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アナストロゾールが早期乳癌の再発を予防する

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アナストロゾールが早期乳癌の再発を予防する

Anastrozole Prevents Relapse in Early Breast Cancer
(Posted: 12/08/2004, Updated: 01/15/2009) 電子版Lancet誌2005年1月1日号によると、ホルモン感受性のある閉経後の早期乳癌患者の再発予防に、アナストロゾール(アリミデックス®)はタモキシフェン(ノルバデックス®)より有意に優れていた。


要約
大規模国際臨床試験ATACの最終結果によると、アナストロゾール(アリミデックス)は、タモキシフェン(ノルバデックス)またはタモキシフェン/アナストロゾールの併用に比べ、ホルモン感受性のある閉経後の早期乳癌患者の再発予防に有意に有効であった。また、アナストロゾールを投与した患者では副作用が少なかった。しかし、全生存期間はいずれの薬剤群においても同等であった。

出典  2005年1月1日付Lancet誌

背景
早期乳癌に対する治療を受け、その腫瘍が「ホルモン感受性がある」、(すなわちエストロゲンホルモンやプロゲステロンホルモンに反応して増殖する)閉経後女性に対しては、抗エストロゲン薬であるタモキシフェンを5年間服用することが推奨されてきた。このような術後治療は再発防止に有用であることが示されており、この種の乳癌患者に対する標準治療とみなされてきた。

しかし、タモキシフェン服用中には子宮内膜癌や血液凝固異常のリスクが高くなる。また、アロマターゼ阻害薬(AIs)という別の分類の薬剤がタモキシフェンに代わるより適切な治療薬となる可能性も他の試験で示唆されている。

タモキシフェンと同様にAIsも癌細胞のホルモン利用を阻害するが、その機序は異なっている。タモキシフェンは癌細胞がエストロゲンを燃料として使用する能力を直接阻害するが、AIsは体内でのエストロゲン産生を補助するアロマターゼという物質の作用を遮断する。アナストロゾールはアロマターゼ阻害薬のひとつである。

種々のAIsに関する試験が行われ、有望な結果が得られているが、これらの薬剤の長期的作用は不明である。2004年11月、米国臨床腫瘍学会は、ホルモン感受性乳癌が生じた閉経後女性に対して次の2通りの術後療法のうちいずれかを選択するように勧める内容を発表した。

・タモキシフェンによる2~5年間の治療を開始し、次にAIに切り替えてさらに2~5年間治療を継続する。

・タモキシフェンを投与せず、AIのみによる5年間の補助療法を開始する。。

以下、「アリミデックスおよびタモキシフェンの単独療法または併用療法」(ATAC)試験の5年間にわたる最終結果を示すが、これは早期乳癌の術後療法としてのAIに関する最初の長期的結果である。

試験
ATAC試験は第III相の二重盲検臨床試験である。この試験には限局性乳癌(浸潤または転移が見られない乳癌)の閉経後女性9,366例が登録された。患者はアナストロゾール単独投与群、タモキシフェン単独投与群、両剤併用投与群のいずれかに無作為に割り付けられた。英国Manchester、Christie病院NHSトラストのAnthony Howell医学博士が研究チームの長を務めた。

ATAC試験開始から33ヵ月後の2001年12月に、アナストロゾールを服用している女性ではタモキシフェンを服用している女性に比べて再発率が低い(約17%の低下)という初期成績が発表された。しかし、この結果はごく予備的なものであり、この患者集団に対して乳癌の初期治療後にタモキシフェンではなくアナストロゾールを服用することを勧める根拠とすることはできなかった(関連情報を参照)。

しかし、新たに発表されたATAC試験の5年間のデータから見て、アナストロゾールはおそらく補助療法薬として優先して使用すべき薬剤と言えよう。

結果
ATAC試験のフォローアップ期間の中央値は5年8ヵ月であったが、この期間の終了後の転帰はタモキシフェンを服用していた女性に比べアナストロゾールを服用していた女性で有意に良好であった。アナストロゾール群ではタモキシフェンを服用していた女性に比べ無病生存期間が10%高く、再発までの期間が約20%長かった。また、他臓器に広がる癌(遠隔転移)の発生率が14%低く、対側乳房の癌発生率は40%以上低下した。

さらに、アナストロゾールを服用していた女性では予定の期間終了まで治療を継続する確率がタモキシフェンを服用していた女性よりも高かった。これはアナストロゾールでは重い副作用(子宮内膜癌、血栓形成、膣出血、のぼせ)が少なかったためである。骨折と関節痛はアナストロゾール群に多く見られた。股関節骨折の発生率は低く、群間差は認められなかった。

但し、全生存期間はいずれの薬剤群でも同等であった。

注記: 骨粗鬆に関するATAC試験の付随試験の結果が2008年3月1日付けのJournal of Clinical Oncologyに掲載された(関連記事参照)。観察期間の延長後も、全生存期間は、いずれの薬剤群においても依然として同等であった。

制限事項
上記の結果はアナストロゾールに関してのみ有効である。他のAIs(レトロゾール、エクセメスタンなど)による治療を開始することで同等の乳癌再発防止効果が得られるかは、今後の課題である。さらに、アロマターゼ阻害薬による治療の最適なタイミングと期間は不明である。

コメント
「この試験の結果は、アナストロゾールは早期乳癌が生じた閉経後女性に対する安全かつ有効な治療薬であるという強力な証拠となる。早期乳癌女性を対象とし、別のアロマターゼ阻害薬を用いた試験の結果も、この所見を支持するものである」と、国立がん研究所の癌治療評価プログラムを担当するJoAnne Zujewski医学博士は述べている。

また、同博士は次のように付け加えている。「個々の患者についてアロマターゼ阻害薬による治療を開始するか、タモキシフェン療法から始めて、後にアロマターゼ阻害薬に切り替えるかは医学的判断の問題であり、また臨床的研究の課題である。自分の医学的状態から見てどちらの治療薬が最適であるか、患者は医師と話し合う必要がある。」

注記:2006年8月号のLancet Oncology(ジャーナル要旨参照)で、研究者らは、延長した観察期間後のATAC臨床試験報告データで、アナストロゾールはタモキシフェンよりさらに認容性が高くかつ重篤な副作用が少ない結果をもたらしたことを示している。さらに、アナストロゾールは、タモキシフェンと比較してリスクおよびベネフィットは全体的にみればより期待できるものであり、再発率も低かった。100ヶ月にわたるフォローアップの結果が、2008年1月発行のLancet Oncologyに発表された(ジャーナル要旨参照)。

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豆子、湖月みき、菅原宣志 訳
平 栄(放射線腫瘍科)、武田裕里子(薬学)監修
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