アンドロゲン非依存性前立腺癌でのアンドロゲン受容体が果たす再プログラムの役割/ダナファーバー癌研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

アンドロゲン非依存性前立腺癌でのアンドロゲン受容体が果たす再プログラムの役割/ダナファーバー癌研究所

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アンドロゲン非依存性前立腺癌でのアンドロゲン受容体が果たす再プログラムの役割/ダナファーバー癌研究所


ダナファーバー癌研究所
2009年7月23日

アンドロゲン受容体は、前立腺癌細胞の増殖と分裂を活性化させるスイッチタンパク質で、高い適応能力を持つ。薬物療法によりアンドロゲンホルモンの受容体を除去することで細胞増殖は中断するが、受容体は替わりの増殖経路を探し出す。このメカニズムを、ダナファーバー癌研究所とオハイオ州立大学の研究者らが、新しい研究で実証している。

アンドロゲン依存性からアンドロゲン非依存性の細胞増殖への転換が生じる理由の一つは、アンドロゲン受容体が、依存性細胞と非依存性細胞中において、全く異なる遺伝子群を作動させるためである、と研究者らはCell誌7月24日号で報告している。[pagebreak]アンドロゲン依存性前立腺癌とは対照的に、非依存性前立腺癌では細胞分裂つまり有糸分裂を制御する遺伝子の活性の上昇が起こる。

UBE2Cと呼ばれる遺伝子は、細胞分裂において本来あるべき休止期を無視する働きをしているが、研究者らの報告によれば、この遺伝子は特に活性化する。この休止期つまり「チェックポイント」は、細胞分裂の過程が正常であることを保証するものだが、これがなくなると娘細胞が過剰に増殖して抑制が困難になる可能性がある。

「アンドロゲン依存性から非依存性状態への進展は、前立腺癌の進行の上で重要な段階です」と上級著者であるダナファーバーのMyles Brown医師は言う。

「アンドロゲン非依存性前立腺癌において、アンドロゲン受容体がはっきりと異なる遺伝子経路を導くという発見は、この経路の遺伝子の特定につながる可能性があり、将来の標的治療における標的遺伝子となる可能性があるのです」

アンドロゲンで増殖するタイプの前立腺癌は、通常、アンドロゲン阻害薬で治療する。個人差はあるにせよ、この療法で一定期間は病気の進行を抑制できるが、腫瘍はほぼ例外なく外部からのアンドロゲンがなくても増殖できる能力を獲得する。

腫瘍細胞が増殖を再スタートさせる1つの方法は、細胞自体がアンドロゲンを生産するようになるためであるということを科学者らは発見していた。もう一つの方法は、アンドロゲン分子が結合する細胞核の「鍵穴」であるアンドロゲン受容体そのものが関わっているが、それを機能させている実際のメカニズムはこれまで不明であった。

そのメカニズムを見つけるため、共同著者のQianben Wang博士(現在、オハイオ州立大学)やWei Li博士(現在 Baylor College of Medicine)をふくむBrown医師らのチームは、アンドロゲン依存性および非依存性前立腺癌細胞において、アンドロゲン受容体によって制御される遺伝子の活性レベルや発現をチャートにした。

彼らは、アンドロゲン非依存性の癌細胞の中に、エピジェネティックな特徴、つまり遺伝子の活性を調節するDNAの小さな付加物を持った遺伝子グループを発見した。その特徴は、それらの遺伝子群を特に活性化する原因となっていた。この遺伝子群は、アンドロゲン依存性癌細胞で活性をもつ遺伝子群とは完全に別の経路を形成していた。

このエピジェネティックな変化が起きる原因は不明だが「さらなる調節遺伝子を同定するため、実験的方法とコンピュータを用いた方法の両方で試験を行って、アンドロゲン依存性および非依存性癌の、ゲノム全般にわたるエピジェネティックな特徴を解析しています」と上級共著者 X. Shirley Liu博士(ダナファーバー癌研究所)は述べた。

Wang医師は言う。「アンドロゲン受容体は明らかに、アンドロゲン依存性癌と非依存性癌とでは全く異なるプログラムによって機能しています。そのプログラムを発見すれば、それがどのように機能しているのかをよりよく理解し、また遺伝子標的治療によってその経路をいかに停止させるかがよりよく分かるようになるでしょう」

この試験は米国国立衛生研究所、アメリカ国防総省およびProstate Cancer Foundationからの資金援助を受けている。

試験の共著者は以下のとおり。
Yong Zhang, PhD, Kexin Xu, PhD, Mathieu Lupien, Meredith Regan, ScD, Clifford Meyer, PhD, Arjun Kumn Manrai, Michelangelo Fiorentino, MD, PhD, Christopher Fiore, Massimo Loda, MD, and Philip Kantoff, MD, Dana-Farber; Rameen Beroukhim, MD, PhD, Dana-Farber and the Broad Institute of Harvard and MIT; Zhong Chen, PhD, Ohio State; Xin Yuan, MD, PhD, Hongyun Wang, PhD, and Steven Balk, MD, PhD, Beth Israel Deaconess Medical Center, Boston; Jindan Yu, PhD, Rohit Mehra, MD, Bo Han, and Arul Chinnaiyan, MD, PhD, University of Michigan; Tao Wu, PhD, Harvard Medical School; Jason Carroll, PhD, Cambridge Research Institute in the United Kingdom; Olli Janne, MD, PhD, University of Helsinki; Mark Rubin, MD, Weill Cornell Medical College; and Lawrence True, MD, University of Washington.

Dana-Farber Cancer Institute(www.dana-farber.org)is a principal teaching affiliate of the Harvard Medical School and is among the leading cancer research and care centers in the United States. It is a founding member of the Dana-Farber/Harvard Cancer Center(DF/HCC), designated a comprehensive cancer center by the National Cancer Institute.

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岡田章代 訳
榎本 裕(泌尿器科) 監修
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原文

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