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サリドマイドは高齢の多発性骨髄腫患者に有益な選択肢である

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サリドマイドは高齢の多発性骨髄腫患者に有益な選択肢である

Thalidomide a Beneficial Option for Elderly Multiple Myeloma Patients
(Posted: 02/12/2008) (Updated: 06/01/2009)

75歳以上で新たに診断された多発性骨髄腫患者で、標準治療(メルファランとプレドニゾン)に加えてサリドマイドを服用した患者は、標準治療+プラセボを受けた患者より生存率が高かったとの臨床試験結果が2007年米国血液学会総会で発表された。


要約
標準的治療(メルファラン+ プレドニゾン)にサリドマイド剤を追加した治療を受けた、多発性骨髄腫として診断されたばかりの75歳以上の患者は、標準的治療+プラセボ治療を受けた患者に比べて、平均14.9カ月長く生存しました。しかしながら、サリドマイド群の方が副作用が強く、治療を中止する可能性が高くなりました。サリドマイド剤の副作用に耐えることが可能な高齢の患者にとっては、治療のオプションです。

出典

ジョージア州アトランタで12月に行われた2007年度the American Society of Hematology。後日、Clinical Oncology (ジャーナル要旨参照)誌オンライン版2009年5月18日号で最新の結果が発表されました。

背景

多発性骨髄腫は形質細胞と呼ばれる白血球の一種が異常に増殖しはじめるときに起きます。過剰な形質細胞が骨髄(大きな骨の中にある海綿状組織)の健康な血球を圧倒するため痛みが生じ、次第に骨を破壊していきます。
2007年、多発性骨髄腫と診断されるアメリカ人は推定19,900人で、約11,000人がこの疾患が原因で死亡しました。年齢は最も顕著な危険因子です。40歳未満でこの癌と診断された患者は全体のわずか1パーセントです。診断された患者の3分の2が65歳以上で、5人に1人が75歳以上です。

1960年代に深刻な先天性欠損を引き起こしたことでよく知られたサリドマイド剤が、多発性骨髄腫治療に効果を示しています。2007年に発行された初期の臨床結果(ジャーナル要旨参照)で、多発性骨髄腫として診断されたばかりの65歳から75歳の患者の標準的治療として、サリドマイドはメルファラン+ プレドニゾンとの併用で実証されました。
75歳以上の患者は、多くの場合臨床試験から除外されるため、標準的治療へのサリドマイド追加が高齢な患者にとって有益かどうかわかりませんでした。

試験

試験には多発性骨髄腫と診断されたばかりの79歳から85歳の患者が参加しました。全患者が標準的治療(メルファラン+ プレドニゾン)を受けました。標準的治療+サリドマイド、または標準的治療+プラセボへ患者らは無作為に割り付けられました。患者らは中央値4年間弱、経過観察されました。この試験の責任医師はフランスのナンシーにあるUniversity Hospital CenterのCyrille Hulin医師でした。

結果

プラセボ併用治療を受けた患者の生存期間中央値29.1カ月に対して、サリドマイド併用治療を受けた患者の生存期間中央値は44カ月でした。病状の進行はプラセボ群の18.5カ月に対して、サリドマイド群では中央値24.1カ月遅延しました。サリドマイド治療を受けた患者では、62%が部分寛解、もしくはそれ以上の寛解を得ましたが、プラセボを与えられた患者ではわずか31%でした。
サリドマイドの治療を受けた患者で、有害な副作用の高い発生率が見られました。プラセボ群ではわずか13%の患者が副作用のため治療を中止したのに対して、サリドマイド群では42%の患者が副作用のため治療を中止しました。四肢のしびれ感、白血球数の減少、抑うつ症がサイドマイド治療を受けた患者で多く見られました。

コメント

この試験では、多発性骨髄腫と診断されたばかりの75歳以上の患者において、標準的治療へのサリドマイド追加による治療が、統計的に有意な生存率の向上を示しました。しかし一方、この患者集団におけるサリドマイドと相関する有害な副作用の高い発生率のため、一部の医師はこの治療方法を彼らの患者に勧めることをためらうであろう、と米国国立癌研究所(NCI)癌研究センターの多発性骨髄腫の専門医、Michael Bishop医師は述べます。
新しい2つの薬剤、ボルテゾミブとレナリドマイドが若年患者における臨床試験で、有望な結果を示しており、高齢の患者にも少ない副作用で延命効果を与えるのではと確信するだけの根拠を提供しています、とBishop医師は付け加えます。

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翻訳 下和田篤子
 

監修 林 正樹(血液、腫瘍医)

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