2008/12/02号◆放射線画像診断による被曝リスクの評価 | 海外がん医療情報リファレンス

2008/12/02号◆放射線画像診断による被曝リスクの評価

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2008/12/02号◆放射線画像診断による被曝リスクの評価

同号原文

NCI Cancer Bulletin2008年12月02日号(Volume 5 / Number 24)

日経「癌Experts」にもPDF掲載中~

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放射線画像診断による被曝リスクの評価

癌の画像診断は、放射線の照射線量に慎重な注意を払い適切に行われれば、その潜在的ベネフィットはリスクを上回ると放射線治療の第一人者たちは認めている。いくつかの画像診断法の急速な普及により、患者および医療従事者が潜在的に危険な放射線量に被曝しているのではないかという懸念が高まっているが、その影響については長期に渡る集団ベースの研究によってのみ明らかにされる。

コンピュータ断層撮影(CT)は、検査件数が年間6000万件以上と1990年代初頭に比べて約3倍に急増しており、患者1人あたりの平均スキャン数もまた増加していることから大きな問題となってきている。CTが普及した主な要因は、検査速度が速く、臓器や組織の非常に鮮明な画像を得られることだと思われる。しかし、CTは通常のX線撮影に比べ放射線量が格段に多いことが欠点であると米国立癌研究所の癌疫学・遺伝学研究部門(DCEG)の主任研究員であるDr. Elaine Ron氏は説明する。例えば、腹部CTの場合、線量は通常のX線撮影の50倍になる。

中でも最も懸念されるべきことは、小児へのCTの施行である。身体が発育段階にあるため、小児は放射線による影響を受けやすく、それにより癌リスクを増大させる可能性があると専門家らは警告を発している。このようなことを懸念し、NCIは小児放射線学会(the Society for Pediatric Radiology)と提携し、医療従事者に小児に対する適切なCTの施行およびCTから放出される電離放射線の潜在リスクについて教育するための小冊子を作成した。DCEGの研究者らはまた、英国ニューキャッスル大学およびイスラエルのMaccabi 医療サービスの研究者らと共同で、CTスキャンを受けた小児および青年における癌の発症リスクに関する研究を進めている。

NCI研究者らはCT以外の放射線検査法の研究も行っている。X線透視法と呼ばれる一種のX線技術を活用した診断法および治療法(特に冠動脈造影や冠動脈血管形成術)が盛んに行われるようになってきている。これらの手法は長時間を要するため、放射線への累積被曝線量は相当なものになる。NCIは5つの医療団体と共同で、X線透視誘導法を実施している放射線科医および心臓専門医の癌発症リスクが高いかどうか判断するため、研究に着手した。

この研究は、ある種の癌が、X線透視法を施行する医者の間でより頻繁に発生するとの報告を受け開始されたものであるとDCEGの放射線疫学科の試験責任医師であるDr. Amy Berrington de Gponzalez氏は説明した。NCIをはじめとする他の医療団体は、医療関係者に対しX線透視法の潜在的な放射線関連リスクについての教育を行ってきた。だが、FDAにより行われた複数の調査をはじめとする入手可能な証拠を見る限り、その教育はまだ浸透しておらず、特に放射線医学全般の教育を受けていない医療関係者には理解されていないようであると彼女は強調した。

長期間の研究により、日常的に放射線関連の処置に携わっている医師とそうでない医師の癌による死亡率を比較することができることになる。「その結果、われわれはこれらの新画像技術の使用増加が発癌リスクの増加と相関するかどうか判断することができるでしょう。」と彼女は述べる。

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Watanabe 訳

平 栄(放射線腫瘍科)監修

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