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2009/01/13号◆特集記事「FUベースの化学療法で大腸がん患者の一部は治癒する」

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2009/01/13号◆特集記事「FUベースの化学療法で大腸がん患者の一部は治癒する」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2009年1月13日号(Volume 6 / Number 1)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~

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特集記事

FUベースの化学療法で大腸癌患者の一部は治癒する

過去数十年、フルオロウラシル(FU)を中心とする化学療法レジメンは、ステージ2および3の大腸癌患者に対する治療法の一つである。数多くの臨床試験でこのレジメンによる全生存率の改善が示されているが、時間の流れと再発のリスクにどう影響するかは明らかになっていなかった。

1月5日付けJournal of Clinical Oncology誌電子版に掲載された研究で、ACCENT(Adjuvant Colon Cancer Endpoints)の研究者らは大腸癌患者に対するFUベース補助化学療法の第3相臨床試験18件の患者個人のデータを利用し、同レジメンによる生存率上昇は、主として手術後2年以内の高い再発リスクを低下させたことによると示した。


FUベースの補助化学療法の実施5年後には再発リスクは1.5%に下落、8年後にはさらに0.5%にまで低下した。再発を遅らせるのではなく、「FUベースの化学療法は一部患者では本当に病気を根絶し、長期的な治癒をもたらしています」と、メイヨークリニック生物統計学・腫瘍学教授で筆頭著者のDr. Daniel Sargent氏は説明した。

経時的な真の再発リスクを評価

ACCENTの研究者らは、18件の臨床試験に参加した患者20,898人の8年間の追跡調査から生存に関するデータを調査した。治療後の生存に関する評価には通常カプランマイヤー法が採用されるが、研究者らはハザード率推定というシステムを採用した。このシステムは多数のデータを要するが、結果の解釈が容易である。ハザード率推定により「治療後のどの時点でも、真の再発リスクを推定し、視覚的に表現することができます」とSargent氏は話す。

8年の追跡期間中、患者20,898人のうち35%に癌が再発し、38%が死亡した(癌以外のあらゆる原因を含む)。化学療法実施の有無にかかわらず両群で「ほとんどの再発は手術後2年以内[に生じた>」と著者は述べている。しかし、化学療法を受けた患者では、術後2年間と、追跡期間全体の8年間のいずれも死亡リスクは低い数値であった。

全体では、FUベースのレジメンによる補助化学療法により8年間の全生存率は7%改善した(ステージ2の患者で5%、ステージ3の患者で10%)。

追加治療に対する意味

FUを含まない化学療法剤と生物学的製剤との新しい併用法に対して、今回の結果を拡大適用することのないよう著者は警告している。また、「長期的な生存率に対する効果を立証するため、長期間にわたる追跡が必要」とも説明している。ACCENTグループは新しい治療レジメンによるデータが入手可能となり次第、分析結果を更新することを計画している。Sargent氏は「これらの分析は、臨床試験医が統合分析やメタ分析に利用できるようデータを提供してくれて初めて可能となるもので、これが次第にかなってきたのは科学技術の進歩および臨床試験データ要素の標準化に負うところが大きい」と指摘した。

本研究の結果はステージ2および3の大腸癌患者に対する追加治療の重要な意味を持つものであるとSargent氏は述べ、「患者の病気が再発するリスクは最初の2年がもっとも高いため、患者および担当医はこの期間は特に用心して経過観察し、癌が再発してもすぐに発見できるようにしておくべきである」と続けた。

「治療実施5年後、また特に8年後には、患者の再発リスクは極めて低くなり、担当医も患者の他の優先すべき事項に注力することができます」とSargent氏は語った。

-Sharon Reynolds

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橋本 仁 訳

鵜川 邦夫(消化器科)監修

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