癌発生にビタミンD低下が関与していることが新たなモデルで示唆/カリフォルニア大学サンディエゴ校 | 海外がん医療情報リファレンス

癌発生にビタミンD低下が関与していることが新たなモデルで示唆/カリフォルニア大学サンディエゴ校

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癌発生にビタミンD低下が関与していることが新たなモデルで示唆/カリフォルニア大学サンディエゴ校

カリフォルニア大学サンディエゴ校
ムーアズがんセンター
2009年5月14日

ビタミンDの予防効果研究において、カリフォルニア大学サンディエゴ校ムーアズがんセンターの研究者らは、癌細胞の相互接着能力喪失に左右されるという癌発生の新たなモデルを提唱した。このモデルはDINOMITと呼ばれ、癌における発生の鍵は遺伝子変異であるとする現行モデルとは大きく異なる。[pagebreak]「癌の最初の事象は、特にビタミンDとカルシウムの低下による細胞間伝達の喪失である。新モデルでは、この伝達の喪失が癌においては重要な役割を担うと考えます。つまり、正常な細胞のターンオーバーに必要不可欠である細胞間の情報伝達が妨げられ、侵攻性の強い癌細胞を増殖させてしまうと示唆されます」と、カリフォルニア大サンディエゴ校医学部家庭医療・予防医療学教授、研究を指導した疫学者および公衆衛生学博士であるCedric Garland医学博士は述べた。

Annals of Epidemiology誌2009年5月22日号の電子版で、Garland氏は、そのような細胞の破壊が多くの癌の早期段階で主な原因となりうることを示唆している。同医学博士は、これまでのビタミンDを特定の癌と結びつける学説は、200以上の疫学研究で試験され確認されてきており、その生理学的根拠の解明は2500以上の実験室での研究に基づいている、と述べた。

「例えば終末乳管小葉単位で生じるような、組織コンパートメントの内部で分離された個々の細胞における競争と自然淘汰は、例えるならば、癌のエンジンです。DINOMITモデルは、癌予防と癌治療の成功を改善する新しい手段をもたらすのです」と、彼は述べる。

Garland氏は、「DINOMIT」の各アルファベット文字は癌の発生段階を表すと説明を続けた。「D」(disjunction)は分裂または細胞間の情報伝達喪失、「I」(initiation)は遺伝子変異が役割を持ち始めるイニシエーション、「N」(natural selection)は急速に増殖する癌細胞の自然淘汰、「O」(overgrowth)は細胞の異常増殖、「M」(metastasis)は転移、癌細胞は他の死滅させることができる組織に移動して転移となる、「I」(involution)は退縮、および「T」(transition)は2つの休眠状態、癌で起こる可能性のある休眠状態、そしてビタミンD補充により起こりうる休眠状態への移行である。

明確な科学的立証はないものの、癌進化の過程で多くの場合、ビタミンD適正量の維持が癌発生時に進行を止められるとGarland医学博士は示唆している。「ビタミンDは、変異していないビタミンD受容体を持った状態での悪性化において、細胞間接着を再回復させることで癌化プロセスの最初の段階をくい止める可能性がある」と、同氏は述べた。

Garland氏によると、ビタミンDが十分な場合、組織内で細胞は互いに接着し成熟した上皮細胞として作用することを別の科学者らが発見していた。ビタミンDが十分でない場合、細胞は分化した細胞としての同一性とともに接着性を失い、幹細胞のような状態に戻ることがある。

Garland氏は、食事やサプリメントでの適切なビタミンD値の回復が可能でありおそらくは癌発生の予防に有用と指摘、「また、1日2000 IUの範囲でビタミンD3を適度に補充することで、ビタミンD値を増量することができます」と述べた。

研究者らは、多くの試験において癌リスクのある人および乳癌、大腸癌、前立腺癌を克服した患者については、ビタミンDとカルシウムが明らかに有益な効果を示すと述べた。しかし、特に喫煙、アルコール摂取やウイルスを考慮した場合、有益性を見出せなかった試験がいくつかある。さらなる研究が必要ではあるが、Garland氏は、個人が年1回の健康診断時にビタミンD値を検査してもらう必要性を喚起している。

Garland医学博士及び同僚らは、約20年にわたるビタミンDの予防効果の可能性に関する疫学研究を公表した。昨年、同医学博士のチームは太陽光曝露の減少、ビタミンDの減少と乳癌との間の関連性を示した。前回の研究では、ビタミンD3値の増加またはビタミンDのマーカー増加と乳癌、大腸癌、卵巣癌および腎臓癌のリスク低下との間の関連性を示した。

他の共著者は以下のとおりである。
Edward D. Gorham, Sharif B. Mohr and Frank C. Garland, UC San Diego.

※サイト注:関連YouTube[url=http://www.youtube.com/watch?v=1PsyaYNX1dw&NR=1]「VitaminD and Cancer Pevention」[/url]

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湖月 みき 訳
大藪 友利子(生物工学)監修
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原文


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