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新しい個別血液検査で癌治療の成果をモニター/ジョンズホプキンス大学

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新しい個別血液検査で癌治療の成果をモニター/ジョンズホプキンス大学

ジョンズホプキンス大学
2008年9月5日

ほとんどすべての癌は細胞の成長を制御する遺伝子の変異によって起こる。癌が成長するときには、この変異した遺伝子の生物学的証拠であるDNAの断片を血液中に放出する。ジョンズホプキンス大学キンメルがんセンターの研究者らは、血液中の腫瘍由来DNAを計測する新しい試験方法を開発した。[pagebreak]各々の癌のゲノム内に含まれる固有の遺伝子的指紋に基づく血液検査によって、腫瘍の存在を検出するのみならず、その進行を追跡することもできる、とこの研究者らは言う。この概念実証研究の成果はNature Medicine誌の2008年9月号で報告され、また先行してwww.nature.com/nmでも閲覧可能である。

「DNAがHIVなどの慢性ウィルス感染症の検出、計測や治療に利用されてきたのと同様に、循環性腫瘍DNAを測定することで癌治療を向上することができる」と、この研究を主導してきた腫瘍学准教授Luis Diaz医師は述べる。

すべての癌には、癌細胞内には存在するが正常な細胞には存在しない変異した一組の遺伝子がある。Diaz医師らは18人の大腸癌患者の腫瘍組織から各患者の癌に存在する変異を特定した。さらにこの情報とBEAMing(beads, emulsion, amplification, magnetics)と呼ばれる手法を用いて、この患者らの血漿中に対応する変異腫瘍DNAを探査した。18例すべてにおいて、組織内に見出された各変異は血漿中でも検出された。この試験では、変異遺伝子を検出しただけではなく、循環性腫瘍DNA値も計測し、患者の腫瘍量の分子的証拠を得た。循環性腫瘍DNA値が高いほど、腫瘍量がより多いと解釈できる。「この新しいアプローチを用いることで、単純な検出のみならず、実際に病気を起こしている変異を使って腫瘍量をリアルタイムにモニターできるようになった」とこの研究の筆頭著者のFrank Diehl博士は言う。

「もっとも興味深い発見の一つは、循環性腫瘍DNAが、X線やCTスキャンでは判別できない微小残存病変を計測できる感度がありそうなことである」と共著者で外科医のMichael Choti氏は述べる。

この研究に参加した患者は治癒切除手術を受け、最長2年にわたって経過観察された。最終的に疾患が再発したすべての患者で手術後に循環性腫瘍DNAが検出された。手術翌日にすぐ検出されることも多く、X線またはCTスキャンで視認できる何カ月も前に検出されていた。手術後、変異DNA値が検出限界値以下に低下した患者の場合、再発は見られなかった。

この試験方法は研究途上であり、まだ臨床で利用できるわけではないが、「1つの臨床応用として治癒手術後の残存病変の検出に使えるのではないか」とDiaz医師は言う。「すべての患者が集中的術後補助化学療法を必要としているわけではないことはわかっている。その恩恵を受けられるのがどのような人かを見定めるのにこの試験が役立つだろう。」

この研究は大腸癌について行われたが、Diaz医師によると、この試験は既知の遺伝子変異と関係付けられているすべての癌に適用可能とのことである。

Diehl博士とともにKerstin Schmidt医師も共同筆頭著者である。そのほかの共著者は以下のとおりである。
Michael A. Choti, M.D., Katharine Romans, M.S., Steven Goodman, M.D., Ph.D., Meng Li, M.D., Katherine Thornton, M.D., Nishant Agrawal, M.D., Lori Sokoll, Ph.D., Steve A. Szabo, B.S., Kenneth W. Kinzler, Ph.D., and Bert Vogelstein, M.D.

本研究は以下の諸機関から資金提供を受けた。
The Howard Hughes Medical institute, the Virginia and D.K. Ludwig Fund for Cancer Research, the Miracle Foundation, the National Colorectal Cancer Research Alliance and the National Institutes of Health

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杉田順吉 訳
林 正樹(血液・腫瘍科)監修
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原文


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