アスピリンの日常的使用により大腸癌の死亡リスクが低下/ダナファーバー癌研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

アスピリンの日常的使用により大腸癌の死亡リスクが低下/ダナファーバー癌研究所

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アスピリンの日常的使用により大腸癌の死亡リスクが低下/ダナファーバー癌研究所

死亡リスク低下がみられるのはCOX-2(シクロオキシゲナーゼ-2)発現陽性腫瘍で、患者ケアに使用するにはなおも追加研究が必要
ダナファーバー癌研究所
2009年8月11日

大腸癌と診断された後にアスピリンを日常的に使用する患者では、癌による死亡リスクが減る可能性があると、ダナファーバー癌研究所(DFCI)とマサチューセッツ総合病院(MGH)、およびブリガム・アンド・ウィメンズ病院の研究者らが報告している。[pagebreak]試験の著者らは、主に大腸癌の3分の2に特徴的なCOX-2酵素発現のある腫瘍を有する患者において、アスピリンと関連した生存率の改善がみられたと報告している。この結果はJAMA8月12日号に掲載された。

「われわれや他のグループによる以前の研究で、アスピリンなどの非ステロイド系抗炎症薬により大腸癌の発症リスクが減ることが示されていましたが、今回の研究で、大腸癌と診断を受けた後の患者における生存率がアスピリンで改善する可能性が初めて示されました。また、生存率の改善はCOX-2を過剰発現する癌患者において特に顕著でした」と試験の主著者で、MGHの消化器科(Gastrointestinal Unit)のAndrew Chan医師/公衆衛生学修士は述べている。

「これは患者の転帰を改善する標的アプローチの開発に向けた重要な最初の一歩です」

以前の多くの研究で、アスピリンなどの非ステロイド系抗炎症薬の常用によって大腸癌の発症リスクが減ると示されてきた。2007年、今回と同じMGHとDFCIの共同研究チームは、発症リスク減少がCOX-2を過剰発現する腫瘍だけに認められることを発見した。COX-2とは酵素の一種で、腫瘍の増殖を促進すると考えられており、アスピリンや関連薬により阻害されることが知られている。

大腸癌患者の生存率改善もアスピリンがCOX-2を抑制することによるという仮説を検証するため、研究者らは進行中の二つの前向き調査研究、Nurses Health Study(NHS)およびHealth Professionals Follow-Up Study(HPFS)から得たデータをまとめた。

この二つの研究は2年ごとに試験参加者の包括的な健康情報を集めており、今回はこのデータから薬剤使用などの要因と数種類の疾患の発生率との間の関連性を分析した。

今回の研究では、二つの調査研究参加中に大腸癌のステージ1、2、または3と診断され、診断前後のアスピリンの使用データが入手可能である試験参加者1279人に焦点を当てた。459人から得られた腫瘍サンプルがCOX-2発現について分析された。

研究の結果、診断後定期的にアスピリンを服用していた患者群では、アスピリンを使用していなかった患者群に比べ、診断後平均11年間に大腸癌で死亡するリスクが30%近く低かった。この死亡リスク低下は、診断後にアスピリンの使用を始めた患者群において顕著であった。

対照的なことに、診断前にアスピリンを使用していた患者群においては、診断後からアスピリンを継続使用している患者群ほどの死亡リスク低下はみられなかった。予想されたとおり、生存率の改善はCOX-2陽性腫瘍の患者に限定されていた。

「われわれはこの結果が大腸癌患者の治療の改善につながると信じています」と本論文の統括著者であるダナファーバーのCharles Fuchs医師/公衆衛生学修士は述べる。

「現在、この観察研究に続けて、標準化学療法にCOX-2阻害剤セレコキシブ(商品名セレブレックス[Celebrex]※日本の商品名セレコックス)を加えて評価するランダム化試験を実施しています。アスピリンでみられる胃腸への有害事象が、セレコキシブでは少ないと思われます」

Fuchs医師はハーバード大学医学部(HMS)の准教授で、Chan医師は同部の助教である。試験の共著者であるShuji Ogino医学博士はダナファーバーとブリガム・アンド・ウィメンズ病院所属で、HMSの病理学部の准教授である。本研究は、米国国立癌研究所(NCI)およびDamon Runyon癌研究基金からの資金援助を受けている。

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岡田章代訳
橋本仁 監修
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原文


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