抗炎症薬が治療に耐性のある癌を破壊する可能性/カリフォルニア大学サンディエゴ校 | 海外がん医療情報リファレンス

抗炎症薬が治療に耐性のある癌を破壊する可能性/カリフォルニア大学サンディエゴ校

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抗炎症薬が治療に耐性のある癌を破壊する可能性/カリフォルニア大学サンディエゴ校


カリフォルニア大学サンディエゴ校
2009年6月24日

リンパ腫に関する化学経路を統合した研究によると、すでに市販されている薬剤が化学療法に耐性を示すリンパ腫の治療に効果的である可能性がある。

カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チーム、バーナム医学研究所およびコペンハーゲン大学病院が、この種の癌の特徴となる複数の分子シグナルをたどることにより、関節炎の治療に使用される抗炎症薬がマウスのリンパ種を縮小させることを発見した。[pagebreak]EMBO Molecular Medicine誌7月号に掲載された彼らの報告では、炎症と癌の関連を示すエビデンスも強調されている。

「初期の臨床試験で効果が示されれば、この抗炎症薬を用いる治療法はただちに可能となるでしょう」とカリフォルニア大学サンディエゴ校で研究グループを先導する生物学教授のMichael David氏は述べた。

今回の研究では、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と呼ばれる非ホジキンリンパ腫が焦点となった。このリンパ腫の患者の中には、化学療法が有効な患者もいる。40人の患者に対して実施された最近の試験では、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の患者の75%以上が5年以上生存した。

しかし、同試験で癌の治療が困難であると判明された患者も認められた。これらの患者で腫瘍は化学療法に反応を示さず、診断後5年以上生存したびまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者は16%にとどまった。

複数の分子シグナルが、治療に耐性を示す当リンパ腫の特徴である。しかし、これらの関連性については現在に至るまで不明であった。最新の論文では、当該リンパ腫患者集団から得られた腫瘍細胞において、腫瘍を抑制することで知られているSHIP1と呼ばれるタンパク質レベルが低下していることが報告されている。実際、SHIP1レベルが最も低い患者集団で生存している人は非常に少ない。

治療に耐性を示す種類のリンパ腫細胞はまた、microRNAと呼ばれるある種の遺伝物質として特徴的なものであるmiR-155値を上昇させていることを研究チームは明らかにした。研究チームは、miR-155がSHIP1タンパク質の鋳型にくっつき、タンパク質の生成を阻害することによりSHIP1が抑制されることを実証した。

この発見により、当該リンパ腫患者集団がこの経路を遮断する治療に対して好ましい反応を示す可能性が高まった。「循環を断ち切るのは筋が通っています」とカリフォルニア大学サンディエゴ校生物科学部門の研究員で本論文の筆頭著者であるIrene Pedersen氏は述べた。

最終的な手掛かりは、TNFaと呼ばれる炎症分子がmiR-155の値を上昇させるという初期の報告からもたらされた。さらに研究が行われ、この種のリンパ腫細胞においてこの現象が観察されることが確認された。

「我々の研究により炎症と腫瘍進行の科学的な関連性が強調されました」とDavid氏は述べた。「癌になるには2つの遺伝子変異が必要であるというのが一般的な考え方ですが、変種は1つだけの変異に炎症が加わることで癌になる可能性があります」と続けた。

関節炎および炎症性腸疾患の治療に現在使用されている、抗炎症薬のエタネルセプト[etanercept]およびインフリキシマブ[infliximab]はTNFaを抑制することにより効果が現れるため、治療に耐性を持つ種類のリンパ種の悪性度を抑制する新たな方法であることが示唆される。

研究チームは、侵攻性リンパ腫細胞を注入したマウスを使ってこのアイデアを試験し、初期の腫瘍が6日後に縮小したことを確認した。

「これは、タンパク質の全翻訳経路において期待のもてる結果です」と、最初の研修が血液の癌であったPedersen氏は述べる。「結果を得るために、我々はマウスモデルおよび分子プロフィールを研究する必要がありました。これが患者に有益となればと願っています」と続けた。

化学療法に反応を示さないリンパ腫の患者および骨髄移植が受けられない患者は、この新しい治療法を受ける最初の患者となる可能性が高い。コペンハーゲンの研究チームは、最初の臨床試験の実施に向け患者の登録を開始した。

Grants from the National Cancer Institute and the Novo Nordisk Foundation supported this research program.

※2009年8月4日FDA安全性警告[url=http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm175803.htm]「TNFブロッカーに発癌の可能性の記載を要求」[/url]

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松長えみ 訳
大藪友利子(生物工学) 監修
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原文


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