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PSA値の変化は前立腺癌発症の予測にならない/スローンケタリング記念がんセンター

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PSA値の変化は前立腺癌発症の予測にならない/スローンケタリング記念がんセンター


PSA上昇速度に基づくスクリーニングは不必要な生検を多く行う結果となることからスクリーニング法から除外すべき
2011年2月24日
スローンケータリング記念がんセンター

 

ニューヨーク発 ― PSA上昇速度(PSA velocity)は前立腺癌の予測因子としては不十分であり、多数の不必要な生検を実施する可能性があることを、スローンケタリング記念がんセンターの研究者らが明らかにした。5,000人以上の患者による今回の新研究は2月24日付けのJournal of the National Cancer Institute誌オンライン版に掲載された。主著者で疫学・生物統計学部門の研究方法論副担当のAndrew Vickers医学博士は、「高いPSA上昇速度を示す以外に徴候のない男性に生検を推奨することを支持するエビデンスは得られませんでした。つまり、過去何年かでPSA値が急上昇したとしても、全体的にPSA値が低いままで臨床検査が正常であれば考慮しなくてよいということです」と述べた。[pagebreak]——————————————————————–
「高いPSA上昇速度を示す以外に徴候のない男性に生検を推奨することを支持するエビデンスは得られませんでした。つまり、過去何年かでPSA値が急上昇したとしても、全体的にPSA値が低いままで臨床検査が正常であれば考慮しなくてよいということです」
Andrew Vickers医学博士(本研究の主著者、疫学・生物統計学部門研究方法論副担当)
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米国癌協会によると、前立腺癌は米国人男性における癌の第一位で、男性の癌死亡原因としては第二位だという。前立腺癌の早期発見法としてPSAスクリーニング法が広く実施されているが、高い過剰診断率とも関連しており、不必要な治療や不安につながるおそれがある。現在いくつかの機関(全米癌情報ネットワークおよび米国泌尿器学会)から出されている早期発見ガイドラインでは、PSA値の急激な上昇、つまり高いPSA上昇速度となったときは他に癌の存在を示す徴候がない場合でも前立腺癌の外科的生検をすべきとされている。ベースラインPSA値の上昇または直腸指診(DRE)陽性の場合も生検推奨となっている。

本研究は前立腺癌予防試験(Prostate Cancer Prevention Trial)の参加者を対象とした。55歳以上で過去に前立腺癌と診断されたことがなく、DRE正常、ベースラインPSA値が3.0ng/mL以下の男性5,519人を、前立腺肥大症(BPH)の治療に通常用いられるフィナステリド群またはプラセボ群に7年間無作為に割り付けた。今回の研究は特にプラセボ群に注目した。参加者には毎年PSA検査を実施し、PSA値が4.0ng/mLを超える場合は生検推奨とした。7年後、前立腺癌と診断されていない参加者に研究終了時点での生検実施について同意を求めた。

Vickers氏らは、年齢、人種、PSA値等のリスク要因による補正を行ってもPSA上昇速度と生検の結果に重要な関連はないことを発見した。PSA上昇速度よりもPSA値のみを取り扱うほうが生検結果の予測因子としては有効であった。

外科部門代表のPeter T. Scardino医師は、「今回の研究は診療に変化をもたらすでしょう。われわれは以前、PSA値は月ごとに自然に変化することを報告し、PSA値が急上昇した場合は生検に同意する前に6週間待って再検査することを推奨しました。大きな集団による今回の新研究では、PSA値の変化をもとに生検を推奨すると不必要な生検の実施につながり、われわれが発見して治療しておきたい悪性度の高い癌を発見する足しにはならないという強いエビデンスが示されました」と述べた。Scardino氏はさらに、「PSAが少し変化したぐらいで生検に走らないよう慎重になるべきです」と話している。

本研究は前立腺癌基金、シドニー・キンメル前立腺・泌尿器癌センター、および米国癌研究所(NCI)がScardino氏に交付したP50-CA92626 SPORE補助金の資金提供を受けた。この他米国国立衛生研究所(NIH)の協力を得ている。

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橋本 仁 訳
辻村 信一(獣医学/農学博士・メディカルライター)
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原文

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