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イマチ二ブ併用化学療法で小児における稀な型の急性リンパ性白血病の寛解期間が延長

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イマチ二ブ併用化学療法で小児における稀な型の急性リンパ性白血病の寛解期間が延長

Imatinib Added to Chemotherapy Keeps Disease in Check for Longer in Children with Rare Form of Acute Lymphoblastic Leukemia (Posted: 11/30/2009)

–2009年11月1日発行のJournal of Clinical Oncology誌によると、稀な病型の急性リンパ性白血病(ALL)の小児に対する化学療法に分子標的薬イマチニブを追加すると、寛解期間が劇的に延長されたとのこと。


要約 稀な病型の急性リンパ性白血病(ALL)の小児に対する化学療法に分子標的薬イマチニブを追加すると、過去の臨床試験において標準化学療法を受けた小児の場合と比較して、寛解期間が劇的に延長された。この結果は、この型のALLの小児の治療にイマチニブなどの分子標的薬を追加すべきであるという強いエビデンスを示している。

出典 Journal of Clinical Oncology誌、オンライン版2009年10月5日号、書籍版未出版 (ジャーナル要旨参照)

背景 急性リンパ性白血病(ALL)はもっとも多い小児癌である。 およそ20人に1人の患児は、骨髄の造血細胞中に異常染色体がある。 フィラデルフィア(Ph)染色体というこの染色体は異常タンパク質を産生し、そのために十分に機能しない未熟な白血球が過剰生産される。 この型のALLはPh陽性ALLと称される。 Ph陽性ALLの患児は他のALL患児よりも長期転帰が不良である。イマチニブ(グリベック)は、Ph染色体によって産生される異常タンパク質の活動を抑制する分子標的薬であり、正常細胞に対する影響は限定的である。

試験 1-21歳の92人のPh陽性ALLを患う小児および若年成人がこの試験に参加した。 患者は全員、少なくとも2クールの多剤併用化学療法を受けた。 2クールの化学療法後、HLA型が適合する兄弟姉妹のドナーがいる患者は骨髄移植を受けた。

HLA型が適合する兄弟姉妹のドナーがいない患者には、5群に分けて順次イマチニブを投与した。各群は前の群よりも投与期間を延長することとした。 次の群に期間を延長してイマチニブを投与する前に、各群の患者の有害事象を評価した。 5番目の投与群はイマチニブを280日間服用した。 骨髄移植を受けた患者は、移植後6ヶ月間イマチニブを服用した。

それぞれの患者集団の転帰は、過去の臨床試験において標準化学療法を受けた同様のPh陽性ALL患者の転帰と比較された。 この研究は、米国国立癌研究所が支援する12の臨床試験協力団体のひとつであるChildren’s Oncology Group(小児腫瘍グループ)の研究者らによって実施された。 筆頭研究者は、カナダのバンクーバーにあるブリティッシュ・コロンビア小児病院のKirk R. Schultz医師であった。

結果 イマチニブを280日間投与された患者では、3年後の無再発生存率が80.5パーセントであった。 過去の試験では、標準化学療法を受けた患者でこの転帰に至ったのはわずか35パーセント程度だった。 化学療法にイマチニブを追加することによる重大な副作用はなかった。

制限事項 化学療法にイマチニブを追加することが再発を遅らせるだけではなく、無病生存期間の延長にもつながることを確かめるためには、さらに長期間のフォローアップが必要であると、NCIのCancer Therapy Evaluation Program(癌治療評価プログラム)所属の小児癌専門医であるMalcolm Smith医学博士は述べた。 続けてSmith医学博士は、この研究の結果はより大きな患者集団において確認するべきでもあると述べた。

コメント 「イマチニブ併用化学療法を受けた患児が早期転帰において著しい改善を示したことは、Ph陽性ALLの患児はすべてイマチニブなどの分子標的薬を含む治療を受けるべきであるという強いエビデンスを示しています」とSmith医学博士は述べた。 ダサチニブという別の分子標的薬のPh陽性ALL患児における効果を試す試験が現在進行中であるとSmith医学博士は付け加えた。 ダサチニブは、イマチニブが阻害するのと同じ異常タンパク質の活動を阻害し、イマチニブよりも新しくてより強力であると目される薬剤である。

NCIのPediatric Oncology Branch(小児腫瘍学部門)の長であるCrystal Mackall医師は、この試験でイマチニブを含む治療を受けた5つの患者集団のうち、この薬剤のベネフィットが得られたのは最長期間イマチニブを服用した群だけだった、という点に言及した。 「しかし、意外なことに、有害事象は増えませんでした」と彼女は言う。 「癌治療において、有害事象の増加を伴わずにベネフィットが得られるのは稀なことです。 けれども、有効な分子標的治療が標準化学療法に追加されたときには、まさにそのような転帰が期待されるのです」

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盛井 有美子 訳

北村 裕太(農学/医学部生)監修

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