2010/04/06号◆癌研究ハイライト | 海外がん医療情報リファレンス

2010/04/06号◆癌研究ハイライト

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2010/04/06号◆癌研究ハイライト

同号原文
NCI Cancer Bulletin2010年4月6日号(Volume 7 / Number 7)


日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中〜

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癌研究ハイライト

・肺癌および膵臓癌の第3相臨床試験を中止
・医療の利用状況が大腸癌の格差に関連するかもしれない
・小児患者で多く用いられる補完代替医療
・乳癌試験でゾレドロン酸の効果を調査

肺癌および膵臓癌の第3相臨床試験を中止

2つの第3相臨床試験が主要評価項目を満たす可能性が低いと判断され、先週中止となった。

ATTRACT-1試験では、未治療の進行非小細胞肺癌(NSCLC)の患者を対象に薬剤ASA404の試験を実施していた。ASA404(バディメザンとも呼ばれる)は血管破壊薬として知られる新しいタイプの血管新生阻害剤である。計画された中間解析で「延命効果を証明できる見込みはほとんどまたは全くないため、試験の継続は無駄である」ことが示され試験を中止した、と製薬企業であるAntisoma社は声明で説明した。

試験の中止は、サンフランシスコでの肺がん会議で進行NSCLCに対する一次治療としてのASA404が第2相試験で有望と報告されてから約2カ月後のことである。第2相試験では、ASA404と化学療法の併用により、生存期間中央値が化学療法単独のほぼ2倍であった。

GenVec社も先週、局所進行膵臓癌患者を対象にしたTNFeradeの第3相PACT試験の一時中止を発表した。試験は中間データ解析により「対象とした集団での臨床効果について当局の承認を得る基となる説得力ある証拠を示すという目標は達成できない」と示されたことにより中止となった、と同社は報道発表で説明した。

TNFeradeは、腫瘍壊死因子(TNF)として知られるタンパク質のDNAを有す改変ウイルスであり、薬剤を直接腫瘍に注射する。2005年に会社は膵臓癌患者を対象にした第1/2相試験での有望な結果を報告した。昨年FDAはTNFeradeを「オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)」に指定した。これは治療の選択肢が限られる比較的稀な疾患や病態に対する薬剤の開発を促進するためのものである。

医療の利用状況が大腸癌の格差に関連するかもしれない

米国の黒人は白人に比べ、大腸癌の発症率とそれによる死亡率が高い。実施中の「前立腺癌・肺癌・結腸直腸癌・卵巣癌スクリーニング試験(PLCO)」のデータを用いた新しい試験で、生物学的相違よりも医療制度利用の差がこの格差に大きく影響していることが示唆された。この結果は、Journal of the National Cancer Institute誌4月6日オンライン版に発表された。

NCI癌予防部門のDr. Adeyinka Laiyemo氏が率いる研究者らは、PLCO試験参加者で開始時のスクリーニングでS状結腸鏡検査を受けた非ヒスパニック系白人57,561人と非ヒスパニック系黒人3,011人について調査した。PLCO試験実施計画に従い、S状結腸鏡検査で大腸ポリープまたは腫瘤が検出された患者は、全大腸内視鏡検査による診断を受けるためにかかりつけ医に紹介されることになっていた。

スクリーニング検査で異常所見が認められたのは黒人(25.5%)と白人(23.9%)で同程度であったにもかかわらず、黒人(62.6%)ではフォローアップの全大腸内視鏡検査を受けた人数が白人(72.4%)より少なかった。教育レベル(社会経済的状態の代用指標)別に解析すると、高卒あるいはそれ以下の群でのみ統計的な有意差が認められた。

研究者らは、試験開始時スクリーニングにおいて黒人と白人で大腸癌のリスクに統計的有意差を認めなかった。総括すると、この結果は「少なくとも発癌の初期段階で大腸癌の実質的な生物学的人種差はないが、その代わり、人種間の医療利用の差が大腸癌でみられる格差においてより重要な役割を果たしている」ことを示唆する、と著者らは述べた。

試験は黒人参加者の医療利用率が低いことの要因を特定するためにデザインされたものではなかったが、その要因としては検査の費用や文化的な障壁が含まれる可能性があると著者らは結論づけている。

小児患者で多く用いられる補完代替医療

Pediatrics誌3月22日オンライン版に発表された系統的レビューによると、多くの小児癌患者が補完代替医療(CAM)を使用している。英国サザンプトン大学のDr. Felicity Bishop氏が率いた研究チームは、1975〜2005年に実施され、14カ国から合計3,526人の小児を調査した、28の研究について再検討した。23研究は2000〜2005年に、10研究は米国で実施された。

調査した小児の2〜48%がハーブ療法(13研究において調査)、3〜47%が食事・栄養療法(13研究において調査)、2〜19%がビタミン大量療法(7研究において調査)を取り入れていたことが明らかになった。その他に用いられていた補完代替医療は、信仰療法、心理—身体療法、マッサージ療法などであった。

調査で小児が補完代替医療を使用する様々な理由が挙げられ、小児癌の治癒に役立てる、小児癌に立ち向かうのを助ける、(癌そのものおよび標準治療の副作用による)症状の緩和などがあった。補完代替医療の使用は小児患者の性別、年齢、民族性、家族の収入には関連がないと考えられ、幅広い人口統計学的グループで使用されていることを示した。

一部のよく使用されるハーブやサプリメントが標準的な癌治療法と望ましくない相互作用をおこす可能性があるため、「従来の治療を実施しているときに患者(および患者の親)が他の治療法を求めたり併用していないか、小児腫瘍医は注意する必要がある」と著者らは警告した。

乳癌試験でゾレドロン酸の効果を調査

化学療法と併用して骨密度維持薬ゾレドロン酸(ゾメタ)の投与を受けている乳癌女性は、化学療法単独による治療を受けている女性に比べ数カ月後に骨髄に腫瘍細胞が検出されるのがわずかに少なかった。Lancet Oncology誌4月1日オンライン版で発表されたこの結果は、ランダム化第2相臨床試験によるものである。

今回の目的は、ビスフォスフォネート剤の一種であるゾレドロン酸を手術前に化学療法と併用した場合に骨髄中の播種性腫瘍細胞(DTC)を減少させることができるかを明らかにすることであった。セントルイスのワシントン大学医学部Dr. Rebecca Aft氏が率いた本試験では、新たにステージIIまたはステージIIIの乳癌と診断された女性109人を併用療法と化学療法単独とに無作為に割り付けた。

3カ月後、ゾレドロン酸を投与した女性56人中17人で骨髄に播種性腫瘍細胞が認められたのに対し、化学療法単独の患者は53人中25人であった。この差は統計学的に有意ではないと、研究者らは指摘した。12カ月後では、播種性腫瘍細胞が検出された患者数は両群で基本的に同じであった。

Novartis Pharmaceuticals社とPfizer社の資金援助を受けたこの試験では、化学療法の開始時のゾレドロン酸投与により1年後に測定した骨密度が低下しなかったことも明らかになった。この結果は乳癌を対象にしたビスフォスフォネート剤の他の試験と一致すると、研究者ら指摘した。

「化学療法とゾレドロン酸の併用投与により手術時に骨髄で播種性腫瘍細胞が検出される患者の割合が減少した」と、研究者らは結論づけた。また、本試験および他の試験の結果は、ゾレドロン酸が骨髄および全身での抗転移作用があることを示唆すると指摘した。

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榎 真由 訳
鵜川 邦夫(消化器内科医/鵜川病院) 寺島 慶太(小児科医/テキサス小児がんセンター)監修

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