CT撮影時の放射線量低減への取り組みに関する最新の知見/メイヨークリニック | 海外がん医療情報リファレンス

CT撮影時の放射線量低減への取り組みに関する最新の知見/メイヨークリニック

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

CT撮影時の放射線量低減への取り組みに関する最新の知見/メイヨークリニック

最近の発表において、新しい臨床プロトコルでは放射線量を50%近く低減が期待できる結果が報告された
メイヨークリニック
2010年8月3日

近年のコンピューター断層撮影(CT)技術の進歩により、脳卒中が疑われる患者に対してパーフュージョンCT(※1)画像は重要な診断ツールとなった。メイヨークリニックの研究者は、パーフュージョンCT画像およびその他のCT画像の撮影における放射線量を低減させる研究を行っている。7月20日にフィラデルフィアで開催された第52回 米国医学物理学会(AAPM)年次総会にて、メイヨークリニックのシンシア・マッコロー博士を中心とする研究チームによって、CT放射線量低減に関する知見が報告された。同発表のタイトルは「20-Fold Dose Reduction Using a Gradient Adaptive Bilateral Filter: Demonstration Using in Vivo Animal Perfusion CT(勾配調整両側フィルタによる放射線量を20分の1までに低減:動物生体のパーフュージョンCT画像によるデモンストレーション)」であった。[pagebreak]放射線診断医であるマッコロー博士は、「私たちは、パーフュージョンCT画像がもつ臨床的価値を信じています。現在規定されている放射線レベルでも傷害の危険は確認されていませんが、患者のために放射線量を低減させる努力をしています」と述べた。

すべての被ばくは社会的、経済的要因を考慮に入れながら合理的に達成可能な限り低く抑えるべきであるというALARAの原則が、メイヨークリニックがCT画像撮影における放射線量低減へ取り組む際の指針となってきた。マッコロー博士の研究チームが行っている研究は 新しく開発された画像処理アルゴリズムを使用した実験である。この新しいアルゴリズムを使用すると、既存のプロトコルに沿った場合、最大で20分の1まで放射線量を減らして高画質のパーフュージョンCT画像を撮影できる。診断的適用にもよるが、パーフュージョンCT検査は、ヨード注射後に組織を複数回にわたり撮影するのに約30秒かかる。本撮影法では血液量と血流の変化を検出することにより、血管の損傷または治療に対する腫瘍の反応を明らかにすることが可能である。その後、各連続撮影から得られる情報と撮影された他の画像とをデジタル処理で相互参照することにより、画質を向上させ画像の歪みを減少させた。

現時点で、 この新しいパーフュージョンCT画像アルゴリズムが有効であることは動物モデルにおいては立証されており、マッコロー博士のチーム は同手法を実臨床に導入する方法を検討し始めた。

同研究の第一著者であるメイヨークリニックのフアン・カルロス・ラミレス・ジラルド氏は、「非常に少ない放射線量でCT画像を撮影した場合、画像の粒状性が悪くなり、検査の価値を大きく下げることがあります。しかし、この新しいアルゴリズムでは、検査中に撮影され収集される他の画像と相互参照することによって画質を保つことができます」と述べた。

メイヨークリニックは放射線量低減に関連する取り組みにおいて、商用のCTスキャナーの中でも最新のものを使用し、前述のものとは異なる高度なアルゴリズムをすでに実臨床に取り入れている。放射線科医と物理学者からなるチームは、放射線量を50%近く低減させる新しい頭部ルーチンCTプロトコルを導入した。米国放射線学会(ACR)は、認定施設における頭部CTの線量の上限は75mGyとしているが、メイヨークリニックが新しく導入した患者プロトコルでの線量はわずか38mGyとなる。頭部CT検査は非常によく行われるCT検査であることから、この線量低減は特に有意義である。

この新しい頭部CTプロトコルが実臨床をどのように変えるか、という質問に対し、メイヨークリニック神経放射線科デビッド・デロン医師は「患者はこの変化に気がついていません。また、研究を行う放射線科医の立場からみても、何か変わったのか分かりません。 しかし、より安定した高画質画像を短時間で入手でき、患者の被ばく線量が約半分となれば、皆にとって喜ばしいことです」と答えた。

訳者注:※1 造影剤を使って血液の流れを解析する新しい技術である。特に単純CTでは指摘できない急性期(発症して数時間以内の早い段階)の脳還流異常の描出に活用されている。

******
内田彩香 訳
中村光宏(医学放射線)監修
******


原文


printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward