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2010/02/23号◆特集記事「一部の早期乳癌女性において短期の放射線治療は有効かつ安全である」

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2010/02/23号◆特集記事「一部の早期乳癌女性において短期の放射線治療は有効かつ安全である」

同号原文


日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中〜

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◇◆◇ 特集記事 ◇◆◇
一部の早期乳癌女性において短期の放射線治療は有効かつ安全である

少ない回数で1回線量を増やす照射法が、一部の早期乳癌女性にとって標準的な放射線治療の代替になるかもしれない。少分割照射放射線療法と呼ばれるこの照射方法を評価する試験において、少分割照射による長期毒性の増加は認められず、また、生存率、局所再発率とも、標準的な放射線治療を受けた女性と同等の結果を得たと報告されている。乳癌患者に対する少分割照射放射線治療に関する研究では、過去最長の追跡調査結果を有する試験の結果がNew England Journal of Medicine誌2010年2月11日号に発表された。[pagebreak]乳房温存手術(BCS)と術後放射線療法との併用療法は、ほとんどの早期乳癌女性において全乳房切除術の安全な代替療法として定着している。この療法において放射線療法はきわめて重要であり、腫瘍再発リスクを大幅に低減させることが、長期データにより示されている

しかしながら、北米の早期乳癌女性の約3分の1は、BCS後に放射線治療を受けていない。「乳房温存手術の件数は増加しているが、乳房温存手術後に適切な放射線治療を受けている患者数は実際のところ減っています」とカナダのオンタリオ州にあるマクマスター大学、腫瘍学教授のDr. Timothy Whelan氏は述べた。

治療基準に対する順守がこのように徹底していない理由はいくつもあり複雑であるが、標準的な放射線療法は5週間で25回の分割照射を要するため、すでに手術を終えホルモン療法あるいは化学療法を開始している多くの患者にとってさらに大きな負担となるという事実がその理由にあげられる。少分割照射による放射線治療は、標準的な放射線治療よりも負担が少ないと思われるため、本研究結果が米国の乳癌治療に直接的な影響を与えるかもしれないと考える腫瘍医もいる。

従来の見解を見直す

「1960年代、いくつかの放射線治療施設で、少分割照射による放射線治療が初めて実施されました。しかし、研究者らが総線量を減らさなかったため、毒性の増加が認められ、その後、小線分割照射を行うことに対して非常に消極的になりました」とWhelan氏は語った。

Ontario Clinical Oncology Group臨床試験団体の研究者らは、1993年から癌が周辺のリンパ節に転移していなかった早期乳癌女性234人を、世界的に標準である照射方法(50 Gy/25分割/5週間での全乳房照射)または少分割照射スケジュール(42.5 Gy/16分割/3週間での全乳房全照射)のいずれかの治療群に無作為に割り付けた。患者は、主治医が必要と認めた場合は、ホルモン療法または化学療法、あるいはその両方を受けた。

治療実施後10年での局所再発率(同側乳房内の再発率)は、標準的な放射線治療群では7.5%、少分割照射群では7.4%であった。10年生存率も、両群ともほぼ同等で、標準的な放射線治療群は84.4%、少分割照射群は84.6%であった。

晩期毒性作用は経時的に増大したが、有意な群間差は認められなかった。治療後10年の時点で、放射線照射に起因する皮膚のトラブルがみられなかった患者は、標準的な放射線治療群では70.5%、少分割照射群では66.8%であった。いずれの群においても心臓関連死はほとんど発生しなかった。本試験の看護師の評価による全体の美容的結果が最良または良好であった患者は標準的な放射線治療群では71.3%、少分割照射群では69.8%であった。(ブレティン本号の癌研究ハイライト(日本語訳)を参照)

「われわれは少分割照射による毒性の増加を非常に懸念していたため、多大な努力を払って被験者を長期間追跡しました。その結果、毒性は多少あるにしろ、標準的な放射線治療でみられる毒性と同等であることを幸いにも示すことができました」と Whelan氏は述べた。

少分割照射の適用は慎重に検討すべきである

放射線腫瘍医らは、これらの研究結果を治療に取り入れることを検討しているが、米国国立癌研究所(NCI)癌治療診断部門の臨床放射線腫瘍科主任であるDr. Bhadrasain Vikram氏は、次のように警告した。「これらの研究結果を、この試験の適格患者(切除断端陰性で、腋窩リンパ節への放射線照射が不要の患者)以外の患者にあてはめることはできないことを理解しなくてはなりません」。

また、これらの研究結果を、乳房部分照射に適用してはならない。乳房部分照射は、少分割照射を行うが、現在のところ臨床試験で試験中の実験的技法であると同氏は説明した。

しかし、試験適格基準に当てはまる女性に対する全乳房照射の場合、「きわめて確証的なデータであり、この照射方法が有用であることを示しています」と 放射線に関する臨床試験協力団体Radiation Therapy Oncology Groupの乳房委員会の長であり、ウィスコンシン医科大学の放射線腫瘍学部の教授であるDr. Julia White氏は語った。「これは、一部の患者に対する米国の治療法に影響を与えると思います。また、それによって最も恩恵を受けると思われる患者は、標準的な放射線治療を非常に負担に感じている女性たち、すなわち放射線治療を受けるために遠距離通院し、乳房切除術を選択する可能性のある女性たちであると思います」

—Sharon Reynolds

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Yuko Watanabe 訳
平 栄 (放射線腫瘍医/武蔵村山病院)監修

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