エネルギー供給を阻害し、癌細胞を死滅させる新薬/オハイオ州立大学 | 海外がん医療情報リファレンス

エネルギー供給を阻害し、癌細胞を死滅させる新薬/オハイオ州立大学

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エネルギー供給を阻害し、癌細胞を死滅させる新薬/オハイオ州立大学


オハイオ州立大学
2010年4月7日

癌細胞は成長が非常に早いため、血液供給を上回ることがあり、、酸素不足に陥ってしまう。そこで癌細胞は、酸素が少なくてすみ、糖類をより多く必要とする方法でエネルギーを産生する。[pagebreak]オハイオ州立大学総合がんセンター、Arthur G. James Cancer Hospital and Richard J. Solove Research Instituteの研究者らは、糖類の供給を絶ち、細胞を自滅させる治験薬を開発した。

OSU-CG12と呼ばれる薬剤は、エネルギー制限模倣薬と呼ばれる新しい種類の抗癌剤の一例である。最近Journal of Biological Chemistry誌に掲載された論文に述べられている。

「エネルギー制限は、癌の治療のための強力で新しい方法となる可能性がある。なぜかと言うと、多くの癌種が用いている生きぬくためのメカニズムを標的としているからである」と医化学、内科学および泌尿器科学の教授である、治験責任医師のChing-Shih Chen氏は述べる。

「我々の研究では、この新薬がエネルギーを制限することによって癌細胞を死滅させることを証明している。このことは、エネルギー制限を標的とした薬剤を開発することが可能であるということを示したという意味で重要である。また、エネルギー制限模倣薬がメタボリックシンドローム、糖尿病、心血管疾患および肥満などの他の疾患にも有効な可能性があるので、胸が躍っている」とChen氏は加えた。

エネルギー制限模倣薬は、癌細胞において変化を引き起こす。その変化は、主なエネルギー源であるブドウ糖が奪われた癌細胞で生じる変化と類似している。

新薬を開発するために、Chen氏と彼の共同研究者らは、ciglitazone(シグリタゾン)という薬剤から始めた。その薬剤は2型糖尿病治療薬として開発され、実験では抗癌剤としての作用も示している。

先発薬はPPAR-γと呼ばれるタンパク質およびたくさんの遺伝子を活性化することで抗糖尿病作用を引き起こした。その同じメカニズムが、薬剤の抗癌作用に関与すると考えられた。しかし、抗癌作用は異なるメカニズムによるもので、それはエネルギーの制限を含むものであるということをChen氏と彼の共同研究者は示した。

彼らは、活性を強化するために、ciglitazone(シグリタゾン)分子の構造を変化させて、OSU-CG12を作成した。彼らは、前立腺癌細胞株および乳癌細胞株を用いて、この新しいオハイオ州の物質が、ciglitazone(シグリタゾン)や第2の薬剤であるresveratol(レスベラトロール)よりも、癌細胞を死滅させるという点で10倍優れていることを示した。resveratol(レスベラトロール)は、葡萄や赤ワインで発見された天然物であり、弱い抗癌作用を持ち、エネルギー制限を通して作用する。

さらに、彼らは、この新薬はブドウ糖が癌細胞に吸収されるのを阻止し、かつ糖類を代謝する癌細胞の能力を抑制することも示した。

燃料が欠乏すると、癌細胞は自分自身を消費し始める、すなわち自食作用-自らを摂取すること-と呼ばれる過程は、他の生化学的事象を伴う。その事象は、アポトーシスとよばれる自然な過程により細胞死へと導く。

Chen氏と彼の共同研究者は、効果を高めるため、OSU-CG12の改良を続けている。彼らは、また、心血管疾患およびアルツハイマー病のような別の疾患で、この薬剤を試験することを望んでいる。

米国国立癌研究所および米国国防総省前立腺癌研究プログラムからの資金提供により、本研究は支持されている。

Chen氏はCancer Research & TherapyのLucius A. Wing Chairであり、2010年オハイオ州立大学功労研究者賞の授与者である。

本試験に参加した他のオハイオ州の研究員は、Shuo Wei氏とSamuel K. Kulp氏であった。

オハイオ州立大学総合がんセンター(OSUCCC)- Arthur G. James Cancer Hospital and Richard J. Solove Research Institute(http://cancer.osu.edu)は、米国国立癌研究所から指定を受けた米国内で40しかない総合がんセンターのうちの一つである。Jamesは、U.S. News & World Report誌によって米国内のトップ20以内にランク付けされており、オハイオ州立大学の癌プログラムの中で180床を有する成人患者治療部門である。OSUCCC-Jamesは、第1相臨床試験、第2相臨床試験を実施するために、NCIにより承認され、資金提供を受けた国内でたった7つのプログラムのうちの一つである。

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舛田理恵 訳
千種葉月(薬学)監修
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原文


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