移植では46%、半合致移植では48%であった。試験医師によると、この成績は、完全適合した兄弟または非血縁成人ドナーからの移植を受けた患者で得られる生存率と同等である。

1年再発率は半合致骨髄移植では45%、臍帯血移植では31%であった。ドナーの免疫細胞が患者の正常組織を攻撃する、いわゆる移植片対宿主病(GVHD)に関しては、骨髄移植後には重篤なものは認められなかった。

移植後1年時点での再発以外の死亡は、半適合骨髄移植では7%、また臍帯血移植では24%となった。

今回の試験で半適合移植を行ったFuchs医師によると、以前は特に高年齢の患者において、半合致骨髄移植は移植片による重篤なGVHDによって失敗に終わることが多かった。今回の試験に登録した患者の半数が50歳以上であったことに触れ、「10年前は、半適合移植を実施することなどは考えられませんでした」と述べた。

GVHDの問題を克服するに当たり、ジョンズホプキンス骨髄移植プログラムの同医師らは、GVHDの影響を最小限にするため、移植後に化学療法剤シクロフォスファミドを用いる方法を開発した。本剤は、投与患者の免疫系を消し去るが、移植された幹細胞は無傷に保つ。幹細胞は移植患者において新たな、病気のない血液細胞を作り出す。

試験医師はまた、半合致骨髄移植前に、低強度の化学療法または放射線療法による前処置レジメンを実施することが、重篤なGVHDの予防となっている可能性があると見込んでいる。外来での前処置療法を6日間実施する。その後、ドナーの骨髄を採取し、同日に患者に経静脈的に点滴する。続いてシクロフォスファミドの高用量投与を2日間、さらにその他の免疫抑制剤投与を実施する。

16~24日で、感染症や血液凝固に重要である、それぞれ白血球や血小板など新たな造血が患者で認められる。患者の30~40%では外来での移植が可能であるが、発熱や感染症による入院が必要となる患者もいる。移植患者については慎重に観察を行い、移植後60日間は移植を受けた病院の近くに滞在することになる。

臍帯血移植を受けた患者についても同様のレジメンを実施するが、移植前に7日間の化学療法および放射線療法を実施のうえ、2名のドナーからの臍帯血を移植することとなる。
Fuchs医師は、半合致骨髄移植については再生不良性貧血、ループスおよび鎌状赤血球貧血など非悪性腫瘍でより広く試験が実施される可能性があると見込んでいる。移植後にシクロフォスファミドを投与する半合致移植法は、イタリア、タイ、シンガポール、イスラエル、オーストラリア、ベルギーおよびイギリスなど米国国外でも試験されつつある。

この臨床試験は米国国立心肺血液研究所および米国国立癌研究所の資金提供を受けて実施された。

Claudio Brunstein医師(ミネソタ大学)が臍帯血移植試験を主導で実施した。その他の試験医師は、Emmes Corporation社データセンターのShelly Carter およびJuan Wu、City of HopeのChatchada Karanes、南カリフォルニア医学校のLuciano Costa、オハイオ州立大学よりSteven Devine、フロリダ大学よりJohn Wingard、カンザス大学よりOmar Aljitawi、ダナファーバー研究所のCorey Cutler、ヴァンダービルト大学のMadan Jagasia、マサチューセッツ総合病院のKaren Ballen、ウィスコンシン医学校のMary Eapenおよびフレッドハンチントン研究所のPaul O’ Donnellが当該試験に参加した。

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菅原宣志 訳
吉原 哲(血液内科/造血幹細胞移植) 監修
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原文

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