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乳房温存手術後のDCIS再発予防に放射線療法が有効

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乳房温存手術後のDCIS再発予防に放射線療法が有効

Radiation Therapy Helps Prevent DCIS Recurrence After Breast-Conserving Surgery (Posted: 03/10/2009)

– 非浸潤性乳管癌に対する乳房温存手術後放射線療法は、乳房温存手術単独と比較して、腫瘍再発リスクが半減することが、2009年1月21日に発表されたコクランレビューの臨床試験の統合解析により明らかになった。


キーワード  乳癌、非浸潤性乳管癌(DCIS)、乳房温存手術、放射線療法、

要約  非浸潤性乳管癌に対する乳房温存手術後に放射線療法を追加することで、乳房温存手術単独と比較して腫瘍再発リスクが半減することが、4件の無作為化臨床試験結果の統合解析により報告されました。

出典  2009年1月21日発行 コクランレビュー第1号

背景  非浸潤性乳管癌(DCIS、ductal carcinoma in situ)は乳管上皮内に異常細胞が存在する状態をいいます。DCISは、異細胞が乳管を越えて乳房内の他の組織に広がっていないため非浸潤性癌と考えられています。(「In situ」とは「その場にとどまる」という意味です)。DCISは乳管内癌またはステージ0乳癌とも呼ばれ、乳房における最も多い非浸潤性の腫瘍です。

多くの場合、DCISは定期的なマンモグラフィーによって発見されます。DCISと診断された患者で乳房に触知できるしこりを有する患者はほとんどいません。マンモグラフィーで認められる乳癌の5例に1例がDCISです。

DCISは浸潤癌になって他の組織に転移する場合があります。また同じ乳房またはもう片方の乳房に癌が発生する危険因子でもあります。DCISが全て浸潤癌に進行するわけではありませんが、現在のところどのような腫瘍が浸潤癌へと進行するのか確実に予測することはできません。

DCISの治療を受けた患者の予後は一般的に良好です。最もよく用いられる治療法は乳房温存手術(BCSまたは乳腺腫瘍摘出術としても知られています)で、その後放射線療法(RTまたは放射線治療)が多く施行されています。従来のRTでは正常細胞と癌細胞の両方が放射線に暴露されるため、他の癌が発生するリスクを高めるなど、長期にわたる合併症が見られる場合があります。DCIS患者にとって浸潤性癌のリスクを軽減するためのRTのベネフィットが長期にわたる合併症のリスクを上回るかどうかは完全に明らかにされていません。

[b]試験[/b] DCIS患者に対するRTのリスクとベネフィットのバランスを確定するため、オーストラリアの研究者らはBCS単独とBCSとRTの併用治療を比較した無作為化対照試験の発表済み文献を検索し、選択基準に見合った4件の臨床試験を特定しました。1件は米国で実施されたもので、もう1件は英国とオーストラリア、残り2件はヨーロッパで実施されたものでした。

1986年から1999年にかけて行われたこれらの4件の試験に合計3900人以上のDCIS患者が組み入れられました。そのほとんどは触知不能で定期的なマンモグラフィーにより診断されたDCISの患者でした。各試験において患者はBCS単独またはBCSとRT併用のいずれかを受けるように無作為化割付されました。患者の追跡調査期間の中央値は4.4年から10.5年でした。診断時の患者年齢の中央値は約50歳でした。

本研究の研究責任者はオーストラリアWestmead病院のAnnabel Goodwin医師でした。

結果  4件の臨床試験の統合解析データによると、同側乳房にDCISまたは浸潤性乳癌が再発した患者は、BCSとRTの併用治療群では10.9%であるのに対し、BCS単独治療群では22.9%でした。BCSとRTの併用治療を受けた患者においてはDCISまたは浸潤性乳癌の再発リスクが51%低いという結果になりました。4件の試験全てにおいて、いずれの治療群でも生存率は90%以上でした。RTにより合併症で死亡が増加したという確証は得られませんでした。

コメント 「この結果によりDCIS患者に対するBCS後の放射線療法のベネフィットが確認され、全てのDCIS患者に対し使用することが支持されました」と著者は結論付けました。また、RTが長期的な害を及ぼすかどうかを確認するために長期追跡調査を行う必要があるとも述べています。著者らはこれらの4件の試験で患者が治療されて以来過去10年の間に開発された新たなRT照射技術により、正常細胞の放射線被曝を低減し、長期合併症のリスクをより減らすことができるかもしれないと付け加えています。

これらの統合解析析データによる所見から、DCIS患者におけるBCS後のRTは有用であることが確認されたと国立癌研究所の癌予防部門のWorta McCaskill-Stevens医師は述べています。

現在DCISが癌であるか否かについての問題を取り巻く状況には大きな混乱が見られます、とMcCaskill-Stevens医師は付け加えています。さらに米国ではDCISに対する推奨治療と治療法の両方において意見が分かれています。こういった問題は、2009年9月に開催される米国国立衛生研究所主催のDCISの診断と管理についてのstate-of-the-science会議の焦点となるでしょう。

制限事項  本統合解析に含まれる4件の試験のうち3件において、患者の腫瘍に女性ホルモンであるエストロゲンおよびプロゲステロンの受容体が含まれているか調べる検査は行われませんでした。腫瘍にこれらの受容体が存在する場合、その腫瘍はホルモン受容体陽性と呼ばれます。これらの試験は、乳癌と診断された患者全員に対してホルモン受容体の状態を検査するということが標準化される以前に実施されたものです。今日、ホルモン受容体陽性腫瘍を有するDCIS患者の場合、タモキシフェンという薬剤を検討するべきです。ホルモン受容体陽性のDCISに対する臨床試験において追加的なホルモン剤の試験が現在行われています。

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エリザベス 訳

平 栄(放射線腫瘍科)監修

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