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2010/04/06号◆特集記事「デュタステリドは前立腺癌リスクを低下させる」

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2010/04/06号◆特集記事「デュタステリドは前立腺癌リスクを低下させる」

同号原文
NCI Cancer Bulletin2010年4月6日号(Volume 7 / Number 7)


日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中〜

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◇◆◇ 特集記事 ◇◆◇
デュタステリドは前立腺癌リスクを低下させる

前立腺癌リスクが高い男性がdutasteride〔デュタステリド〕(Avodart〔アヴォダート〕)を定期的に服用することにより、リスクが低下したと大規模ランダム化臨床試験の結果から示された。この結果は、5α還元酵素阻害剤(5αRI)として知られるクラスの薬剤を服用している男性において前立腺癌リスクが低下したことを示す2番目に規模の大きいREDUCE試験から得られた。以前に前立腺癌予防試験(PCPT試験)でフィナステリドは、今回のREDUCE試験で認められたのと同程度のリスク低下をもたらすことが示されている。
REDUCE試験の結果から、「デュタステリドの主な作用は前立腺の腫瘍縮小または腫瘍増殖抑制」であることが示唆されたと、この試験の主任研究者であるワシントン大学医学部(セントルイス市)のDr. Gerald Andriole氏を筆頭とする研究者らはNew England Journal of Medicine誌4月1日号に発表した。この試験に出資し、デュタステリド製造元であるグラクソ・スミス・クライン社は、同薬を前立腺癌リスクの高い男性における予防薬として市販するためFDAに再度承認申請した。デュタステリドは前立腺肥大症(BPH)の治療薬として既に承認されている。

国際臨床試験であるREDUCE試験では、登録時点の前立腺特異抗原(PSA)スコア2.5〜10で過去6カ月以内の生検結果が陰性であった年齢50〜75歳の男性6,700人以上を組み入れた。試験参加者はほとんどが白人であり、登録の2年後と4年後にも生検を実施した。4年間の追跡後、デュタステリドを投与した男性ではプラセボ投与男性に比べ、前立腺癌の相対リスクが23%近く低下した(前立腺癌が確認されたのはデュタステリド群659人に対してプラセボ群858人)。

副作用は勃起不全、リビドー低下で、デュタステリドの使用に伴う代表的な副作用と同様であった。唯一の例外は、まれではあるが心不全リスクの上昇である。デュタステリド群の男性では30人(0.7%)の報告があったのに対し、プラセボ群の男性では16人(0.4%)であった。心不全は、高血圧およびBPHの治療に用いられることが多いα遮断薬とデュタステリドを併用した男性で多い傾向がみられた。

前立腺癌リスクの低下は、ほとんどが生検でグリーソンスコア6(中悪性度の前立腺癌)と診断される数の減少によるものであった。フィナステリドを用いたPCPT試験と同様に、デュタステリド投与男性ではプラセボ投与男性と比較して、悪性度が高い癌(グリーソンスコア8〜10)がより多く検出された。この理由の一部は、デュタステリドが前立腺体積を縮小させることによるもので、このことが生検サンプルにおける高悪性度腫瘍の検出能を高めていると著者らは説明した。しかし彼らは、高悪性度腫瘍の一部がデュタステリドによるものである可能性は否定しなかった。

ジョンズホプキンス大学のDr. Patrick Walsh氏は付随する論説のなかで、デュタステリドにこれらの高悪性度の腫瘍を減少させる効果がみられなかったことには「いくぶん失望した」と述べた。また、同氏はREDUCE試験とPCPT試験で得られたエビデンスに基づき、デュタステリドとフィナステリドの効果がグリーソンスコア(GS)5〜6の腫瘍に限られているように思われることから、両薬剤は前立腺癌を予防するのではなく、致命的である可能性が低い腫瘍を一時的に縮小させるにすぎないと主張した。

「『予防』か『遅延』かというのは、名ばかりの区別です」とNCI癌予防部門のDr. Haward Parnes氏は指摘した。「男性が前立腺癌と診断されるリスクが5αRIによって低下することは、今や2つの独立したランダム化臨床と試験によって示されています」。グリーソンスコア6の前立腺癌の発症率が低下するという利益を軽視するべきではないと同氏は続けた。「グリーソンスコア6の前立腺癌は最も多く、このスコアの前立腺癌では根治手術か放射線療法による治療を受ける男性が90%を超えますが、いずれの治療法も相応の合併症を伴います」。

デュタステリドによる心不全の発現率上昇は大きな問題とはならないと、カンザス大学医療センター泌尿器科部長のDr. Brantley Thrasher氏は述べた。「われわれは、このクラスの薬剤を長い間使用していますが、この種の問題が起こることはまれです」という。

2009年2月、米国臨床腫瘍学会と米国泌尿器科学会は、5-αRIによる前立腺癌予防に関するガイドラインを発表した。ガイドラインでは、既にBPHのため5-αRIを使用しているか、前立腺癌の検査を定期的に受けている健康な高齢男性は、前立腺癌予防のため5-αRIの長期使用が可能かどうかについて医師と相談すべきであると勧告された。

Thrasher氏はすでにこのことを患者たちと話し合い、家族歴やPSA高値などの因子があるため前立腺癌リスクの高い患者の多くが、現在フィナステリドかデュタステリドを服用していると語った。FDAがデュタステリドを予防目的で承認すれば、多くの医師と患者が予防のために用いるようになると同氏は考えている。「平均的な医師であれば、予防のために(5-αRIを)使用するよう自信をもって患者に話すと思います」。

— Carmen Phillips

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市中 芳江 訳
榎本 裕 (泌尿器科医)監修

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