前立腺癌の再発予測の精度が研究により向上/ジョンズホプキンス大学 | 海外がん医療情報リファレンス

前立腺癌の再発予測の精度が研究により向上/ジョンズホプキンス大学

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

前立腺癌の再発予測の精度が研究により向上/ジョンズホプキンス大学


ジョンズホプキンス大学
2009年7月1日

前立腺癌患者 774名を追跡調査した研究(中央値8年)で、3種類の測定項目を組み合わせることにより前立腺癌再発を予測できる確率が現時点で最も高くなることが判明したとジョンズホプキンス大学のがん専門家は述べている。

新しい予測法では、PSA(前立腺特異抗原)値が2倍に上昇するのに要する時間、グリーソンスコア(顕微鏡で確認できる前立腺癌の悪性度の数値による指標)、前立腺の外科的切除とPSA値が初めて検出可能になったときとの間隔を取り入れた。同大学の研究者らは、これら3つの測定項目を組み合わせることで、他の方法より高い精度での癌転移リスクを予測することができ、前立腺の外科的切除後にPSA値が上昇した場合、どの患者が追加の治療から利益を受けることができるのか判断するのに有用であるという。[pagebreak]2009年6月に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会で発表されたこの研究の知見は、二次治療を実施する時期や方法についての議論に終止符を打つ可能性がある。

「前立腺癌の手術を受けたあとにPSA値が上昇し始めた患者に直ちに治療を開始するべきか、先送りにした方がよいのかについては、多くの議論があります」とジョンズホプキンス大学キンメルがんセンターの研究者である、Emmanuel Antonarakis医師は述べる。「研究結果は、PSA値が上昇し始めた時点で治療を受けても、他の部位に転移してから治療を受けても、大半の男性で全生存期間は変わらないことが示唆しています。」

研究者らによれば、前立腺の外科的切除後PSA値の上昇した男性774名の記録を見直したところ、グリーソンスコアと他の2つのPSAに関連する測定項目が前立腺癌転移の最も強力な危険因子であることがわかった。グリーソンスコアが8~10と最も高い範囲にある男性では癌が転移する可能性は2倍高く、PSA値が術後3年以内に検出可能なレベルになった男性では、癌が他の臓器に転移する可能性は3倍以上高かった。また、PSA値の倍加時間が最も早い(3カ月月以内)男性では、PSA値が2倍になるのに15カ月以上かかった男性よりも転移性癌を発症する可能性が20倍以上高かった。

この研究に参加した男性は、前立腺癌が画像検査で検出できるようになるまでに平均10年かかっていた。「この平均10年というデータは男性全員に当てはまるわけではありません。そこで、癌の早期転移に関わる高リスク因子はどのようなものなのかを解明したいと考えました」とジョンズホプキンス大学キンメルがんセンター、オンコロジー部門の教授、Mario Eisenberger医師は述べている。

PSA、すなわち前立腺特異抗原の上昇は、前立腺癌を外科的に切除した男性の 20~30%でみられるとAntonarakis医師は語っている。これらの患者では、新たに発生した前立腺癌細胞が画像検査で検出されることはまれで、患者は癌転移の可能性に直面した場合、前立腺癌の増殖にテストステロン産生を阻害するホルモン療法を選択する傾向がある。この治療の副作用は閉経期の女性に見られるものに類似し、ほてり、寝汗、骨粗鬆症、メタボリックシンドローム、冠疾患などがあり、患者を衰弱させる可能性があると、Antonarakis博士は語っている。

すみやかなホルモン療法以外に、PSA値上昇中の男性が利用できる選択肢は間欠的ホルモン療法、研究的治療またはそれらの併用を実施する臨床試験への参加、あるいは画像検査で転移病変が確認できるまで治療を受けずに「経過観察する」ことなどである。

本研究に参加した前立腺癌患者のデータは、ジョンズホプキンス大学Brady泌尿器学研究所Patrick C. Walsh医師が管理するデータベースから収集された。情報はジョンズホプキンス大学における患者記録約20年分におよぶものである。

本研究は米国国立癌研究所、前立腺癌基金、国防総省前立腺癌研究プログラムによる資金援助を受けた。

研究に参加したAntonarakis医師、Eisenberger医師以外のジョンズホプキンス大学の研究者は以下のとおりである。Bruce Trock, Zhaoyong Feng, Elizabeth Humphreys, Michael Carducci, Alan Partin and Patrick Walsh

******
安井 浩訳
榎本 裕(泌尿器科) 監修
******


原文


printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward