血中ビタミンD値と小児期発症多発性硬化症の再発リスクの関連性/カリフォルニア大学サンフランシスコ校 | 海外がん医療情報リファレンス

血中ビタミンD値と小児期発症多発性硬化症の再発リスクの関連性/カリフォルニア大学サンフランシスコ校

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血中ビタミンD値と小児期発症多発性硬化症の再発リスクの関連性/カリフォルニア大学サンフランシスコ校


カリフォルニア大学サンフランシスコ校
2010年1月20日

小児期に多発性硬化症(MS)を発症した患者では、有意に高い再発リスクに血中ビタミンDの低値が関連することが、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の研究者らによる研究でわかった。[pagebreak]「不十分なビタミンD摂取はMS発症の危険因子になると最近わかってきていますが、既にMSを発症した患者の臨床経過に対して、血中ビタミンD値が与える影響を評価したのは今回の試験が初めてです」とUCSF多発性硬化症センター神経内科の臨床指導者で、筆頭著者であるEllen Mowry医師は述べた。

試験の内容はAnnals of Neurology誌オンライン版に掲載され、血中ビタミンD値が10ng/mL増加すると、その後の再発率が34%低下した結果を示している。

言い換えると、MS歴のある患者の血中ビタミンD値が15ng/mL高まると、理論上は再発率を半分に下げることができる可能性があり、これに必要な1日のビタミンD補給量は2,000IU(国際単位)であるとMowry医師は説明した。

「ビタミンDの補給がMS患者にとって利益となるかはまだ不明ですが、ビタミンD値とMSの再発率との間に明らかな関連性があるという事実は、補給療法の潜在的効果を測る臨床試験を実施することへの強力な理論的根拠を提示しています」と同医師は述べた。

「これは、この疾患の臨床経過に対してビタミンD補給が大きな影響を与える可能性が高いことが示されたという点で、興奮を覚える知見です」とUCSF付属小児病院の地域小児MS研究センター(Regional Pediatric MS Center)の局長で主著者のEmmanuelle Waubant医師(UCSF神経内科准教授)は述べた。Waubant医師は、成人でMSを発症した患者にも同様の知見を期待していると述べた。

多発性硬化症は脳や脊髄、視神経といった中枢神経系を侵し、身体に障害を残す場合も多い慢性疾患である。MSは自己免疫疾患の一種で、ミエリンと呼ばれる神経線維を覆って保護する物質が身体の自己防衛システムにより崩壊する。

一般的にMSは成人に発症するが、少数の症例では小児期や青年期にMSと診断される。National MS Society(全米多発性硬化症協会)によれば、MS患者の2~5%は18歳以前に初発症状を経験している。

研究者らは、18歳以前にMSの症状が始まった患者110人からの血液サンプルでビタミンD値を測定した。患者は、全米多発性硬化症協会が支援する6つの総合医療相談センターの中の、UCSF付属小児病院あるいはニューヨーク州立大学ストーニーブルック校のRegional Pediatric MS Center of Excellence(地域小児MS研究拠点)の2施設で診察を受けていた。

最初の血液サンプルを提供した後、患者は平均で1.7年の追跡調査を受け、研究者らはその期間に各患者に起きた再発の回数を記録した。Mowry医師によれば、MSの再発や再燃は新たな神経症状を引き起こしたり、視覚障害、平衡感覚の障害、痺れといった以前からの症状を増悪させる。再発は非常に軽度である一方、身体機能を妨げるほど重度になることもある。

追跡調査期間中に、研究者らは年齢、性別、人種、民族、MS治療薬の使用の有無、また経過観察ケアの期間などといった要素を調整した後、患者の再発率とビタミンD値を評価した。

「ビタミンDの補給が有効な治療法になることが確認できれば、全てのMS患者の生活の質(QOL)の改善に役立つと期待しています」とMowry医師は言う。

MS患者におけるビタミンD補給療法のランダム化臨床試験に加えて、炎症過程に作用しMSの症状を和らげるビタミンDのメカニズムを決定するためにさらなる研究が必要であるとMowry医師は述べた。

他の共著者は以下の通りである。
Dr. Dorothee Chabas; Dr. Jonathan Strober; Jamie McDonald; Jorge Oksenberg, and Peter Bacchetti. Co-authors from other institutions are Dr. Lauren Krupp; Maria Milazzo, and Dr. Anita Belman, all of the Pediatric MS Center, State University of New York at Stony Brook.

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岡田章代 訳
北村 裕太(農学/医学生)監修
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原文


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