進行性メラノーマ関連の新しい分子標的治療薬、80%の奏効率/スローンケタリング記念がんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

進行性メラノーマ関連の新しい分子標的治療薬、80%の奏効率/スローンケタリング記念がんセンター

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進行性メラノーマ関連の新しい分子標的治療薬、80%の奏効率/スローンケタリング記念がんセンター


スローンケタリング記念がんセンター
2010年8月25日

PLX4032(別名RG7204)と称される新しい分子標的治療薬を用いた治療により、80%の転移性メラノーマ患者の腫瘍が有意に縮小した、という多施設共同研究の結論がだされた。スローンケタリング記念がんセンターの治験医師およびその他がんセンター関係医師らによる知見が、8月26日付けのNew England Journal of Medicine誌に発表された。[pagebreak]「転移したメラノーマの治療は大変難しく、過去20年において目立った治療法の進歩はみられませんでした。それが、メラノーマ細胞の半分が、BRAFと呼ばれる変異した遺伝子に依存していると分かり、状況が大きく変わりました。今回の新しい分子標的薬はBRAFを阻害し、BRAFに依存している腫瘍の成長を止めるのです。多くの腫瘍が急激に縮小し、一部の患者においては、生活の質が著しく改善しました」とPaul Chapman医師は語った。同氏は同臨床試験の統括著者であり、スローンケタリング記念がんセンターのメラノーマ・肉腫科の指導医でもある。同氏は、「メラノーマ治療における個別化医療の始まりになります」とも述べた。

BRAF変異は40~60%のメラノーマ患者に生じ、この遺伝子変異の存在が分かったことにより、分子標的薬の研究を行う機会が生まれた。PLX 4032はBRAFのたんぱく質を標的とし、細胞レベルで阻害する。経口薬として1日2回投与される。

第1相用量漸増試験および第2相推奨用量での延長試験が多施設共同により行われた。

用量漸増試験には55人の患者が参加した。 BRAF変異のスクリーニングは、第1相試験の参加時の必要条件とはしなかった。しかし、試験が進行するにつれBRAF変異をもつと事前に調べられた患者の割合が増加していった。その後、32人のBRAF変異を伴うメラノーマ患者が、延長相において最大耐用量での治療を受けた。

第1相用量漸増群では、中程度から最大用量での治療を受けたBRAF変異をもつメラノーマ患者15人中の10人に部分奏効、1人に完全奏効が認められた。肝臓、小腸、骨を含む全ての転移巣で腫瘍の縮小が認められた。奏効期間の幅は3.3カ月から19カ月以上であり、4名が現在も奏効を維持している。

延長試験群では、32人が最大用量で治療を受け、うち2人に完全奏効および24人に部分奏効が認められた。現時点で、32人中16人が臨床試験に残っており、無増悪期間中央値は少なくとも7カ月と推定される。

PLX4032の副作用は比較的軽微であり、湿疹、吐き気、光線過敏症、疲労、角化棘細胞腫型扁平上皮癌と呼ばれる低悪性度の皮膚腫瘍などが見られた。これらの副作用は簡単に取り除くことができ、副作用を理由として治療を中止することはなかった。

PLX4032の第3相臨床試験は現在実施されている。第3相臨床試験の治験責任医師であるChapman医師は、「メラノーマのみならずその他固形腫瘍においても、80%の奏効率はかつてない高さであり、目覚ましい成果です。ただ、PLX4032などによる腫瘍への奏効は長続きするとは限らず、この治療法が実際にメラノーマ患者の全生存期間を延ばしているかはまだ分かっていません。これについては、現在実施している第3相臨床試験で解明しようとしています。将来的にはPLX4032と現在開発中の他の抗メラノーマ剤を併用したいと考えています」と述べた。

米国国立癌研究所によると、2009年に米国では新たに6万8000人がメラノーマと診断され、8600人以上が死亡した。

同臨床試験の関係医師および治験医師が所属する機関はスローンケタリング記念がんセンターに加え、ペンシルバニア大学アブラムソンがんセンター、マサチューセッツ総合病院がんセンター、バンダービルト大学、テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター、カリフォルニア大学(米国ロサンジェルス)、ピータ マッカラムがんセンター(豪州メルボルン)である。同臨床試験はPlexxikon社およびRoche Pharmaceuticals社のスポンサーのもと実施された。

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内田彩香 訳
林正樹(血液・腫瘍内科)監修
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原文


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