テモゾロマイド(テモダール®)と放射線治療の併用で多形神経膠芽腫の生存期間が延長する | 海外がん医療情報リファレンス

テモゾロマイド(テモダール®)と放射線治療の併用で多形神経膠芽腫の生存期間が延長する

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テモゾロマイド(テモダール®)と放射線治療の併用で多形神経膠芽腫の生存期間が延長する

Adding Temozolomide (Temodar®) to Radiation Increases Survival in Glioblastoma Multiforme (Posted: 06/07/2004)(Updated: 06/01/2009)

–2009年3月9日号のLancet Oncology誌によると、多形成神経膠芽腫と呼ばれる脳腫瘍の術後放射線治療にテモゾロマイド(テモダール®)を併用することで得られる生存期間延長効果が5年間の経過観察期間中持続したと示されました。


要約

ヨーロッパとカナダで行われた大規模な無作為化試験の最新結果で、多形成神経膠芽腫と呼ばれる脳腫瘍の術後放射線治療にテモゾロマイド(テモダール®)を併用することで得られる生存期間延長効果が5年間の経過観察期間中持続したと示されました。

出典

Lancet Oncology誌、2009年3月9日号(ジャーナル要旨参照)

背景

多形成神経膠芽腫は成人の脳腫瘍では最も頻度が高く、最も侵攻性の強い脳腫瘍であり、治癒不可能と考えられています。ほとんどの患者は診断後1年以内に死亡します。テモゾロマイドの初期結果が有望であったため、臨床試験で有効性が示される以前から、米国の医師の多くは多形成神経膠芽腫患者を放射線治療後にテモゾロマイドによる治療をはじめていました。

2000年、European Organization for the Treatment of Cancerとカナダ国立癌研究所はランダム化第3相試験を開始し、標準的な術後放射線治療とテモゾロマイドを併用することで新たに神経膠芽腫と診断された患者の生存率が向上するかどうかを評価しました。テモゾロマイドが病気の進行を遅らせ、2年生存率を向上させたことを示したこの試験の初期結果が米国臨床腫瘍学会(ASCO)の2004年の年次総会で発表されました。これらの結果は2005年3月10日、New England Journal of Medicine誌に掲載されました(ジャーナル要旨参照)。米国食品医薬品局は2005年3月15日にテモゾロマイドを神経膠芽腫の治療薬として承認しました。

しかし、これらの結果は生存期間延長効果が長期間持続するのかどうかという疑問への回答にはなっていませんでした。

試験

試験では573人の患者が無作為に2群に分けられ、両群ともに生検または手術後に放射線治療を受けました。一方の群の患者は、放射線治療期間中は毎日、放射線治療終了後は6カ月サイクルでテモゾロマイドの投与を受けました。対照群の患者はテモゾロマイドの投与を受けませんでした。

Roger Stupp医師(ローザンヌ大学病院、スイス)が本試験を統轄しました。(プロトコル要旨参照)

結果

生存期間中央値は、放射線治療とテモゾロマイドの併用群では14.6カ月、放射線治療単独群では12.1カ月でした。2年後生存していたのは、放射線治療単独群の患者では10.4%だったのに対し、放射線治療とテモゾロマイドの併用群の患者では26.5%でした。5年後では、放射線治療とテモゾロマイドの併用群では9.8%、放射線治療単独群では1.9%でした。

併用療法の副作用は概ね軽度から中程度でした。患者の10%未満に重度の血球数低下がみられ、重度の感染症を発症したのは3人のみでした。

制限事項

「70歳未満で全身の健康状態の良い患者だけが本試験に登録されました。これは、この結果がすべての多形成神経膠芽腫患者に適応可能ではない可能性を示唆しています」とASCOでの発表で意見を述べたMichael Prados医師(カリフォルニア大学、サンフランシスコ)は述べました。

Howard A. Fine医師(国立癌研究所癌研究センター)によれば、この試験には解明されていないいくつかの疑問が残っています。例えば、生存期間延長効果は放射線治療中の低用量テモゾロマイドによるものか、放射線治療後6カ月間のテモゾロマイドによるものか、あるいはその両方によるものなのか明らかでないと同医師は述べました。他の化学療法薬での以前の試験では放射線治療後の化学療法しか有効性は示されていませんが、この試験はテモゾロマイドについても同様なのかどうかを確かめるために行われたものではありませんでした。

コメント

この試験では、放射線治療中および治療後のテモゾロマイドの使用が、この病気の一次治療として有効であることを実証しています。「この結果によっておそらく標準治療は変わるでしょう」とStupp氏は述べ、その評価にはFine氏も同意しています。しかし、この困難な病気の患者に明らかに優れた治療法を開発するには「まだまだ先が長いです」とFine氏は述べました。

備考:The Lancet Oncology誌2005年12月号の関連試験結果で、放射線治療とテモゾロマイドの併用は患者の生活の質へ悪い影響を与えないと示されました(ジャーナル要旨参照)。

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吉田 加奈子 訳

平 栄 監修

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