前立腺がんの治療決定に年齢が与える影響が大きすぎる/カリフォルニア大学サンフランシスコ校 | 海外がん医療情報リファレンス

前立腺がんの治療決定に年齢が与える影響が大きすぎる/カリフォルニア大学サンフランシスコ校

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前立腺がんの治療決定に年齢が与える影響が大きすぎる/カリフォルニア大学サンフランシスコ校


カリフォルニア大学サンフランシスコ校
2011年1月4日

News Office: Elizabeth Fernandez(415)502-6397

高リスク前立腺がんの高齢男性に提示される治療選択肢は若年者よりも少ないうえに、効果が低いものであることが多く、その結果、早期死亡の可能性もあることが、UCSF研究から新たに報告された。[pagebreak]年齢が75歳を超える高リスク前立腺がんの男性に対しては、手術や放射線などの積極的治療の代わりにホルモン療法や経過観察(watchful waiting)のみによって不十分な治療を行うことが多いことを研究者らは明らかにした。年齢が高いことを、治癒を目的とした治療を行う障壁であると考えるべきではないと研究者らは述べた。

「高齢男性では、リスクと治療法の決定がうまくかみ合っていない」と主任研究者のDr. Matthew R. Cooperberg氏は語る。「患者の年齢が治療法の決定に大いに影響していることから、疾患リスクと生存に対して年齢が果たす役割を明らかにしたいと考えた。高リスク前立腺がんの高齢男性に対する治療が不十分であることが、この年齢層のがん死亡率が高い理由の一つであるかもしれないことをわれわれは明らかにした。この年齢層では、低リスク患者への過剰治療も広く行われている。概して、治療法の選択は実年齢を基にして決定するよりも疾患リスクを基にする必要がある。」

本研究はJournal of Clinical Oncologyに発表され、電子版が入手可能である。

前立腺がんは男性にもっとも多いがんであり、肺がんの次にがん死が多い。米国がん協会は今年、217,730人が前立腺がんの診断を受け、32,050人が死亡するであろうと推計している。さらに、前立腺がんは高齢者にもっとも多いがんである。米国では今年、新規発症患者の64%が66歳以上の男性であり、23%が76歳以上であった。

それにもかかわらず、最適な治療選択肢を探索する研究の多くは75歳未満を対象にしている。この新たなUCSF研究は、前立腺がん患者を対象にして年齢、疾患リスク、生存の関連性について初めて調査したもののひとつである。

研究者らは、米国中の泌尿器科から集められた前立腺がん患者を縦断的に観察するがん登録であるCaPSURE(Cancer of the Prostate Strategic Urologic Research Endeavor)データベースの記録を調査した。調査時点でデータベースには13,805人の情報があった。

高齢者は、診断時点で高リスク前立腺がんであることが多く、治癒目的の局所療法を施されることが少ないことが研究者らにより明らかにされた。一方、高齢かつ高リスク前立腺がんの男性が積極的な治療を受けた場合、ホルモン治療や経過観察(watchful waiting)などの保存的治療を受けた場合よりも死亡率が46%低下する。

積極的な治療を行わないことが、高齢の前立腺がん患者の死亡率が高い理由の一つである可能性が本知見によって示唆されたと研究者らは語る。

「年齢は、前立腺がんの生存率の独立した予測因子ではない」とUCSFの泌尿器科部長であり、UCSF Helen Diller Family Comprehensive Cancer Centerの前立腺プログラムの共同代表者であるDr. Peter R. Carroll氏は語る。氏は本研究報告の共著者である。「治療法は、実年齢よりも疾患リスクと期待余命を考慮して決定するという考えをわれわれの知見は支持している。」

米国予防医療作業部会は75歳以上の男性に対するスクリーニングを明確に否定しているが、これは若年男性を対象とした研究結果を基にしており、さらに、患者の余命に関わるであろう健康状態や他の疾病の有無を考慮していない。

「高リスク前立腺がん高齢者は前立腺がんで死亡することが多いが、治療不足が一因である可能性がある」とUCSF泌尿器科とHelen Diller Cancer Centerの前立腺がん専門家であるCooperberg氏は語る。「歴年齢を軸として決定するという考えは見直すべきだ。局所進行がんのある患者には治癒の可能性のある積極的治療を受ける機会を、年齢に関わらず提供すべきである。」

これまで医師は、高齢者に対する手術のリスクを懸念してきたとCooperberg氏は語る。しかし研究者らは、限局性の高リスク前立腺がんを有し、余命が10年以上ある高齢者に対しては、手術や放射線療法の検討を勧めている。

「手術と放射線治療のリスクは確かに年齢とともに増大するが、私たちはベネフィットよりもリスクに注目しすぎているのかもしれない」と、Cooperberg氏は語る。「リスクとベネフィットのより良いバランスをとる必要がある。」

現在マサチューセッツ総合病院で研修中のUCSFの医学生、Seth K. Bechis氏が本研究の筆頭著者である。

Carroll氏とCooperberg氏は武田薬品工業株式会社から、本研究とは関係のない謝礼を受けたと報告している。Cooperberg氏はさらにアボットラボラトリーズ社からも謝礼を受けている。アボット社はCaPSUREを一部サポートしており、他の資金は政府からの複数の補助金である。

UCSFは先端的な生物医学研究や、生命科学および医療関連職に対する大学院レベルの教育、さらには卓越した患者ケアで世界の健康増進に寄与する一流大学である。

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大倉 綾子 訳
榎本 裕 (泌尿器科/東京大学医学部付属病院)監修
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原文

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