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癌罹患率および死亡率の低下が連邦年次報告に発表:全米における肺癌に格差傾向があることが特集記事で明らかに

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癌罹患率および死亡率の低下が連邦年次報告に発表:全米における肺癌に格差傾向があることが特集記事で明らかに

ReportNation2008Release]Annual Report to the Nation Finds Declines in Cancer Incidence and Death Rates; Special Feature Reveals Wide Variations in Lung Cancer Trends across States (Posted: 11/25/2008)

– 米国の主たる癌機関の最新報告によると、1998年に最初の報告が発行されて以来初めて、すべての癌の罹患率と死亡率の両方が男女とも減少傾向となった。これは最も多い癌腫のいくつかが減少したことに依るところが大きい。報告によると、全癌の発症率や死亡率減少は喜ばしいが、女性の肺癌罹患傾向における州および地域の大きな格差は州のタバコ規制プログラムなどの強化の必要性を強調している。

この結果は、2008年12月2日に発行された(インターネット上では2008年11月25日)米国立癌研究所の会報誌の「癌の状況に関する国民への年次報告書、1975~2005年、肺癌、喫煙およびタバコ規制の傾向を中心に」によるものである。

10年前に最初の年次報告書が発行されて以来、癌死亡率は低下していたものの、男女ともに新規癌の診断率である癌発生率と同時の低下を記録したのは、最新版が初めてのことである。

長期間の癌発生傾向によれば、男女ともに1999年から2005年で、年に0.8%ずつ低下しており、男性では2001年から2005年で年に1.8%、女性では1998年から2005年で年に0.6%低下している。全ての癌の発生率と死亡率の低下は主に男性の3大癌(肺癌、大腸癌、前立腺癌)、および女性の2大癌(乳癌、大腸癌)における低下と女性の肺癌の死亡率の横ばいによるものである。 「今年の年次報告書の発生率の低下は、われわれが長い間待ちのぞんていたことだ」と米国癌協会(ACS)の診療所長であるオーティス・ブローリー医師は言う。「しかしながら、そのデータの解釈には少し気をつけなければいけない。発生率の変化は、癌のリスク要因の減少によるものだけではなく、スクリーニング検査の変化による可能性もある。とにかく、死亡率の継続的な低下は、予防、早期発見、治療による癌に対する真の進歩を反映させている証拠である。」

最新報告は、1996年から2005年の全ての癌の死亡率は、全ての人種および民族と男女の両方で低下した。アメリカン・インディアンおよびアラスカ原住民の癌発生率は変わらない。女性よりも死亡率の高い男性において、死亡率が大幅な低下傾向にある。また、男女ともに癌の15大死因のうち10の死因において、死亡率が低下した。しかしながら、男性の食道癌、女性の膵臓癌、男女ともに肝臓癌など特定の癌の死亡率は増加傾向にある。全体的な癌の死亡率は、アフリカ系アメリカ人において最も高く、アジア系アメリカ人あるいは太平洋諸島系アメリカ人において、最も低い。

男性において、肺癌、大腸癌、口腔癌、胃癌の発生率は低下した。前立腺癌の発生率は、1995年から2001年で年間2.1%増えた後、2001年から2005年で年間4.4%低下した。一方で、発生率が増えた癌は、肝臓癌、腎臓癌、食道癌、さらに黒色腫(2003年から2005年)非ホジキンリンパ腫、骨髄腫である。膀胱癌、膵臓癌、脳・神経系腫瘍、白血病の発生率は、安定していた。

女性においては、乳癌、結腸・直腸癌、子宮癌、卵巣癌、頸癌、口腔癌の発生率が低下したが、肺癌、甲状腺癌、膵臓癌、脳・神経系腫瘍、膀胱癌、腎臓癌、さらに白血病、非ホジキンリンパ腫、黒色腫が増加した。

「米国において癌による苦しみを軽減させるという点では前進しているが、われわれは十分な治療を受けていない癌患者に対しては、その住んでいる地域で手を差し伸べられるよう特に力を入れるなど、各種の取り組みを促進する必要がある。」と、米国国立研究所(NCI)のジョン・ニーダーフーバー所長は述べる。「本報告書によって、われわれは何に向けて一層の努力をすればよいのか、さらに、死亡率や発生率において増加を示し続けている腎臓癌、肝臓癌などの癌を予防し、発生率を低下させるには、何に関して新たな方法を見つけるよう努力すればよいのかについて理解を深めることができる。」と述べる。

報告書の特集記事は、若者と年配者での喫煙傾向の違いに加えて、全米のタバコ喫煙傾向に格差があることを指摘している。これは、女性における肺癌の予想される死亡率の低下を遅らせ、男性の肺癌の死亡率の低下を減速させている。

報告書によると、州および地域によって肺癌死亡率の傾向に大きな差が認められている。たとえば、カリフォルニアでは、男性の肺癌死亡率は1996年から2005年で年平均2.8%低下しており、これは、中西部および南部の多くの州の2倍以上低い。地域格差は、女性において顕著である。13の州で、1996年から2005年にかけて肺癌死亡率は増加しており、死亡率低下が見られたのは3つの州のみであった。また報告書によると、5つの州(ペンシルバニア、イリノイ、ミネソタ、ネブラスカ、アイダホ)において、女性の肺癌発症率は、増加傾向にあり、死亡率は横ばい傾向であった。

「われわれの癌に対する対抗が功を奏すことは確実である」と米国疾病予防管理センター(CDC)の所長であるジュリー・ガバーディン医師は述べる。「残念ながら、タバコ喫煙は、我が国を悩まし続ける。そして、それが、肺癌が非常に多くの人々の長く、実りのある、健康的な生活を奪い続ける一番の理由である。われわれは、社会のタバコによる膨大な損害に真に影響を与えるほどのタバコ規制プログラムを実行することを再付託しなければならない。」

州における喫煙者数の格差は、喫煙被害の公的な認識、社会による喫煙の許容、地域のタバコ規制活動、そして、地域を対象としたタバコ産業の販売活動を含む複数の要因により影響されている。女性の肺癌死亡率が増加傾向にある13の州では、成人女性の喫煙者の割合が高く、消費税が低く、地域経済は伝統的にタバコ栽培と製造に依存している。一方で、包括的な州全体のタバコ規制プログラムを実行した最初の州であるカリフォルニアでは女性の肺癌発生率と死亡率が唯一低下傾向にあると示された。

米公衆衛生総監報告書によると、タバコの喫煙は、全ての癌の死亡原因のおよそ30%を占めており、肺癌では、喫煙に起因する死亡の80%を占めている。喫煙が原因のその他の癌は、口腔癌、咽頭癌、喉頭癌、食道癌、胃癌、膀胱癌、膵臓癌、肝臓癌、腎臓癌、子宮頚部癌、骨髄性白血病などがある。

「日常生活で喫煙とタバコに深くかかわっている地域の男女は、様々な癌腫の高い発生率と死亡率で代償を払い続けている。この喫煙に関する癌の地域格差は、喫煙行動によるものであり、地域の環境要因によるものではない」と北アメリカ中央癌登録協会(NAACCR)のベッチー・コーラー事務局長は述べました。

「男女とほぼすべての人種を合わせて癌全体の発生率と死亡率の低下が見られたことは、非常に喜ばしいことである」と著者はまとめた。「しかしながら、これは、最終目的ではなく、むしろ出発点として見なければならない。」 予防、早期発見及び治療を改善する為に現在進行中の研究と既存の知識の応用を合わせる2倍の努力が、将来、この発展を維持し広げるために必要であると彼らは述べる。

本研究は、米国立衛生研究所とNAACCRACSの一部であるACS、CDC、NCIの研究者により行われた。

### Jemal A, Thun MJ, Ries LAG, Howe HL,Weir HK, Center MM, Ward E, Wu X, Eheman C, Anderson R, Ajani U, Kohler B, Edwards BK. Annual Report to the Nation on the Status of Cancer, 1975-2005, Featuring Trends in Lung Cancer, Tobacco Use and Tobacco Control. Journal of the National Cancer Institute; Published online Nov. 25, 2008; Print issue Dec. 2, 2008. Vol. 100, No. 23. To view the full report, go to: http://jnci.oxfordjournals.org/content/100/23/1672.full?keytype=ref.&ijkey=7gzxMw78EFM11MN For a Q&A on this Report, go to http://cancer.gov/newscenter/pressreleases/ReportNation2008QandA. For Spanish translations of this press release and Q&A, go to http://cancer.gov/espanol/noticias/ReportNation2008SpanishRelease. ACS: http://www.cancer.org. CDC’s Division of Cancer Prevention and Control: http://www.cancer.gov/http://www.cancer.gov and the SEER Homepage: http://www.seer.cancer.gov./

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高杉友紀子 訳

Nobara 校正

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