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2008/11/04号◆注目の臨床試験「末梢型小型非小細胞肺癌腫瘍の外科治療の比較」
- 2008年11月11日
同号原文|
NCI Cancer Bulletin2008年11月4日号(Volume 5 / Number 22)
~日経「癌Experts」にもPDF掲載中~
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◇◆◇注目の臨床試験◇◆◇
末梢型小型非小細胞肺癌腫瘍の外科治療の比較
◇臨床試験名
1A期の末梢型小型非小細胞肺癌患者(NSCLC)に対する肺葉切除術(Lobectomy)と亜肺葉切除術(sublobar)に関する第III相ランダム化試験(CALGB-140503)。試験プロトコルの概略は以下を参照のこと。 http://www.cancer.gov/clinicaltrials/CALGB-140503
◇臨床試験責任医師
Dr. Nasser Altorki氏(CALGB臨床試験団体)、 Dr. Harvey Pass氏(RTOG臨床試験団体)、 Dr. Daniel Miller 氏、(ACOSOG臨床試験団体)、Dr. Kemp Kernstine氏(SWOG臨床試験団体)
◇この試験が重要な理由
極めて早期の病期で発見された非小細胞肺癌(NSCLC)の標準治療法は、腫瘍が見つかった部位の肺葉を外科的に除去する(肺葉切除術)。肺葉切除術はしばしば長期生存が可能となるが、患者は肺機能障害に苦しむおそれがある。また第2の肺癌を発病した場合には、この肺葉切除術が根治を目的とした外科手術として適切ではないこともあり得る。
病巣の肺葉の一部のみ切除(亜肺葉切除術)は、小型腫瘍(2cm以下)の患者に行われた肺葉切除術と同等の生存率であることがいくつかの非ランダム化試験で示されてきた。しかしこれらの試験は、小型腫瘍の患者に対し亜肺葉切除術が肺葉切除術と同等の結果をもたらすことを明確に検証するようにはデザインされていなかった。
この第III相ランダム化試験では、腫瘍の大きさが2cm以下でかつ肺の外側3分の1の部位に発生している1A期の非小細胞肺癌患者が亜肺葉切除術(くさび型切除または区域切除)あるいは肺葉切除術に無作為に割り当てられる。患者らを今後5年間フォローアップし、癌の再発なくどれだけの期間生存したか(無病生存率)を比較する予定である。また、患者らの全生存期間、肺癌再発率および肺機能も比較する予定である。
Altorki医師は次のように述べる。「現在の治療は1980年代後半に実施された研究に基づくものである。いくつかの成果によって、これらの小さな腫瘍を治療する方法は変わったとわれわれは考えている。今や、より適切な病期分類が可能になり、肺区域の表面のさらに小さな腫瘍に狙いを定めることができる。」
さらに、「この治療法が成功すれば、この試験によって将来の肺癌における外科的処置が変わる可能性があり、このことは特に肺気腫などの疾患を併発している患者に利益をもたらすだろう」とAltorki 医師は続けた。
◇問い合せ先
適格基準リストおよび問い合わせは上記URLまたはNCIがん情報センター1-800-4-CANCER(1-800-422-6237)まで。この電話はフリーダイヤルで、秘密は厳守されます。
*過去の「注目の臨床試験」(原文)は以下のURLを参照。 http://www.cancer.gov/clinicaltrials/ft-all-featured-trials
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佐々木 了子 訳
古瀬 清行(呼吸器科医)監修
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