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高周波ラジオ波焼灼はバレット食道に有効

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高周波ラジオ波焼灼はバレット食道に有効

Radiofrequency Ablation Effective Against Barrett Esophagus (Posted: 07/23/2000)(Updated: 06/01/2009)

–New England Journal of Medicine誌2009年5月28日号によると、第Ⅱ相ランダム化試験において、バレット食道に伴う異形成の根絶率が、高周波ラジオ波焼灼により高まったとのこと。


キーワード
異形成または化生バレット食道、食道腺癌高周波ラジオ波焼灼内視鏡検査食道切除(癌に関する多くの用語の定義はCancer. Gov Dictionaryで検出が可能)

要約

ランダム化第II相国際臨床試験において、バレット食道(BE)に伴う高度および軽度異形成の根絶率は擬手技を用いた内視鏡検査と比較すると高周波ラジオ波焼灼(RFA)を用いた内視鏡検査のほうが極めて高いという結果が認められました。本試験は、高周波ラジオ波焼灼がバレット食道に対して一般的に用いられる他の治療より優れているかどうかを調査するものではなく、また患者数が少なすぎるため、高周波ラジオ波焼灼により癌への進行リスクが減少するかどうかを正確に決定づけることはできませんでした。

出典 2009年5月28日発行、New England Journal of Medicine (ジャーナル要旨参照

背景 胃食道逆流症(GERD)は米国の人口の3~7%に影響を及ぼしています。GERD患者においては、食物および酸を含む胃の内容物が胃から食道下部へ逆流します。GERD患者の約10%にバレット食道と呼ばれる疾患が発現します。バレット食道では、食道下部内側にある細胞が腸上皮化生として知られる異常な細胞に置き換わります。腸上皮化生細胞は時間の経過とともにさらに異常となり軽度異形成へと進行し、その後高度異形成となります。少数の異形成患者、特に高度異形成患者においては、これらの細胞は極めて治療困難な食道腺癌(EA)へと緩徐に進行する場合があります。臨床医は、バレット食道の食道腺癌への進行を予防できるような治療を長きにわたり追求してきました。

一般に、バレット食道を有する患者は1日1回の制酸薬の投与と定期検査を受けており、この期間に医師は異常細胞がないか食道の管壁を検査し生検用の検体を採取するため、咽喉から食道下部および胃まで内視鏡(光源とレンズを装着した柔軟性のある管)を通します。ガイドラインによりバレット食道の治療方針は異なります。一部のガイドラインでは、高度の異形成を伴う患者に対し、食道下部の内視鏡的切除が必要とされています。また、一方では当該位置にある管壁細胞を根絶する保存療法を推奨しており、これはラジオ波焼灼と呼ばれる技術です。ラジオ波焼灼とは、レーザー(光線療法)や最近では電磁波(高周波ラジオ波焼灼、RFA)を使用し、外来処置として施行されるものです。ラジオ波焼灼が食道癌発現のリスクが高いバレット食道患者、すなわち高度の異形成患者に対してのみ推奨されるのか、また軽度の異形成患者に対しても推奨されるのかは依然として不明です。

試験 米国における19の治験実施施設で、疾患治療において高周波ラジオ波焼灼の有効性を評価するため、高度および軽度異形成を伴うバレット食道患者127例がランダム化第II相臨床試験に登録されました。最初、患者を異形成の程度で層別化しました(副集団に割り付け)。その後、各グループの患者はランダムに(2対1の割合)高周波ラジオ波焼灼施行による内視鏡検査群(合計84例)、または擬手技を施行する内視鏡検査のみ、すなわち高周波ラジオ波焼灼治療を施行しない内視鏡検査のみの群(合計43例)に割り付けられました。

高周波ラジオ波焼灼を用いる群では、内視鏡を咽喉から食道下部に挿入した後内視鏡に装着された小さなバルーンが膨張し、その後食道の管壁に対して留置しました。調節された電磁波からのエネルギーがバルーン壁を通って分配され、細胞に接触すると細胞が焼却されます。一部の患者においては、バルーンにより異常細胞をすべて治療するため、2回目または3回目の治療を行なうためのバルーンを再度留置しました。

必要に応じ、ラジオ波焼灼群の患者は初回手技の2ヶ月後、4ヶ月後および9ヶ月後に3回まで追加ラジオ波焼灼治療を受けることが可能でした。高周波ラジオ波焼灼群の全患者84例が合計で298回の治療を受けました。

両群の患者は初回の手技に続き、内視鏡による生検を12ヶ月間繰り返し受けることで評価されました。試験登録時の軽度異形成患者に対し、これらの検査が6ヶ月毎に実施されました。試験登録時の高度異形成患者に対しては、3ヶ月毎に実施されました。12ヵ月後、対照群の患者は自身が希望する場合は、高周波ラジオ波焼灼療法を受けることが可能でした。

本試験の主要目標は、高周波ラジオ波焼灼施行群、非施行群の両群で、初回手技後12ヶ月目の時点で腸上皮化生および高度または軽度異形成が存在するかどうかを判断することでした。

本試験の治験責任医師はノースカロライナ大学医学部(チャペルヒル)のNicholas J. Shaheen医師でした。試験期間中、すべての患者は胃酸逆流を抑制するプロトンポンプ阻害薬エソメプラゾール1日2回の投与を受けました。これは一部の研究者らを支援してきた医薬品会社アストラゼネカの提供によるものでした。本臨床試験は、BARRX Medical, Inc.社の資金援助により実施されました。同社は、臨床試験で使用される技術の開発や提供を行う医療機器メーカーであり、数多くの研究者らの支援も行ってきました。

結果 12ヶ月間の経過観察の後、試験登録時の軽度異形成患者において、異形成の根絶は高周波ラジオ波焼灼療法を受けた患者の90%に、擬手技を受けた患者の23%に認められました。試験登録時の高度異形成患者においては、それぞれ81%および19%の患者に異形成の根絶が認められました。すべての患者において、腸上皮化生の完全根絶は高周波ラジオ波焼灼群の77%の患者に、対照群の2.3%の患者に認められました。

本試験では患者数が極めて少なかったため、前癌病変の進行または前癌病変の食道癌への進行防止について高周波ラジオ波焼灼の有効性を正確に評価することが困難でした。しかし、癌への進行は対照群の9.3%の患者に認められましたが、高周波ラジオ波焼灼群の患者では1.2%しか認められませんでした。高度異形成患者においては、対照群では19%の患者(43例中4例)に、高周波ラジオ波焼灼ン群では2.4%の患者(84例中1例)にしか癌が発現しませんでした。

初回高周波ラジオ波焼灼療法の後、主要な副作用が評価されました。入院を必要とする重篤な有害事象は3例が認められただけで、すべて高周波ラジオ波焼灼療法の後でした。高周波ラジオ波焼灼療法後の第1日目、高周波ラジオ波焼灼を受けた患者が100点満点で23点レベルの胸部不快感を報告しましたが、対照群には胸部不快感の報告はありませんでした。高周波ラジオ波焼灼に関連する不快感はすべての患者において8日目までには消失していました。

軽度異形成のみを有する患者に対しては生検だけを用いた内視鏡による短期間の経過観察を支持した臨床医もいましたが、本試験の主催者らはこれらの結果が「軽度異形成患者における焼灼療法の適用は、さらなる調査および考慮に値する」ことを意味するものと示唆しました。

制限事項 本第2相臨床試験は、主に12ヶ月間で化生全体および軽度と高度異形成の根絶において高周波ラジオ波焼灼療法がいかに有効であるかを判断するために設定されました。長期のデータは入手されていません。高周波ラジオ波焼灼は疾患進行の抑止についても観察されましたが、患者数が少なく、経過観察期間が短かったため、決定的な結論を導くことができませんでした。また、化生または異形成の根絶処置、あるいはバレット食道の段階での進行抑制処置により、食道癌による死亡が究極的に減少するかどうかについても依然として不明です。

本試験に付随した記事で、オランダ、アムステルダムのthe Academic Medical Centerの Jacques J.G.H.M. Bergman医師は「試験はこのような結果を研究するために設定されているのではなく、また癌症例も極めて少ないため、癌発現リスクが低下したことはある程度の警告を持ってみつめるべきである」と述べています。また、同医師は、対照群の患者が12ヵ月後に高周波ラジオ波焼灼群に移行することを可能にしたことが、長期の比較を複雑にしたとも指摘しました。

論説員Bergman氏も試験は高周波ラジオ波焼灼と他のラジオ波焼灼技術または手術を正式に比較するものではありませんでしたが、極めて高い高周波ラジオ波焼灼の成功率と高周波ラジオ波焼灼による低罹患率をもって、本技術が前途有望であることを示していると述べました。また、同氏はこの試験結果に基づき、高度異形成患者が最初に高周波ラジオ波焼灼を選択し、焼灼療法が成功しなかった場合にその後外科的治療を考慮することも可能かもしれないと示唆しました。

コメント NCI癌予防部門バレット食道プログラム・ディレクターのナース・コンサルタントEllen Richmond氏は、本試験のこれらの結果が「前途有望」であることに同意しています。「そして、内視鏡検査に関連するコストや起こりうるリスクがあるため、サーベイランス内視鏡検査の数が減少することは常に望ましいことである。」と同氏は付け加えました。しかし、異なった病期のバレット食道患者に対する高周波ラジオ波焼灼の有効性を確認するため、より詳細かつ大規模な試験が必要です。

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滝澤 美樹 訳

鵜川 邦夫(消化器・内科医/鵜川病院) 監修

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