2010/02/23号◆FDA最新情報「医療被曝低減策」「リツキシマブのCLLへの適応承認」「ESA剤のリスク管理プログラム」 | 海外がん医療情報リファレンス

2010/02/23号◆FDA最新情報「医療被曝低減策」「リツキシマブのCLLへの適応承認」「ESA剤のリスク管理プログラム」

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

2010/02/23号◆FDA最新情報「医療被曝低減策」「リツキシマブのCLLへの適応承認」「ESA剤のリスク管理プログラム」

同号原文
NCI Cancer Bulletin2010年2月23日号(Volume 7 / Number 4)
日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中〜

____________________

FDA最新情報

・画像診断の不要な放射線被曝の低減に向けた対策
・慢性リンパ球性白血病の治療にリツキシマブを承認
・FDAが貧血治療薬のリスク管理プログラムを発表

画像診断の不要な放射線被曝の低減に向けた対策

米国医薬食品局(FDA)は2月8日、広く用いられている3種の画像診断、すなわちコンピュータ断層撮影(CT)、ポジトロン断層法(PET)などの核医学検査ならびに透視診断による不要な放射線照射を減らす新たな方針について発表した。

CTなど電離放射線を用いる診断法が過剰に用いられたり、検査の放射線量の管理がなされないことなどにより、一般集団全体の不要な癌リスクの一因となる可能性について近年研究者らの間で懸念が高まっている

FDA医療機器・放射線保健センター長のDr. Jeffrey Shuren氏は今回の方針を発表するプレスリリースで、「米国人が画像診断により被曝する放射線量は過去20年間で急激に増加した。FDA方針の最終目標は、画像診断の利益を支持しつつも、リスクを最小限に抑えることである」と述べている。

今回の方針で、画像診断装置の安全な利用(検査ごとに放射線量を最適化するなど)の推進、情報を得たうえの判断(放射線照射をともなう検査実施の妥当性について適切な説明をするなど)のサポート、放射線被曝に関する患者への啓発を行う。

FDAはCTおよび透視装置の製造元に対し、必要条件として機器の設計に新しい安全装置を導入すること、より安全な技術を開発すること、医療従事者が安全に使用できるよう適切な研修の実施要請から始める予定である。FDAは3月30日および31日に開催される公開の集会で要件の詳細内容について意見を募集する。

慢性リンパ球性白血病の治療にリツキシマブを承認

FDAは慢性リンパ球性白血病(CLL)患者の治療にリツキシマブ(リツキサン)の使用を承認した。今回の承認は、CLL未治療の患者に対する化学療法剤フルダラビンおよびシクロホスファミドとの併用、または既承認薬が奏効しない患者への治療に適応とされている。リツキシマブは癌細胞表面の特異的抗原CD20に対するモノクローナル抗体である。リツキシマブがCD20に結合することで、CD20を発現する細胞に対し体内の免疫応答を引き起こす。

今回のFDA承認は2件の臨床試験結果に基づいており、いずれの試験でもリツキシマブと化学療法剤2種の併用により患者の腫瘍増殖を伴わない生存期間、すなわち無増悪生存期間の統計学的有意な改善が認められた。完全寛解(癌の徴候がまったくない状態)率は、両試験ともにリツキシマブ+フルダラビン+シクロホスファミド投与群でフルダラビン+シクロホスファミド投与群のおよそ2倍となった。一方、3剤併用投与群では一部の重篤な副作用の発生率が有意に高かった。

FDAは発表のなかで、リツキシマブは2008年以来CLL治療に承認された3番目の治療薬であると述べている。2008年3月にFDAはCLL患者の初期治療薬としてベンダムスチン(トレアンダ)を承認し、2009年10月には治療に反応しないCLL患者を対象にオファツムマブ(Arzerra)を承認している。

FDAが貧血治療薬のリスク管理プログラムを発表

赤血球生成促進剤(ESA)という抗貧血薬を癌患者に処方する医療従事者は、FDAの新たな要請によりリスク管理プログラムに参加を義務づけられる。同プログラムは、癌患者への薬の適切な使用について医療従事者への研修の実施、および薬のリスクとベネフィットやFDA承認を受けた適応について患者と話し合った記録文書の作成を求めている。また、医療従事者は患者に対し治療情報を提供し、ESAのリスクとベネフィットについて説明しなければならない。

今回の要請は、ESAのメーカーであるアムジェン社がFDAとの合意のもとに実行するリスク評価・軽減戦略(REMS)プログラムの一環である。ESAにはエポエチンアルファ(プロクリット、エポジェン)およびダルベポエチンアルファ(アラネスプ)がある。

癌患者の研究データでESAと死亡リスク上昇および腫瘍増殖の加速との関連性が示されたことを受け、FDAが実施した一連の規制措置としては今回が最新のものである。

FDAは、今回の要請により「多忙な医療従事者に新たな責任を負わせるものと承知している」と、FDA医薬品評価研究センター(CDER)抗腫瘍薬製品室長であるDr. Richard Pazdur氏は新プログラムについての会見で述べた。しかし癌患者にとってみれば、ESA治療による利益と不利益のバランスは「微妙なところである」とPazdur氏は話す。実際、ESA治療のリスクの可能性を理由として、化学療法中で治癒の転帰が見込まれる患者には現在は適応外となっている。このリスク管理プログラムにより、患者が「置かれた状況で最善の選択ができる」ようになる、とPazdur氏は強調した。

ESAを癌患者に処方したい医師は、アムジェン社運営のAPPRISEと呼ばれる研修・認証のプログラムを修了する必要がある。APPRISEに参加しない医療従事者は癌患者にESAを処方することが禁じられる。

また、各病院もAPPRISEプログラムに参加し、ESAを処方する院内の従事者が確実にプログラムに参加、遵守するシステムを確立しなければならない。医療従事者および病院のAPPRISE参加登録は3月24日に開始予定で、研修および認証までの期間は1年以内。その後3年ごとに再登録が必要となる。

ESAのREMSプログラムは「FDAにとっては新たな試みとなる」とCDER抗腫瘍生物製剤部門のDr. Patricia Keegan氏は説明した。FDAはこれまで複数の薬を対象としたREMSを要請したことはなく、複数の適用がある承認薬の一つの適応だけを対象としたREMSを要請したこともなかった、とKeegan氏は述べた。ESAは腎臓病やHIV治療に関連した貧血のコントロール目的にも承認されている。

******
橋本 仁 訳
林 正樹(血液・腫瘍内科医/敬愛会中頭病院) 監修

******

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

週間ランキング

  1. 1血中循環腫瘍DNAに基づくリキットバイオプシーの可能...
  2. 2非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  3. 3若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  4. 4乳がん検診におけるマンモグラフィの検査法を比較する新...
  5. 5免疫療法薬の併用はタイミングと順序が重要
  6. 6前立腺癌に対するホルモン療法
  7. 7アブラキサンは膵臓癌患者の生存を改善する
  8. 8リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  9. 9BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  10. 10コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...

お勧め出版物

一覧

arrow_upward