2008/10/21号◆特集記事「濾胞性リンパ腫に新たな選択肢」 | 海外がん医療情報リファレンス

2008/10/21号◆特集記事「濾胞性リンパ腫に新たな選択肢」

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2008/10/21号◆特集記事「濾胞性リンパ腫に新たな選択肢」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2008年10月21日号(Volume 5 / Number 21)

日経「癌Experts」にもPDF掲載中~

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特集記事

濾胞性リンパ腫に新たな選択肢

オランダのユトレヒト大学医療センター主導の国際研究チームが行った大規模第3相試験の結果によると、緩慢性かつ進行期の濾胞性リンパ腫患者を対象に1次治療後の地固め療法として放射能標識モノクローナル抗体を投与したところ、非常に有効であった。この報告はJournal of Clinical Oncology誌10月14日号に掲載された。

試験結果にて、地固め療法(寛解を導くための初回[導入]療法後の補助療法)としてイットリウム-90(90Y)-イブリツモマブ[ibritumomab tiuxetan](ゼヴァリン)を単回投与したところ、導入療法のみを受けて地固め療法を受けなかった対照群の患者と比較して、全サブグループの患者において無増悪生存期間が有意に延長したことが示された。90Y-イブリツモマブとは、放射性アイソトープを結合させたモノクローナル抗体である。

患者が導入療法に対して完全寛解(CR)を示したか、または部分寛解(PR)を示したかに関わらず、無増悪生存期間は延長した。すなわち、CRについては53.9カ月対29.5カ月、PRについては29.3カ月対6.2カ月であった。さらに、導入療法に対してPRを示した治療群の77%が90Y-イブリツモマブの投与後にCRに「移行」した。

本研究者らは、「今回の結果は、濾胞性リンパ腫の1次治療を対象とした第3相ランダム化試験の公表済み結果の中で、PRからCRへの移行率が最も高いものの1つである」と述べ、「本試験で認められた90Y-イブリツモマブの有効性と妥当な毒性を考慮すると、このモノクローナル抗体を用いた地固め療法は、濾胞性リンパ腫に対する最新の治療法と考えてよいだろう」と結論付けている。

90Y-イブリツモマブを製造するCell Therapeutics社(シアトル)は現在、濾胞性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫の一種)患者を対象とした1次地固め療法用の薬剤として上市を始めるため、FDAに承認を求めている。90Y-イブリツモマブは、再発したか、または現在承認されている治療法に効果を示さない濾胞性リンパ腫の治療用として米国ですでに承認されている。

今回の「緩慢性リンパ腫の1次治療試験(Firstline Indolent Trial)」では、欧州の医療機関77施設から患者414人を組み入れた。患者が受けていた導入療法はさまざまであり、異なる化学療法剤も用いられていた。また、15%の患者では、モノクローナル抗体であるリツキシマブ(リツキサン)も使用されていた。導入療法後、非地固め療法群またはリツキシマブの「プライミング」投与2コースに続いて90Y-イブリツモマブを単回投与する地固め療法群のいずれかに患者をランダムに割り付けた。追跡調査が限られていたため、全生存期間に関する試験データはない。

さほど積極的ではない導入療法を受けた患者でも良好な結果が得られたことを考慮すると、90Y-イブリツモマブには積極的な治療法を用いなくとも腫瘍寛解を最大限にする可能性があり、積極的な化学療法の必要性が軽減すると考えられる。

フレッド・ハッチンソンがん研究センターにてリンパ腫研究の主任を務めるDr. Oliver W. Press氏はJCOの付随論説で、「本試験では導入療法としてリツキシマブの投与が限定的であったことが、試験結果を解釈するうえで妨げとなっている」と述べている。さらに同氏は、本試験を「画期的な試験」と称する一方、いくつかの第3相試験の結果に基づいて、「各サイクルの導入化学療法でリツキシマブを併用することは、世界的な標準治療となっている」と述べている。

ワイル・コーネル医科大学(ニューヨーク)のリンパ腫・骨髄腫センターで主任を務めるDr. John Leonard 氏は、「良好な安全性プロファイルおよび患者での良好な忍容性を考えると、90Y-イブリツモマブは、毒性の高い化学療法を十分用いることのできない高齢患者において特に有用である」と述べる。

Leonard 氏によると、放射線免疫療法(放射能標識モノクローナル抗体の使用はこのようによばれることが多い)は一般に広くは行われていないという。その理由の一つは、癌専門医が使用する上で他の承認済みの治療法(リツキシマブ投与など)ほど容易ではないためである。1 つには、放射性物質を取り扱うための特別な設備を有する施設にて投与しなければならないことが挙げられる。

さらに同氏は、「いくつかの試験が現在進行中であり、それらは進行期の濾胞性リンパ腫の新規患者における放射線免疫療法の役割を明確にするうえで役立つであろう」と述べている。

—Carmen Phillips

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斉藤 芳子 訳

林 正樹(血液・腫瘍科) 監修

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