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免疫細胞を再教育して乳癌転移の抑制が可能か/オハイオ州立大学

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免疫細胞を再教育して乳癌転移の抑制が可能か/オハイオ州立大学


オハイオ州立大学医療センター
2009年3月25日

オハイオ州コロンバス- オハイオ州立大学医療センターの研究者らは、転移、すなわち腫瘍関連の炎症細胞の拡散を減速させることにより、乳腺腫瘍の増殖と転移を抑制する革新的な方法を発見した。

「腫瘍内のマクロファージを『再教育』して新しい血管の形成を促進するのではなくむしろ阻止するのが可能であることが見出された」とオハイオ州立大学医療センター救命医療センターのディレクターで、この研究の上級著者のClay B. Marsh博士は言う。本研究はCancer Research誌の今月号に掲載される。[pagebreak]マクロファージは、腫瘍の成長と転移に必要な新しい血管の形成を推進する血管内皮増殖因子(VEGF)と呼ばれるたんぱく質を生成する。「マクロファージを操作してVEGFの可溶性受容体を生成させることができた。この受容体は腫瘍内のVEGFと結合し吸収するのでVEGFは腫瘍の成長と転移を促進できなくなる」とオハイオ州立大学総合がんセンターの医師でもあるMarsh博士は言う。

研究者らはヒトの乳癌を模倣したマウスモデルを使って、直接腫瘍内に成長因子の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を注入した。処置されたマウスは、乳癌腫瘍サイズの顕著な縮小、肺への転移の減少、生存率の増加を示した。

腫瘍内のVEGF値(※注:SVEGFR(可溶性VEGF受容体)の間違いと思われる)を上昇させることにより、腫瘍から酸素と栄養素を欠乏させて新規の血管の発達すなわち血管新生を阻害して、腫瘍の増殖を抑えるように、GM-CSFが腫瘍関連のマクロファージを再プログラムすることもデータによって示された。

Marsh博士によると、VEGF値が高く、可溶性VEGF受容体値が低い乳癌患者は、逆の場合に比べてはるかに症状が悪化する。このような患者はVEGFを吸収するのに十分な可溶性VEGF受容体がないために、腫瘍は新しい血管を誘引して増殖する。

Marsh博士らは、可溶性VEGF受容体レベルが高い場合、ヒト腫瘍内のマクロファージがその可溶性VEGF受容体を産生しているかどうか、またこの動物の研究で報告しているのと同じ方法を使ってヒトの乳癌を治療できるかどうかを研究する計画を立てている。

マクロファージは一種の免疫細胞で、正常な乳腺組織の発達に重要な役割を演じ、また乳腺腫瘍の炎症細胞の35%を占める。この腫瘍関連のマクロファージは腫瘍の増殖に必要な腫瘍浸潤と血管新生を促進させうる。腫瘍は、酸素と栄養素を供給する血管新生なしには成長や転移ができない。

Marsh博士とともに本研究に参画したオハイオ州立大学の研究者は以下のとおりである。
co-first authors Tim D. Eubank and Ryan D. Roberts, Mahmood Khan, Jennifer M. Curry, Gerard J. Nuovo and Periannan Kuppusamy.

本研究は米国国立衛生研究所と、国防総省の議会指定医学研究プログラム(Congressionally Directed Medical Research Program)からの資金援助を受けた。

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杉田順吉 訳
林 正樹(血液・腫瘍科)監修
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原文


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