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リツキシマブによる維持療法が濾胞性リンパ腫の生存率を改善する可能性

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リツキシマブによる維持療法が濾胞性リンパ腫の生存率を改善する可能性

Maintenance Rituximab May Improve Survival in Follicular Lymphoma  (Posted: 04/02/2009)

– 2009年2月18日発行のJournal of the National Cancer Institute誌によると、濾胞性リンパ腫患者において、病状の寛解後にリツキシマブによる維持療法を受けた患者は、受けなかった患者と比較して生存率が優れているという


キーワード リツキシマブ、リツキサン、濾胞性リンパ腫、維持療法

要約

再発もしくは治療に耐性となった濾胞性リンパ腫患者における5つの臨床試験データの総合分析によると、リツキシマブによる維持治療を受けた患者は維持療法を受けなかった患者と比べて長く生存しました。けれども、この知見では再発時のリツキシマブ治療と比較して維持療法のリツキシマブがより優れているのかという疑問に対する答えは出ていません。

出典

2009年2月18日発行のJournal of the National Cancer Institute誌(ジャーナル要旨参照)

背景

濾胞性リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫の最も一般的な型のひとつです。進行の速度に大きなばらつきはありますが、濾胞性リンパ腫は一般的にゆっくりと進行し、症状もほとんどありません。濾胞性リンパ腫患者の生存期間は、診断後から通常10年以上です。

リツキシマブ(リツキサン®)は血液(白血病)およびリンパ系(リンパ腫)の各種癌治療に使われているモノクローナル抗体です。リツキシマブは再発した、もしくは他の治療法に対する耐性が判明した濾胞性リンパ腫患者の標準的な化学療法で、単独もしくは併用で使用され奏効しています。ファーストライン化学療法へのリツキシマブの追加が、治療が初めての濾胞性リンパ腫患者の生存率を向上させることがわかっています。

維持療法は、初期治療、または導入療法に奏効した患者において、癌を寛解状態に保つために施されています。濾胞性リンパ腫患者に対する維持療法としてのリツキシマブの評価は不明でした。

試験

リツキシマブ維持療法を受けた患者と、維持療法を受けなかった患者(対照群)の生存率を比較したランダム化対照試験についての既刊文献を国際的研究者グループが調査しました。5試験が確認でき、データが分析のために集積されました。1つの試験では、対照群の患者に癌が再発した時にリツキシマブが投与されました。他の4試験では、対照群では再発時の治療は試験に含まれておらず、リツキシマブ使用に関するデータはありませんでした。

計1,143人の低悪性度、もしくは進行の遅いリンパ腫である成人患者がこの5試験に含まれました。患者の大半が濾胞性リンパ腫で、かつ癌が再発した患者、もしくは治療に奏効しない(難治性)患者でした。1998年から2004年の間に試験は行われ、うち2試験はアメリカ合衆国で、残りはヨーロッパまたは他の場所で実施されました。

リツキシマブ維持療法に無作為に割りつけられた患者は2、3ヶ月毎に1回の点滴を受けるか、毎週4週間に渡る点滴を毎6ヶ月、2年間受けるかのどちらかでした。経過観察期間の中央値は2年強から約3年半の範囲でした。試験の責任医師はイスラエルにあるRabin Medical CenterのLiat Vidal医学博士でした。

結果

濾胞性リンパ腫である985人の患者の生存データが得られました。5試験の集積データでは、リツキシマブ維持療法を受けなかった患者と比べて、受けた患者の生存率は優れていました。維持療法としてリツキシマブ投与を受けなかった患者のうち、再発時にリツキシマブを投与されたか、されなかったかで試験は分析されました。再発時にリツキシマブ投与を受けなかった4試験に参加した患者のうち、リツキシマブ維持療法を受けなかった患者より、受けた患者の生存率が有意に長くなりました。再発時にリツキシマブ投与を受けた1試験に参加した患者では、リツキシマブ維持療法を受けた患者の生存率は向上しませんでした。しかし、この試験はある治療が他の治療より優れていることを証明するには十分な数ではありませんでした。

全体分析において、リツキシマブ維持療法の生存率の有効性は濾胞性リンパ腫の治療経験者(難治性もしくは再発)に限られているように思われます。生存率に対する有効性は濾胞性リンパ腫の治療未経験者には見られませんでした。

リツキシマブ維持療法を受けた患者は対照群に比べて、より重度の感染症もしくは有害な副作用を発現しました。

制限事項

化学療法のみ(1試験)、リツキシマブのみ(2試験)、リツキシマブ併用、もしくは化学療法のみ(1試験)、とこれら5試験ではさまざまな導入療法が用いられました。それぞれの導入療法の使用が試験の比較を難しくした可能性があります。加えて、5試験中3試験では初期計画より早く終了しています。そのことにより治療効果評価が誇張された可能性があります。最終的に、再発時のリツキシマブ投与とリツキシマブ維持療法の比較は1試験でしか行われませんでした。

コメント

濾胞性リンパ腫患者の生存期間延長におけるリツキシマブの評価をこの分析は裏付けていると米国国立癌研究所、癌研究センターのリンパ腫治療部長Wyndham Wilson医学博士が述べています。しかし、再発時にリツキシマブ投与を受けた患者に比べて、リツキシマブ維持療法を受けた患者の生存が長いかどうかという点に対する答えにはなっていないと彼は付け加えています。

「濾胞性リンパ腫の患者にリツキシマブを使った治療が有効であることはわかっています」と、Wilson氏は語っています。「しかし、維持療法がリツキシマブ投薬の最適な手段であるとはこの分析からは結論づけることはできません。」

初回の化学療法後に癌が再発した濾胞性リンパ腫患者にリツキシマブを使った治療を行うことが現在の米国での標準治療である、とWilson氏は述べています。この分析による知見は標準治療を変更するには不十分である、とWilson氏は結論付けました。

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下和田篤子 訳

林 正樹(血液・腫瘍科)監修

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