前立腺癌によっては放射線治療・ホルモン治療より手術のほうが有効である可能性/カリフォルニア大学サンフランシスコ校 | 海外がん医療情報リファレンス

前立腺癌によっては放射線治療・ホルモン治療より手術のほうが有効である可能性/カリフォルニア大学サンフランシスコ校

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前立腺癌によっては放射線治療・ホルモン治療より手術のほうが有効である可能性/カリフォルニア大学サンフランシスコ校


カリフォルニア大学サンフランシスコ校
2010年8月9日

限局性前立腺癌に対する手術は、体外照射療法やホルモン療法よりも生存率を有意に上昇させることが、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の研究者らの新しい研究により示された。[pagebreak]研究者らによると、癌のリスクが高いと治療法による差異がより顕著になり、再発もしくは転移しやすい前立腺癌患者に対する治療戦略では、多くの場合で手術がより大きな役割を担うことが示唆される。

本試験は、アメリカ癌協会(ACS)のCancer誌に掲載された。

研究者らによると、異なる治療法による治療成績の比較について、これまでの報告のほとんどは、より重要な長期生存期間の転帰よりもむしろ治療に対するPSA治療成績のみに着目していた。血中のPSA(前立腺特異抗原)値の測定は、前立腺癌が再発または転移しているかどうかを確定するために行なわれるが、多くの場合PSA値が上昇していることは必ずしも癌が進行することにはつながらない。

米国癌協会によれば、およそ6人に1人が前立腺癌と診断され、これは米国人男性における主要な癌死原因の第2位である。

「前立腺癌が高い率で発生しているもかかわらず、限局性癌に対する現行の治療の基礎となる質の高いエビデンスは比較的少ないのです」本試験の筆頭研究者でUCSF泌尿器科・UCSFヘレン・ディラー・ファミリー総合がんセンターの前立腺癌専門医であるMatthew R. Cooperberg医師はこう述べている。

「これら治療法はすべて重大な副作用を伴う可能性があるため、どの治療選択肢が最も効果的であるかを理解することが重要となります。現在の診療においては、手術を行う可能性はリスクが上昇するにつれ徐々に下がります。これは取るべき治療パターンの正反対を行っている可能性があるのです」と、同医師は述べている。

癌特異的死亡のリスクは、前立腺全摘除術(前立腺を手術で取り除くこと)を受けた患者と比較して、ホルモン治療を受けた患者が3倍、体外照射療法を受けた患者が2倍以上であることが研究者らにより明らかとなった。

リスクの低い男性にとっては前立腺癌で死亡することは非常に稀であり、治療選択による差異は小さい。分析によれば、中程度・高度のリスクがある男性では生存率の差異は明らかに大きくなり、最もリスクの高い男性では手術の相対的有益性は最も大きい。

米国泌尿器科学会の限局性前立腺癌に対する治療ガイドラインでは、PSA監視療法、前立腺全摘除術、体外照射療法、小線源治療(放射性シードを介して照射する治療法)が挙げられているが、それぞれの相対的な有効性については結論に達していない。

限局性前立腺癌に対して、男性ホルモンの産生を抑制するアンドロゲン除去療法は、米国泌尿器科学会の治療ガイドラインでは承認されていない。転帰に関する証拠が不十分であるためだが、それにもかかわらず実際には頻用されていると研究者らは述べている。

「これは、高リスク前立腺癌患者に対し前立腺全摘術を考慮すべきであるという、医師らへの明確なメッセージです。多くの場合、病理結果やPSAの初期治療効果に基づき、補助放射線療法や全身治療などと共に、手術は集学的治療アプローチの一部であると考えられます」UCSF泌尿器科教授でUCSF Helen Diller Family総合癌センターの前立腺プログラムのリーダーであるPeter R. Carroll医師はこう述べている。Carroll医師は本論文の主席筆者である。

限局性前立腺癌に対する積極的治療を比較した適切なランダム化試験がないため、筆者らは前立腺全摘除術、体外照射療法、一次治療としてのアンドロゲン除去療法のいずれかを受けた男性で、リスクによって補正した癌特異的死亡率を分析した。

研究者チームは米国の前立腺がん登録データであるCancer of the Prostate Strategic Urologic Research Endeavor (CaPSURE、米国全土に渡る40の泌尿器診療施設から成る国家的な疾病登録)に登録された限局性前立腺癌患者7,538人のデータを分析した。その上で研究チームは、リスクと年齢で調整したのち治療法による成績を比較した。総計で、266人が追跡期間中に前立腺癌で死亡した。

他の共同著者らは以下のとおりである。
Andrew J. Vickers, of the Memorial Sloan-Kettering Cancer Center; Jeanette M. Broering, of the UCSF Department of Urology and the UCSF Helen Diller Family Comprehensive Cancer Center; and the Cancer of the Prostate Strategic Urologic Research Endeavor (CaPSURE) Investigators.

CaPSUREはAbbott Laboratoriesにより一部援助を受けている。また、UCSF泌尿器科より内部資金を得ている。本研究はまた米国国立衛生研究所からも援助を受けている。

UCSFは先進的生物医学研究、生命科学と医療専門職の大学院教育、優れた患者医療を通じて世界の健康を推進する優れた大学である。

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山下裕子 訳
榎本裕 (泌尿器科/東京大学医学部付属病院)監修
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原文


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