2010/03/09号◆米政府規制情報 | 海外がん医療情報リファレンス

2010/03/09号◆米政府規制情報

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2010/03/09号◆米政府規制情報

同号原文
NCI Cancer Bulletin2010年3月9日号(Volume 7 / Number 5)


日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中〜

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◇◆◇ 政府規制情報 ◇◆◇

米政府公聴会にて医療放射線の過剰照射防止の討議

一部では悲劇的な結末ともなった医療放射線過剰照射に関する最近のニュース報道を受け、米国下院エネルギーおよび商業対策委員会、健康調査委員会(Subcommittee on Health)は2月26日、放射線画像診断および治療のリスクと利益の両面について調査するため公聴会を開いた。冒頭でFrank Pallone, Jr. (D-NJ)議長は、放射線画像診断および治療技術の進歩によって多くの生命が救われていることを確認し、出席者らの共感を得た。しかし、調査委員会はそうした技術が不利益をもたらす可能性を懸念している。

この調査委員会では、息子が舌癌の放射線治療中に過剰照射を受け死亡した証言者James Parks氏の話を聴いた。その後には、Suzanne Lindley氏が、自分自身が癌から生き延びるのに、放射線画像診断や治療が果たした役割について話をした。医療施設や専門機関の代表である専門家らは放射線が臨床現場でどのように用いられているかを説明した。

証言者の報告によると、ほとんどの放射線画像診断や治療は陳述のように安全に、指示通りに施行されており事故はごく一部ではあるが、現行のパッチワーク的な規制、監視およびデータ管理はそのリスクを防ぐのにほとんど役立っていない。医療放射線を監視、管理する技術担当者の教育や認可条件は州によって大きな開きがあり、条件が全くない州もある。個人に対して行われる医療放射線の総線量を最小化すること、すべてのレベルで放射線技術者の訓練水準や最低資格を設ける必要があること、医療放射線を用いる施設を認可制にすること、エラー報告を義務化すること、これらの手段の国家的法令化を検討しなければならないことに全体の合意が得られた。

数名の証人および調査委員会は、Rep. John Barrow(D-GA)氏によって提示された法律の制定に支持を表明した。この「Consistency, Accuracy, Responsibility, and Excellence in Medical Imaging and Radiation Therapy Act(CARE Act, HR 3652)(放射線画像診断・治療における整合性、精確性、責任および卓越性法)」法案が採択されれば、米国社会福祉省長官は医療放射線技師に対して資格や認可基準および行程を設け、CARE法の条件に準じて行われる放射線画像診断や治療の費用に対する公的保険メディケアからの支払いが制限されることになる。

公聴会の閉会にあたってChairman Pallone氏は、この議論によってさらに調査を要する複雑な問題点が明らかになったと述べ、今後もこの件についての公聴会を開く予定であるとした。

専門家の全証言を含む公聴会の詳細は調査委員会ウェブサイト参照。

前号をご覧になっていない方へ
NCIキャンサーブレティン前号にて、NCI放射線研究プログラム(Radiation Research Program)の専門家らによる放射線腫瘍学の利益を最大限にしつつ不利益を最小限にという記事を掲載した。2月23日号のBhadrasain Vikram氏とJames Deye氏およびC. Norman Coleman氏による「ゲストディレクター報告」記事を参照のこと。他に、CT血管造影とその他の画像診断の医療被曝の2記事もNCIキャンサーブレティンに掲載。

米議会下院委員会による前立腺癌の公聴会の召集

米議会下院政府改革委員会(House Oversight and Government Reform Committee)は、前立腺癌の検診、診断および治療を取りまく問題を検討するために3月4日に公聴会を開催した。参考人として俳優であり前立腺癌患者でもあるルイス・ゴセットJr.氏や研究者、臨床医および賛同者らが参加した。

アフリカ系アメリカ人の男性の前立腺癌発病率が白人男性よりも60%高く2倍の死亡率であることから、委員会とパネルのメンバーは前立腺癌の発病率および死亡率を取り囲む健康上の不均衡を認識した。 パネラーであるNCI癌研究センターのDr. William Dahut氏は、より正確なスクリーニング検査方法の開発にとって極めて重要なものとして画像診断、ナノテクノロジーおよびバイオマーカーの識別などの分野における向上を強調した。 さらにDahut氏は致命的および致命的ではない前立腺癌を区別可能にすることがこの病気を効率的に治療し、不要な治療を回避するための唯一最大の目標であると強く主張した。多くのパネラーは、この主張に賛同し、これらの分野で研究を行うための連邦資金を増資するよう要求した。

委員会メンバーのエリヤ・カミングズ下院議員(D-MD)は、2010年前立腺研究・画像診断・男性への教育法を(PRIME Act, HR 4756)を立案し、同法案は下院エネルギー商業委員会へ審議のために送られた。この法案は他のイニシアチブに加え、前立腺癌画像診断およびスクリーニング検査についての研究資金増資を要求している。立案は今回の公聴会でのテーマではなかったが、パネラーは同法案に言及し、その中の条項の多くを要求した。

公聴会に先立ち、3月3日に米国癌学会(ACS) は前立腺癌スクリーニング検査に関する最新ガイドラインを公表した。このガイドラインは前立腺特異抗原(PSA)の測定を含め、現在のスクリーニング検査ツールの限界に注目し、「十分に説明を受け、意思決定を共有するために医師と有意義な議論を行う」ことを男性に奨励している。ACSの最高医学責任者であるDr. Otis Brawley氏は、公聴会のパネラーでもあった。
参考人全リストおよび証言を含む公聴会の詳細は調査委員会ウェブサイト参照。

公聴会やその他に関するNCI議会の活動の詳細情報はNCIの政府議会広報室(Office of Government and Congressional Relations)ウェブサイト参照。

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野中 希、佐々木 了子 訳
後藤 悌(呼吸器内科/東京大学大学院)監修

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