進行性卵巣癌に変法レジメンの化学療法が有効/NCI臨床試験結果 | 海外がん医療情報リファレンス

進行性卵巣癌に変法レジメンの化学療法が有効/NCI臨床試験結果

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

進行性卵巣癌に変法レジメンの化学療法が有効/NCI臨床試験結果

2009年10月27日掲載 2013年8月19日更新

日本人研究者らの報告によると、化学療法剤の標準的な併用療法を変法レジメンを使用して治療したところ、進行性卵巣癌女性において腫瘍増殖が認められることもなく、生存期間が延長した。大規模第3相試験では、カルボプラチンおよび高用量のパクリタキセル(タキソール)を3週間に1回投与して6サイクル行う群(標準的レジメン)、カルボプラチンを3週間に1回と低用量のパクリタキセルを週1回投与して6サイクル行う群(dose-denseレジメン)に女性患者をランダムに割り付けた。この試験の最初の結果は、Lancet 誌2009年9月18日号に掲載された(同誌の抄録を参照のこと)。

「標準的な併用療法を受けた女性と比較してこのdose-dense(投与間隔を短縮する)レジメンの毒性は強いが、進行性卵巣癌の女性において本法の生存ベネフィットは非常に優れていた」と、婦人科悪性腫瘍化学療法共同研究機構(JGOG)の勝俣範之医師らは述べている。

NCI癌治療・診断部門のDr. Ted Trimble氏は、「この結果は、乳癌に対してdose-dense化学療法レジメンを使用した場合の結果と一致する。その概念は、3週間に1回投与ではなく週1回の投与スケジュールを用いて有効性と毒性のバランスを保つことである」と説明している。

同氏はまた、「この結果は重要であるが一晩で実地診療が変わるわけではない」と述べている。依然としていくつかの重要な点が未知であるためである。例えば、低用量のパクリタキセルは有効かつ低毒性であるかどうか、手術の最適な時期はいつか、どこで腹腔内化学療法を治療に加えるかなどが挙げられる。しかし、JGOG試験の結果は、dose-dense化学療法を使用するいくつかの第3相試験の計画に影響するであろう。

日本国内85医療機関における女性630人以上を本試験に登録した。3年間の追跡調査後、無増悪生存期間中央値は、標準治療を受けた女性で17.2カ月であったのに対してdose-dense治療を受けた女性では28.0カ月であった。3年経過時点での全生存率は、標準治療群(65.1%)よりもdose-dense群(72.1%)で高かった。

2013年8月13日、研究者らはLancet Oncologyに長期生存に関する結果を公表した(同誌の抄録を参照のこと)。中央値6.4年間の追跡調査後、全生存期間中央値は、標準治療群(5.2年間)よりもdose-dense群(8.4年間)で有意に長くなった。最新の解析における無増悪生存期間中央値は最初の解析で報告されたものとほぼ同じであり、標準治療群で17.5カ月であったのに対しdose-dense群で28.2カ月であった

本試験で用いられたdose-dense化学療法レジメンはdose-intense(用量強化)でもある。すなわち、患者が受けるパクリタキセルの総投与量は、標準治療を受ける患者よりも実際には多くなる。このことにより有害な副作用が発現し、治療の遅延や用量変更の原因となり、予定よりも低用量のカルボプラチンを投与することにもなる。実際、dose-dense群の女性の半数以上が治療を早期に中止し、その中止理由の大半が毒性によるものであった。

アリゾナがんセンターの血液・腫瘍科主任Dr. Michael A. Bookman氏が記載した2009年のLancetの付随論評によると、用量強度が生存率改善の原因であった可能性もあるが、高頻度かつ低用量の治療スケジュールが最も妥当な理由である。結果として、低用量の使用により同等の結果が、忍容性の改善と共に達成されるであろう。

dose-dense療法が標準的な方法よりも有効な理由について、日本人研究者らは、腫瘍に栄養を供給する血管の形成がdose-dense療法によって阻害されることを示唆した。動物モデル研究では、dose-dense化学療法は、メトロノミック化学療法というやはり活発に研究されている同様の治療法と同じように、抗血管新生作用を示した。JGOG試験では治療後の腫瘍縮小の程度において、dose-dense化学療法と標準化学療法との間で差異が認められなかった。このことは、dose-dense治療が腫瘍サイズの維持および成長の抑制により腫瘍の休止状態を促進する可能性を示唆する。

アラバマ大学バーミンガム校婦人科腫瘍学部門主任のDr. Ronald Alvarez氏によると、米国婦人科腫瘍グループ(Gynecologic Oncology Group)は、進行性卵巣癌を対象としてdose-dense法と血管新生阻害を標的とした治療薬ベバシズマブ(アバスチン)を併用する第3相試験を開始する予定である。これは、日本での試験結果を確認するうえで役立つであろう。

同氏はまた、現時点では、「毒性の可能性を考慮して、他の治療法とも比較した本法のリスク対ベネフィットについて医師は患者と話し合うべきである。進行性疾患を有する症例や、手術ではほとんど腫瘍を摘出できない症例では特に必要なことである」と述べる。

原文

******
仲里芳子 訳
林 正樹(血液・腫瘍医/敬愛会中頭病院)監修
勝俣範之(腫瘍内科、乳癌・婦人科癌/日本医大武蔵小杉病院)監修
******

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward