2010/05/04号◆癌研究ハイライト | 海外がん医療情報リファレンス

2010/05/04号◆癌研究ハイライト

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2010/05/04号◆癌研究ハイライト

同号原文
NCI Cancer Bulletin2010年5月4日号(Volume 7 / Number 9)


日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中〜

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癌研究ハイライト

・乳房組織が非浸潤性乳管癌(DCIS)再発に関連するバイオマーカー
・限局性癌患者で検出された末梢循環腫瘍細胞(CTC)
・公的保険加入患者における画像診断の費用とその使用が増加
乳房組織が非浸潤性乳管癌(DCIS)再発に関連するバイオマーカー

Journal of the National Cancer Institute誌4月28日付電子版の報告によると、非浸潤性乳管癌(DCIS)女性の乳房組織に認められるバイオマーカーによりその後のDCIS再発および浸潤性乳癌のリスクを予測できるかもしれない。「興味深いことに、引き続く[浸潤性乳癌]を予測するバイオマーカーの組み合わせはDCISを予測する組み合わせとは異なっていた」と、ワシントン大学医学部(セントルイス)のDr. D. Craig Allred氏は付随論説に記した。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校およびサンフランシスコ退役軍人医療センターの研究者らは、SEERデータを用いて、1983〜1994年に湾岸地域の63病院でDCISに対して最初に乳腺腫瘍摘出術単独の治療を受けた女性1,162人を特定した。平均7.5年後に、838人では再発していなかったが、170人は浸潤性乳癌を発症し、154人ではDCISが再発していた。最初の乳腺腫瘍摘出術で保存された組織試料を使用して、それまでに乳癌との関連がみられた多くの組織病理学的特性および分子マーカーの検査を実施した。

研究者らは、28%の女性で重要な3つのマーカー、p16、Ki67、COX-2が発現していることを見出した。これらの女性では8年間の浸潤性乳癌リスクが19.6%であったのに対し、これらのマーカーが陰性であった女性のリスクは4.1%であった。

高いDCIS再発リスクに関連する因子は、切除縁陽性または不明、および異なる2組のマーカーであった。異なる組み合わせのマーカーとは、1)p16陽性+Ki67陽性+COX-2陰性、または 2)エストロゲン受容体陰性+Ki67陽性+ヒト上皮増殖因子受容体2陽性である。これらのマーカーの組み合わせに加えて、触診でDCIS病変が発見された女性の15〜20%では、マンモグラフィーで病変が検出された女性に比べて浸潤性乳癌のリスクが高く、これは他の試験と一致した。

「検出方法およびバイオマーカーp16、COX-2、Ki67は浸潤性癌続発リスクの分類に使用でき、また補助療法を実施すべきか否かの決定に利用できる可能性がある」と筆頭著者であるDr. Karla Kerlikowske氏らは説明した。

しかし、試験に含まれた女性が受けた治療法は乳腺腫瘍摘出術のみで、最新医療では一般的でないことなど、本試験には多くの限界があることを著者らおよびAllred氏は指摘した。

限局性癌患者で検出された末梢循環腫瘍細胞(CTC)

マサチューセッツ総合病院の研究者らは、進行癌患者と同様に、限局性前立腺癌患者からも血中を循環する腫瘍細胞を分離した。これにより末梢循環腫瘍細胞(CTC)における遺伝子変化の特徴を明らかにでき、これはCTCを治療法選択の指針にして患者のケアの改善に利用するための重要なステップであると研究者らは強調した。この知見はScience Translational Medicine誌3月31日号に発表された。

限局性疾患男性でのCTCの発見は予想されていなかったが、これは単に初期癌の患者で細胞を捕らえられる感度の技術が今日に至るまで発展していなかったためであろうと、著者の一人MGHおよびハーバード大学医学部のDr. Sunitha Nagrath氏は指摘した。

彼女は研究の知見をワシントンDCで最近開催された米国癌学会の年次総会で発表した。同じ会議でオハイオ州立大学の研究者らは、乳癌患者でCTCを検出する新しい方法に関するポスター発表を行い、彼らも限局性疾患の女性で細胞を発見した。

「既存の技術に基づきCTCの性質に関するわれわれの考えを展開させているが、技術進歩によりそれらの前提が変化する可能性がある」とNagrath氏は述べ、「われわれが今までに発見したものは氷山の一角にすぎない。これらの細胞は、診断や早期発見のためだけでなく、非侵襲的に患者をモニターして長期間にわたり治療効果を確認できる大きな可能性を秘め、個別化医療の新時代における標的治療を可能にするとわれわれは信じている」と続けた。

マサチューセッツ総合病院の技術であるCTCチップと呼ばれるマイクロ流体デバイスは未だ臨床使用できる状態ではないが、研究者らは様々なステージの前立腺癌患者200人を臨床試験に登録している。試験では、ある種の「液体生検」としてこれらの稀な細胞をモニターすることの予後および効果予測因子としての有用性を評価する予定である。

特に興味深いのは、前立腺癌管理の大きな問題のひとつである積極的な治療を要する早期癌患者とそれ以外の患者を区別できない問題の解決にCTCが役立つのではないかということである。

公的保険加入患者における画像診断の費用とその使用が増加

デューク大学臨床研究所の研究者らによると、高齢の癌患者における画像診断の利用が急速に増加し、その費用が癌治療全体の費用の伸びを上回る増加を示している。この報告は、Journal of the American Medical Association誌4月28日号に掲載された。

大半の癌患者はメディケア(高齢者・障害者向け米国公的医療保険制度)に加入している。試験ではメディケア受給者の5%サンプルからの請求を用いて1999〜2006年の癌患者10万954人を特定し、診断後2年までの期間における画像利用について調査した。研究者らは画像診断が一般に使用される主要な癌、すなわち乳癌、肺癌、大腸癌、前立腺癌、白血病、リンパ腫の患者サンプルを選択した。これらの癌を合わせると、メディケアで支払われる癌の全費用の約57%に相当する。

メディケア受給者1人当たりの陽電子放出断層撮影(PET)スキャン数は毎年35.9〜53.6%増加していることが明らかになった。また、PETおよび他の5種類の画像技術の費用は年間5.1〜10.3%増加し、それに対して癌治療全体の費用の伸びは毎年1.8〜4.6%であった。

試験期間中のPET利用の増加はFDAがその使用の承認を複数の癌に拡大した時期と一致すると、研究者らは指摘した。程度はより小さいが、癌治療に対する他の高度な画像法の使用も毎年増加した。すなわち、骨密度スキャン(6.3〜20.0%)、心エコー(5.0〜7.8%)、磁気共鳴画像(MRI)(4.4〜11.5%)、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン(4.5〜7.6%)、超音波(0.7〜7.4%)で増加を示した。従来からのX線検査は依然最も多く使用される画像法であるが、試験期間中の各癌患者グループでの使用は同程度、または減少を示した。

筆頭著者Michaela A. Dinan氏らは「高度な画像法の使用の増加が、技術の新規性、より良好な転帰、あるいは新しい財源への転換の結果であるのかは明らかではない」と記述した。さらに、2010年3月に議会を通過した医療制度改革法は画像検査に対する償還額の削減を目的とし、この取り組みの結果が今後研究領域として増加するであろうと指摘した。

その他の医学誌からの報告:乳癌のホルモン受容体検査の最新ガイドライン乳癌のホルモン受容体検査結果の最大20%が、検査の実施方法や結果の解釈の違いにより不正確である可能性がある。米国臨床腫瘍学会(ASCO)と米国病理学会(CAP)が共同で作成した新しいガイドラインは、検査の実施と解釈基準の明確なアルゴリズムを示して偽陰性および偽陽性の割合を減少させることを目的としている。ガイドライン(2007年に公表された前のガイドラインを更新)はJournal of Clinical Oncology誌4月19日付電子版に先行して公開された。医師、患者、第三者支払人、監督官庁の利益のために、ASCOおよびCAPは、印刷物、インターネット、学会開催時や、他の臨床団体との協力関係を通じて、その教育機会並びに使用を奨励する。さらに、病理学者や臨床検査技師用にCAPが開発している品質管理を奨励するための認証プログラムを提供する。

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榎 真由 訳
辻村 信一(獣医師・農学/メディカルライター)監修

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