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新たな分子標的薬が進行前立腺癌に有効/スローンケタリング記念がんセンター

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新たな分子標的薬が進行前立腺癌に有効/スローンケタリング記念がんセンター


スローンケタリング記念がんセンター
2010年4月14日

試験段階の薬剤が高悪性度の進行前立腺癌の治療に有望な結果を示した。新規の多施設臨床試験の結果から分子標的薬MDV3100は、予後不良で治療選択肢が限られる去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)の治療に安全かつ有効であると結論付けられた。本研究はスローンケタリング記念がんセンターの研究者らの主導により実施され、Lancet誌オンライン版に続き次号に掲載される。[pagebreak]第1/2相臨床試験の結果によると、MDV3100は患者の腫瘍を縮小させるだけでなく腫瘍マーカーである血清中の前立腺特異抗原(PSA)濃度を低下させ、軟部組織および骨に転移した病変を安定化し、血中の循環腫瘍細胞数を減少させた。

「われわれは、ホルモン治療に抵抗性を示すようになったり、化学療法の実施後も癌が進行して他の部位に転移した患者における本薬剤の抗腫瘍活性を観察し、その結果に満足しています。この結果は、現在有効な治療法が限られた患者にとって、この薬剤が視野を変える可能性があることを確かにしました」と筆頭著者でありスローンケタリング記念がんセンターの泌尿生殖器腫瘍部門の主席研究者であるHoward Scher医師は述べた。

本研究によると、MDV3100は腫瘍の成長を遅らせCRPCあるいはホルモン不応性の患者の腫瘍の細胞死を引き起こす。これらの疾患は男性ホルモンに依存して成長するが、男性ホルモンの働きをブロックまたは低下させる標準治療に対し反応しなくなりまたは耐性が生じている。MDV3100はテストステロンのアンドロゲン(男性ホルモン)受容体への結合を阻害、アンドロゲン受容体が前立腺癌細胞の核へ移行するのを阻害し、受容体がDNAへ結合することを阻害してアンドロゲン受容体の発現量が上昇している時でも癌細胞死を誘導することで効果を発現する。

「本研究によりわれわれの今までの前臨床試験結果が正しかったことが確認できました。つまり持続的なアンドロゲン受容体シグナルがCRPCを活性化し、複数のホルモン療法と化学療法にかかわらず成長するCRPC腫瘍の多くはなおアンドロゲン受容体シグナルに依存して成長しているのです」と共同著者でスローンケタリング記念がんセンターの腫瘍学・病因論担当教授でありハワード・ヒューズ医学研究所研究員であるCharles Sawyers医師は述べた。

この薬剤はSawyers医師と、カリフォルニア大ロサンゼルス校の化学教授Michael Jung博士の共同開発によるものである。彼らの研究はもともとCRPC細胞はアンドロゲン受容体の発現が上昇しており、この受容体が増加しているためにホルモン治療に対する抵抗性が高まり病変が進行するということを証明するものだった。彼らの共同研究は、MDV3100を含む多数の非ステロイド性小分子抗アンドロゲン剤の発見につながった。

今回の試験では140人の患者がMDV3100投与量30mg~600mg/日で治療を行った。PET画像、骨スキャン、血液検査により本薬剤の抗腫瘍効果を評価し、全ての投与量で抗腫瘍効果が見られた。半数以上の患者で少なくとも50%以上のPSA値の低下が見られ、22%の患者に腫瘍縮小がみられた。総じて3分の2の患者に軟部組織または骨に転移した腫瘍病変の部分寛解または病勢安定がみられた。

また本研究結果から49%の患者で循環腫瘍細胞数が減少し、初期投与時良好な細胞数であった患者の91%は投与期間中良好な数値を維持した。過去の研究によると治療後の循環細胞数の変化はPSAの変化よりも生存率をよく予測することが示されており、本研究のこの結果は重要である。治療後細胞数が良好な場合の生存期間中央値は21カ月である。

本薬剤はおおむね忍容性が高く、嘔気、便秘、下痢、食欲不振などが最もよくみられる軽度の副作用として報告されている。高用量投与時に最もよく見られるグレード3の副作用は倦怠感であった。研究者らは、維持量の最大耐容量は240mg/日とした。

今回の良好な試験結果に基づき、化学療法施行後の進行性前立腺癌患者を対象としてMDV3100のプラセボ対照国際第3相ランダム化臨床試験(AFFIRM)が始まっている。試験参加基準および登録に関する情報はwww.affirmtrial.com で入手可能である。

本研究は以下の施設から支援を受けた。
Medivation; the Prostate Cancer Foundation, the National Cancer Institute, the Howard Hughes Medical Institute, and the Department of Defense Prostate Cancer Research Program Clinical Consortium( Memorial Sloan-Kettering, the Oregon Health and Science University Knight Cancer Institute, The University of Washington, the Dana-Farber Cancer Institute, and M. D. Anderson Cancer Center).

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武内優子 訳
榎本 裕(泌尿器科医)監修
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原文


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