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検診により検出される乳癌の3例に1例が過剰診断・治療/Medscape

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検診により検出される乳癌の3例に1例が過剰診断・治療/Medscape

Medscape
2009年7月14日

公的に組織された検診プログラムで検出された乳癌の3例に1例が過剰診断である。したがって、必然的に過剰治療が同率で発生することが、カナダ、オーストラリア、ノルウェー、スウェーデン、英国での検診プログラムのメタ分析の結果として、BMJ誌の7月9日号電子版で発表された。[pagebreak]この新たな解析の研究は、マンモグラフィーの利点とその過剰診断・過剰治療の弊害をめぐる論議の火種をさらに追加するものである。

「問題は、過剰診断があるかどうかではなく、過剰診断がどれくらいの頻度で発生するかということです」とGilbert Welch医師は今回発表された解析の付随論説で記している。

癌の過剰診断とは、進行が遅く症状が出る前に患者が他の原因で死亡するような癌や、休眠状態もしくは退縮する癌のことである、とニュー・ハンプシャー州ハノヴァーのダートマス医科大学内科学教授であるWelch医師は説明した。

過剰診断は前立腺癌検診において、「広く認識された問題」であるとWelch医師は述べた。

乳癌に関しては、今回の新たな研究と一致した過剰診断についてのエビデンスが増えているとWelch医師は付け加えた。

すなわち現在、マンモグラフィー検診が検診対象年齢の女性における乳癌の発症率の増加と関連していることを示唆する5つの観測的調査がある。しかし、「その後、高齢の女性において発症率の低下はほとんどまたは全くみられない」とWelch医師は指摘する。

しかし、過剰診断の割合は本当に検診で検出される癌の3例に1例もあるのだろうか?

過剰診断についての「これまでで最も有力なエビデンス」は、経過観察と比較したマンモグラフィーについての以前のランダム化比較試験(BMJ. 2006;332:689-692)であるとWelch医師は述べる。この研究では、検診からの過剰診断は6例に1例の割合で発生したと彼は指摘する。

過剰診断率がいくらであれ、おそらく過剰治療は同率で発生することを、この研究の著者らと論説はともに認めている。

「致命的な癌と無害の癌を見分けることは不可能なため、検出された癌はすべて治療されることになる」とこの研究の著者らであるコペンハーゲン(デンマーク)のノルディック・コクランセンターのKarsten Juhl Jørgensen医師とPeter C Gøtzsche医師は記す。

[b]『判定困難』[/b]

マンモグラフィーの利点と弊害のバランスはマンモグラフィーを医療における『判定困難』の1つであるとWelch医師は付け加える。マンモグラフィーはこの一年で多くの世間の注目を集めた『判定困難』である。

英国では、乳癌検診についての公衆衛生小冊子にマンモグラフィーの弊害についての情報が欠如していたことに対する世間の抗議があった。この抗議により小冊子は書き直しとなったことがMedscape Oncologyに報告された。

さらに、ニューヨークタイムズ紙や他のメディアは、検診で検出された浸潤性乳癌の約20%が自然に退縮すると結論づけたノルウェーでの2008年の研究からのニュースを第一面にした。ノルウェーの研究者らの一人はMedscape Oncologyにそのような病変は「疑似癌」であると語った。

検診を受けるかどうかを決めるにあたって、女性たちはおそらく、「乳癌による死亡が避けられた数と過剰診断された癌の数の兼ね合い」に最も興味があるだろうと Welch医師は提唱した。

医者と患者にマンモグラフィーの利点と弊害の「バランスシート」を提供するために、Welch医師は自身の論説に表形式表示を添えている。このメリットとデメリットは、50歳で検診を始め、10年間年一回のマンモグラフィーを受ける女性1000人に対してのものである。

メリット デメリット
1人が乳癌による死亡を回避 2~10人は過剰診断およびそれによる不必要な治療を受ける10~15人は、検診を受けない場合より早い時期に乳癌の診断を受けるが、予後には影響しない

100~500人は1回以上の「偽陽性」の判定を受ける(おおよそ半数の女性が生検を受ける)

[b]新しい研究の詳細[/b]

組織的検診プログラムにおける過剰診断の程度を調査するため、デンマークの研究者らは、乳癌発症率の傾向を検診開始前後での比較を、英国、マニトバ州(カナダ)、ニューサウスウェールズ州(オーストラリア)、スウェーデンおよびノルウェーの一部において開始した。

このアプローチの理由は、もし検診が有効で過剰診断がないのなら、「検診を受けた年代のグループにおける最初の癌の増加は、後年、検診年齢を超えた高齢グループにおいて同程度の減少がみられれば、完全に相殺される」という概念に基づいていると著者らは述べている。なぜそうなるか?高齢グループにおける癌は、検診の結果として早期に検出されているはずだからであると著者らは説明する。

また著者らはこのようなアプローチは、背景にある乳癌の発症率や、その他の要因の変化を考慮にいれなければならないと指摘する。

ある一連のデータは解析がどのように行われたかの例を提供する。スウェーデンでは全国規模の検診が1986年に始まり、1998年には「ほとんど全ての適格な女性に検診が提供された」と著者らは記している。2000年、検診が行われた後の浸潤性癌の増加は50~59歳の女性において予測された率54%、60~69歳では21%上回っていた。70~84歳の女性では乳癌発症率の低下が見られたが、この発症率は「予測された率に近づいた」ものであったと著者らは記す。要するに、若い女性における88%の増加は高齢女性においてのいかなる低下によっても相殺されなかったと著者らは指摘する。

要約すると、様々な国での集団検診プログラムから、非浸潤性乳管癌を含む乳癌の過剰診断の総計は52%であった。浸潤性乳癌の過剰診断は35%であったと著者らは報告する。

著者らは関連する金銭的関係はないと公表した。

BMJ. 2009;339:b1425 and b2587. Abstract, Abstract

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張 知子 訳
林 正樹(血液・腫瘍内科)監修
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[url=http://www.medscape.com/viewarticle/705886?src=rss ]原文[/url]


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