小児のT細胞性急性リンパ性白血病患者において、臨床試験に参加して新治療法を試みるべき患者を検査で予測できる可能性/ダナファーバー癌研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

小児のT細胞性急性リンパ性白血病患者において、臨床試験に参加して新治療法を試みるべき患者を検査で予測できる可能性/ダナファーバー癌研究所

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小児のT細胞性急性リンパ性白血病患者において、臨床試験に参加して新治療法を試みるべき患者を検査で予測できる可能性/ダナファーバー癌研究所


ダナファーバー癌研究所
2010年7月19日

ダナファーバー癌研究所の研究者らが明らかにした遺伝子の手がかりにより、T細胞性急性リンパ性白血病の小児(T-ALL)において、通常の化学療法から効果を得られる可能性が低く、臨床試験による新しい治療法を最初に受けられるようにすべき患者を、医師らが初めて予測できるようになった。[pagebreak]Journal of Clinical Oncology誌に掲載された研究において、T-ALLの若年患者のうち、白血病細胞のT細胞受容体γ遺伝子に変異を認めない患者は、寛解導入療法への反応が不良であると研究者らが報告した。寛解導入療法とは診断後最初に行われる化学療法で、その目的は癌を寛解状態(白血病細胞が一定数以下に減少し、白血病による症状が消失する状態)に導くことである。

この高リスクマーカーを有する患者は、現在開発途中の治療法を検証する臨床試験への参加者として最優先候補となるだろう。

「T-Allを有する子供の多くを治療することが可能ではあっても、およそ25%の小児患者がこの病気で命を落とします。第一選択の化学療法の失敗か、寛解の状態になってから1、2年後の再発かのどちらかが原因です」と、この試験の筆頭著者であるダナ・ファーバーのAlejandro Gutierrez医師は述べる。

「今日まで、第一選択治療薬による標準レジメンが患者の役に立つ可能性があるかどうかを、治療前に判断する方法はありませんでした」
急性リンパ性白血病(ALL)は白血球の癌で、子供に最も高い頻度でみられる悪性腫瘍である。T-ALLは、T細胞として知られるリンパ球(リンパ細胞)を侵すもので、米国癌協会によれば、全ての小児ALL患者の15%、米国では年間におよそ1,500人が新たにT-ALLと診断されているという。

患者が標準化学療法への抵抗を示す可能性があるかどうかのヒントをT-ALL細胞が有していないかを調べるために、研究者らは、小児T-ALL患者47人から採取した白血病細胞のゲノム解析(網羅的遺伝子解析)を行なった。このうち25人は長期サバイバーで、9人は寛解導入療法後に完全寛解に至らなかった患者、13人は寛解状態から再発した患者である。

比較ゲノムハイブリダイゼーションとして知られる分子検査は、何千もの遺伝子を精査し、細胞内に特定の遺伝子のDNAコピー数異常があるかどうかをを調べるものである。
「私たちは、T細胞受容体γ遺伝子におけるDNAの再構成がない細胞を持つ患者において寛解導入療法が失敗する可能性が最も高いことを発見しました」と、Gutierrez氏は述べる。

検査を行った47のサンプルのうち、8つにこの特定の高リスクマーカーがありました。このマーカーを持つ患者のうち6人が第一選択の化学療法に反応しませんでした」
寛解状態になった後に再発した患者の腫瘍サンプルについては、T細胞受容体γ遺伝子再構成は診断時には観察されていた。

しかしながら、これらの患者のうち数人においては、再発後の遺伝子再構成が見つからなかった。このような患者は、診断の時点で遺伝子再構成のない白血病源細胞(leukemia-initiating cells)をほぼ確実に少量有しているが、量が少なすぎるために検出ができないと私たち研究者は考えていると、上級著者であるダナ・ファーバーのThomas Look医師は述べる。

化学療法に反応して、DNAが再構成された細胞が死滅した後、化学療法抵抗性の細胞が優勢になった。

特定のT-ALL細胞に従来の化学療法に抵抗する能力を与えるのは、どの遺伝子、どの遺伝子経路が原因なのかという手掛かりが、他の複数の分子生物学的研究から科学者らにもたらされつつあるとGutierrez氏は述べる。

それらの遺伝子のいくつかは、他の疾患のための複数の臨床試験で研究が進められている薬剤の標的となることがわかっており、T-ALLの特定の患者群にも効く可能性を提起している。

「この疾患における従来の寛解導入療法の比較的高い失敗率を考え、早急に新しい化学療法を患者に試みる必要があります」と、Gutierrez氏は述べる。「T細胞受容体γ遺伝子における再構成を一律に調べる検査」は標準化された検査としてかなり安価に行なえる可能性があり「どの患者が、それらの薬剤から最も利益を得られるのかを特定するのを可能にすることでしょう」

この研究は米国国立衛生研究所(NIH)、William Laurence FoundationおよびCommunity Foundation of theNational Capital Regionからの資金援助を受けている。

共著者は以下のとおりである。
Suzanne Dahlberg, PhD; Donna Neuberg, ScD; Jianhua Zhang, PhD; Ruta Grebliunaite, Takaomi Sanda, MD PhD; Alexei Protopopov, PhD; Jeffrey Kutok, MD, PhD; Lewis Silverman, MD; Lynda Chin, MD; and Stephen Sallan, MD, Dana-Farber; Valeria Tosello, PhD, and Adolfo Ferrando, MD, PhD, Columbia University, New York; Richard Larson, MD, PhD, and Stuart Winter, MD, University of New Mexico, Albuquerque; Michael Borowitz, MD, PhD, Johns Hopkins University, Baltimore; Mignon Loh, MD, University of California San Francisco; Charles Mullighan, MD, St. Jude Children’s Research Hospital, Memphis, Tenn.; and Stephen Hunger, MD, University of Colorado, Denver.

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岡田章代 訳
寺島慶太(小児血液腫瘍・神経腫瘍学/テキサス小児がんセンター)監修
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原文


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