乳がんHER2検査の専門家の分析により信頼性の問題が明らかに/メイヨークリニック | 海外がん医療情報リファレンス

乳がんHER2検査の専門家の分析により信頼性の問題が明らかに/メイヨークリニック

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乳がんHER2検査の専門家の分析により信頼性の問題が明らかに/メイヨークリニック


メイヨークリニック
2010年12月11日サンアントニオ発

腫瘍の一断片(1つの腫瘍塊)を分析する際、乳房腫瘍のHER2タンパク質および遺伝子の検査結果はほとんどの場合簡易なものである。しかし、腫瘍は多様であり、複数の腫瘍塊を分析する場合、HER2検査結果は患者の最大10%において異なることをメイヨークリニックの研究者らは発見した。[pagebreak]

映像情報:サンアントニオ乳癌シンポジウムで発表するDr. Edith Perez氏や他の研究者らのインタビューの抜粋などの音声画像資料がメイヨークリニックニュースブログで閲覧可能。これらの資料はアクセス制限の対象であるが、ニュース記事として利用できるようにジャーナリストは事前登録可能である。パスワード:sanantonio1

これは患者の治療に重要な影響をもたらすと第33回年次CTRC-AACRサンアントニオ乳癌シンポジウムで結果を発表する研究者らは述べる。

病理学専門医の独立した3チームは、1人の患者の1つの腫瘍塊切片のHER2遺伝子およびタンパク質に関する分類方法についてほぼ合意し、同一患者の複数の塊を分析に用いる場合に合意に至ることが困難であることが研究でわかった。
実際、メイヨークリニック、南カリフォルニア大学、ピッツバーグ大学の中央検査室の病理医は、5%~10%の症例において同一患者から採取した2つの腫瘍塊の顕著な異質性または変動性を見出した。ほとんどの場合、1つの腫瘍塊はHER2発現が正常であったが、2つめの腫瘍片はHER2陽性を示した。

HER2陽性乳がん女性は、強力ながんの成長経路を遮断するように作られた薬剤であるハーセプチンのベネフィットを得ることができるため、これらの研究結果は重要であると研究者らは述べる。

「病理学専門医の間でも、腫瘍から分かることに関して相違があり、それが患者が受ける治療に影響を与えます」と試験責任医師でメイヨークリニックがんセンター(フロリダ州)副所長のEdith Perez医師は述べる。

1つの腫瘍塊でHER2検査結果が正常であり、複数の腫瘍標本のある患者は他の腫瘍標本の検査を考慮すべきであるとこの結果は示唆しているとPerez氏は述べる。ほとんどの腫瘍内科医は患者から複数の腫瘍塊を採取し保存するが、2つめの腫瘍標本検査の資金提供源が明確ではないと同氏は付け加える。

この分析により、Perez氏 が2001年から主導するHER2タンパク質の信頼性(免疫組織化学)および遺伝子(蛍光in situハイブリッド形成法またはFISH法)検査へと調査が続く。Perez氏のチームは、これらの検査結果を分析する施設検査室および中央検査機関の間の相違は15%~20%であると判明した研究を2002年に発表した。中央検査機関は年間100人以上の患者の腫瘍を処理し、施設検査室の処理量はそれより少ない。

本研究でPerez氏は中央検査機関の病理医が施設検査室の病理医より頻回に意見の一致をみているかどうかを知りたかった。

病理医の3チームすべてが、3つのアジュバント臨床試験(N9831、BCIRG005、BCIRG006)に組み入れた389人の患者の標本についてブラインド評価を行った。これらの試験では、施設検査室および中央検査機関がHER2検査を行い、患者がこれらの試験に適格かどうかを判定した。3つの中央検査機関はいずれも、1人の患者の腫瘍塊から最大6枚のスライド標本を受領し、これをHER2遺伝子およびタンパク質レベルの再検査に用いた。

試験の目的は、2回の検査が検査機関の間で一致する頻度の分析、一致しない症例を「判定」過程が解決できたかどうかの判断、同一腫瘍の2つの標本が一致することの確認、検査結果が問題視される患者の抗HER2療法(ハーセプチン)の影響の測定であった。

研究者は2回の検査において92%の一致度を認めた。

次に、病理医は当初一致をみなかった8%の腫瘍標本について対面で討議し、HER2タンパク質検査の96%、遺伝子検査の97%で合意に至った。不一致は確立されたHER2陽性の閾値に対して境界線上のHER2検査で最もよく見られたとPerez氏は述べる。

その後彼らは分析に用いる複数の腫瘍塊を有する(389人の集団中)125人の患者を調査した。これらの標本の5%~10%で異なるタンパク質および遺伝子検査結果が認められた。

この変動性は予想より大きいと彼女は言う。「異質性はわずか1%であると報告した人もいます。」

腫瘍塊を形成する腫瘍切片は、非常に近接して作成され(6ミクロン間隔)、2番目の腫瘍塊は同一の腫瘍で、最初の腫瘍切片からは距離を置いて作成できる。いくつかの理由により生物学的変動が腫瘍内に存在するとPerez氏は述べる。「腫瘍周囲の間質は、腫瘍の一部分に発現するタンパク質の成長に、他の部分と比べて異なる影響を与えます。HER2陽性をもたらす経路の発達は腫瘍中で同時に生じることはありません。」

最後に、研究者らはこれらの異なる腫瘍塊のある患者の治療法について調査した。ほとんどの場合、患者はHER2が正常と診断されていたが、2番目の腫瘍塊ではHER2陽性であった。「これらの患者は正しく診断されていない可能性があり、大きな問題です。検査結果が正常である患者で2つめの腫瘍塊がある場合には、検査を行い、これらの結果を検証できると示唆しています」とPerez氏は述べる。

この研究結果は、HER2検査結果が正常であったものの、ハーセプチンの治療を受けた一部の乳がん患者が治療に奏効した理由の説明の一助となると彼女は付け加える。「これはハーセプチンが真に正常なHER2腫瘍のある女性に有益であるという考えを払拭するものです。」

本研究で見られる不一致によって、中央検査機関と施設検査室の間で見られる結果の変動性のいくつかも説明できるとPerez氏は言う。

「腫瘍専門医はこれらの検査と分析を継続的に改善する必要があります。複数の腫瘍塊に対していくつかの検査が必要で、病理医は一部の患者の境界線上の結果について議論しなくてはならないことを意味しています」と彼女は言う。

本研究は米国国立癌研究所およびジェネンテック社の資金提供を受けた。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校、ジェネンテック社、ベルギーのInternational Drug Development Instituteの研究者らも本研究に参加した。
著者に利害対立はない。

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吉田加奈子 訳
辻村信一(獣医学/農学博士、メディカルライター) 監修
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原文


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