緑茶成分は慢性リンパ性白血病患者の大半に対して癌抑制効果を示す/メイヨークリニック | 海外がん医療情報リファレンス

緑茶成分は慢性リンパ性白血病患者の大半に対して癌抑制効果を示す/メイヨークリニック

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緑茶成分は慢性リンパ性白血病患者の大半に対して癌抑制効果を示す/メイヨークリニック

メイヨークリニックは癌患者に対する緑茶成分の効果について初めての臨床試験を実施
2010年6月4日
メイヨークリニック

メイヨークリニックの研究者らは、第2相試験で、緑茶抽出物が慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対して低毒性で臨床活性を示したと報告している。[pagebreak]6月7日月曜日に米国臨床腫瘍学会(ASCO)学術集会で発表予定のこの研究結果は、緑茶の主成分である没食子酸エピガロカテキン(EGCG)を用いることによって、CLL患者の白血病細胞数を減少させる効果が得られることを示す一連の研究の最新のものである。メイヨークリニックでは、約8年前に初めてEGCGをさまざまな研究室試験で検討し、EGCGがCLLの白血病細胞の生存を抑制することを発見した。この結果をふまえて、初めてCLL患者に緑茶エキスを投与した第1相試験を実施し成功させた。

「EGCGがCLLの進行を遅らせることができるかどうかを判断するのは比較第3相試験の結果次第ではあるが、ECGCの投与を受けたCLL患者の大半に利益をもたらしたということは、EGCGにはいくらかの抑制活性作用があり、このタイプの白血病の症状を安定化させ、さらには進行の抑制に有益である可能性を示唆している」とメイヨークリニックの血液学者で本研究の主著者Tait Shanafelt医師は述べる。

「このような研究は、EGCGのような栄養補助食品が癌予防薬として研究しうるし、研究すべきであるという考え方を推し進めるものである。癌の増殖を抑制して毒性の強い治療法の必要性を遅らせるため、毒性のない化学薬品を用いるということは、腫瘍学研究の意義ある目標である――特にCLLのように初期に経過観察で管理されるような癌には意義がある」とCLL患者由来の白血病血液細胞に対する緑茶エキスの効果について初めて試験を実施した研究室の血液学研究員Neil Kay医師は述べる。

Shanafelt医師とKay医師は、EGCGが化学療法の代替となるものではないと警告している。メイヨークリニックのEGCGの試験に参加した患者はいずれも本来なら疾患が進行するまで治療を受けない初期で無症状のCLL患者である。緑茶エキスは米国国立癌研究所(NCI)とPolyphenon E Internationalからこのような初期試験のため提供された。

CLLは白血病とリンパ腫が混合した血液の癌である。疾患進行度は血液中および骨髄中の白血病細胞数と白血病細胞浸潤によるリンパ節腫大度によって判定される。Journal of Clinical Oncology誌2009年5月号で発表された第1相臨床試験では、血中のリンパ球(白血病細胞)数の減少を対象患者の3分の1に認め、CLLが原因のリンパ節腫大患者の大半ではリンパ節腫大が50%以上縮小したと研究者らは報告している。

研究者らは、第1相試験の最大用量を用いて36人の患者を追加して第2相試験を実施した。ASCOで発表予定の研究結果では、この患者36人と第1相試験で最高用量を投与した患者6人(合計42人)に対する効果を評価している。試験を完了した対象患者41人の結果、患者の31%では血中の白血病細胞数が20%以上継続的に減少し、リンパ節腫大患者の69%ではリンパ節の大きさが50%以上縮小した。

血中のリンパ球数が20%以上継続的に減少したことやリンパ腫の大きさが50%以上縮小したことから明らかなように、全体として、CLL患者の69%がEGCGに対して生物学的反応を示したと研究者らは報告している。

本来なら治療を必要としない患者を対象にEGCGの臨床試験が実施されたため、研究者らは副作用について厳しい姿勢で臨んだ。ほとんどの治療薬の臨床試験ではグレード3以上の副作用のみを報告することになっているが、この研究者らはグレード1と2の副作用についても注視し報告している。多くの患者は一過性のグレード1または2の副作用を示したが、6カ月の治療期間でグレード3の副作用を示した患者は42人のうちわずか3人であった。

「全体的には、この治療は忍容性がよく、大半の患者に非常に軽い副作用であった」とShanafelt医師は述べる。

CLL白血病細胞に対するEGCGの効果について、これまでに研究結果や第1相試験のデータが公開され、患者擁護団体によってインターネットを通じて情報が広められたと研究者らは述べる。メイヨークリニックの研究者らは、全米の患者や研究者仲間からの情報によって、EGCGサプリメントは薬局の店頭で容易に入手でき、すでに多くのCLL患者がEGCGを利用し始めたということを認識している。

「第3相試験も実施していない段階でCLL患者のEGCG使用は推奨できないが、患者がサプリメントの摂取を望むなら癌専門医に相談するなり、臨床試験に基づいた適切なモニタリングを受ける必要がある」とKay医師は述べている。

本研究はNCI、メイヨー総合がんセンター、寄贈者および患者擁護団体からの助成金を受けた。著者らは利害の対立はないことを宣言する。

ASCO抄録番号: 6522

動画情報:Tait Shanafelt医師とのインタビューの抜粋など音声・動画資料がメイヨークリニックのニュースブログで参照できる。

メイヨークリニックについて
メイヨークリニックは世界初かつ最大規模の非営利医療組織である。各分野の医療専門家が、共通組織と「患者のニーズが第一」という理念をひとつにして患者の治療にあたっている。3,700人以上の医者、科学者、研究者と50,100人の提携スタッフがミネソタ州ロチェスター、フロリダ州ジャクソンビル、アリゾナ州スコッツデール、同フェニックス、西ウィスコンシン、北東アイオワで勤務している。これらの施設では毎年50 万人以上の患者を治療している。
メイヨークリニックの最新ニュースリリースについてはwww.mayoclinic.org/news を、研究・教育に関する情報については www.mayo.edu を、一般医療情報についてはwww.mayoclinic.com を参照ください。

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多和郁恵 訳
林 正樹(血液・腫瘍科)監修
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原文


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