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2008/11/04号◆特集記事「セレニウムおよびビタミンEは前立腺癌のリスクを低減できない」

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2008/11/04号◆特集記事「セレニウムおよびビタミンEは前立腺癌のリスクを低減できない」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2008年11月4日号(Volume 5 / Number 22)

日経「癌Experts」にもPDF掲載中~

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特集記事

セレニウムおよびビタミンEは前立腺癌のリスクを低減できない

過去最大規模である前立腺癌予防試験の独立審査により、前立腺癌のリスクを25%低減させるという主要評価項目は達成されないであろうとの結論が示されてから、被験サプリメントであるビタミンE およびセレニウムの服用中止を指示する文書が試験の参加者に送られている。NCIの資金援助を受けた セレニウムおよびビタミンEの癌予防効果試験(SELECT)に参加した35000人はさらに約3年間、継続して試験に協力するよう求められている。

SELECT参加者の追跡調査を続けることが重要なのには多くの理由がある、とクリーブランドクリニックの泌尿器腫瘍センター所長で本試験の共同責任医師の一人であるDr. Eric Klein氏は説明する。「これらのサプリメントの1つ、もしくは両方に「ラグ効果」がある可能性がわずかながら存在し、前立腺癌やその他の癌の発生率に与える影響はあと数年間は明らかにならないでしょう」と彼は言う。

SELECT実行委員会がこの被験サプリメントについての決定を下したのは、本試験のデータおよび安全性モニタリング委員会(DSMC)の勧告に基づいている。DSMCは9月中旬の最新のデータ検証で、平均5年間にわたり同サプリメントを服用している参加者についてこれらのうちの1 つ、もしくは両方が前立腺癌の症例数を減少させる可能性はほとんどないと結論づけた。この検証では、いずれも統計的に有意ではないものの、ビタミンE を服用した場合に前立腺癌のリスクが増加し、セレニウムを服用した場合に成人発症糖尿病のリスクが増加する傾向があることも明らかにされた。

2001年に始まったSELECTには50歳以上の黒人男性、55歳以上の白人男性が登録した。これは黒人男性では白人男性に比べて前立腺癌の罹患率が高く、より早い年齢で診断されることが多いことによる。参加者は2つのプラセボ、セレニウムとプラセボ、ビタミンEとプラセボ、またはビタミンEとセレニウムを服用する4つの群のいずれかに無作為に割付けられた。以前に行われた実験室ないし動物モデルの研究ではセレニウムおよびビタミンE に癌予防の特性があることを示唆するものがあったが、SELECT開始の主な推進力となったのは、これらのサプリメントがそれぞれ単剤で前立腺癌のリスクを有意に低減すると考えられた2つの癌予防試験の結果であったが、これらの試験のいずれも前立腺癌予防に焦点を置いたものではなかった、とミシガン大学医学部の医学・薬理学教授で、SELECTのコーディネートを行うSOG臨床試験団体の委員長でもあるDr. Laurence Baker氏は指摘する。

従って、この2つのサプリメントのいずれかが単剤あるいは併用で前立腺癌のリスクを低減できるかを明らかにするためにSELECT試験が始まった、と彼は続けている。400を超える参加施設で参加登録者数は急増し、3年間で35000人の患者が登録された。

これまでにみられた前立腺癌および糖尿病のわずかな増加は「偶然による」可能性がある、とテキサス大学M.D.アンダーソンがんセンター臨床癌予防部門長で、SELECTの科学運営委員会の共同責任医師でもあるDr. Scott Lippman氏は強調する。これは特に前立腺癌にみられた傾向にあてはまる。「ビタミンEが前立腺癌を引き起こすことを示唆する生物学的論拠はないのです」と彼は述べた。

さらに、ビタミンE/セレニウム群とプラセボ群の前立腺癌の罹患率は同じであったとKlein氏は指摘している。「このことを説明するには、ビタミンEが及ぼす何らかの有害な作用をセレニウムが相殺すると仮定しなければなりません」とKlein氏は言う。「セレニウム単独では前立腺癌の罹患率に何の作用も及ぼさないことを考えると、そのようなことは考えにくいでしょう。」

現在継続されている分析がこれらの試験結果を明確に説明する一助となるだろう、と彼らは言う。

セレニウムと糖尿病の関連性について公表されているエビデンスは多様であるため、SELECT参加者の追跡調査を続けることで、セレニウムが糖尿病のリスクに実際に及ぼす作用に関して、これまでで最も強力なエビデンスをいくつか示せるであろう、とKlein氏は続けている。

—Carmen Phillips

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河原 恭子 訳

榎本 裕  (泌尿器科) 監修

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